発達障害者カフェオープン

発達障害 悩み共有し居場所守りたい 38歳カフェ店長、CF募る

2024/04/11 14:30

NPO法人化に向けCFで支援を募る店長の竹内珠恵さん=山口県下関市長門町で2024年4月4日午後12時半、橋本勝利撮影

(毎日新聞)

 発達障害のある竹内珠恵さん(38)が昨春開店した「Cafe&Barあいまいな境界」(山口県下関市長門町)が、クラウドファンディング(CF)で支援を募っている。竹内さんには「注意欠陥多動性障害」(ADHD)と「自閉症スペクトラム障害」(ASD)があり、店には同じ障害のある人が遠方からも訪れる。竹内さんは「障害のある人たちの居場所をなくすことはできない」と事業拡大を目指す。【橋本勝利】

 竹内さんは、中3の長女が小5の時に発達障害であることが分かったのをきっかけに、自身も検査したところ、落ち着きがないADHDと、強いこだわりを見せるASDであることが判明。いわゆる「大人の発達障害」と診断された。

 大人の発達障害は、ADHDとASDに加え、読み・書き、計算などの学習が困難な「限局性学習症」(SLD)に分類される。身体障害と異なり外見では判別できないため誤解されやすく、コミュニケーションが取れずに人間関係でトラブルが生じがちだ。幼少時に症状が目立たず、気付かないまま大人になるケースもある。

 竹内さん自身、これまでクリーニング店などで働いてきたが、職場仲間や接客などで失敗を重ねてきた経験を持つ。障害が判明した時は「腑(ふ)に落ちた」と安心感が大きかったと振り返る。

 店名の「あいまいな境界」は、「誰もが線引きされない居場所」を確立したいとの願いを込めて命名した。黄色い外観が目印の店舗は古民家を改装し、得意の菓子を売りに、今は竹内さんが一人で切り盛りしている。

 子育てと両立するため、営業は原則金曜から日曜の日中限定。まとまった収入が見込めないためNPO法人化し、将来はカフェの他に、雑貨店やコミュニティースペースとしても展開していく考えだ。竹内さんは「同じ悩みを抱えた人が神奈川や長崎など遠方から訪ねてくる。勇気を振り絞って社会に一歩を踏み出している人たちの居場所を守りたい」と夢を広げる。

 CFは5月15日まで。目標金額は200万円で、支援額に応じて菓子の定期便や詰め合わせなどの返礼品を用意する。詳しくは同店(083・227・3255)。

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