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メルエムは“弱い”【ハンターとしての強さとは】HUNTER×HUNTER考察


※逆張りではありません 
戦闘力ではトップクラスでしょう


「心が弱いって話?」 違います

「キャラ叩きか?」 逆です 最後まで読んでほしい

メルエムがクズの為政を正すため、無実の女の子を殺して喰ったあと
マサドルディーゴの代わりに腕を組んで座っていたあの玉座

あれは代々影武者(クズ)のケツの臭いが染み付いた玉座である
あの宮殿は痴愚の欲望を満たすための乱痴気パーティー会場である

(HUNTER×HUNTER カラー版 21巻)
(HUNTER×HUNTER カラー版 21巻)

コイツの陰毛が散らばっててもおかしくない穢れた空間だ

これから人類を統べるって王様がそんな場所に居を構えていいのか?
即刻破壊してキメラアント流の意匠で作り直すべきだろう
しかし悲しいかな、キメラアントには伝統文化も伝統工芸も存在しないので
オリジナルの意匠なんて無いのです
、発想すらない
しょせんは蟻だから「巣穴」になるなら廃墟でも盗品でも構わないってわけ

これが魔獣族なら、牙とか角とか、ご先祖様の頭骨を飾ったり祀ったりするんだろうけど
メルエムは動物としてのルーツすら持たない混成生物(キメラ)である
あらゆる獣畜生をミキサーにかけて押し固めた正体不明のモンスターである

メルエムは「能力」以外は何も持ってないただの化け物だ
王族としての伝統も宿命も受け継いでない

真の王族は歴史と伝統に呪われており、その宿命から逃れることはできない

(HUNTER×HUNTER カラー版 33巻)

メルエムにこんな柵(しがらみ)は無い、生まれた時から自由な鳥である
気高く咲いた薔薇(オスカル)ではない、草むらに名も知れずそよいでる花である
それなのに人間の脳ミソを搭載してしまったもんだから、人間の真似事をしないと気が済まないんだろう
だから「この星の王になる(笑)」なんていう、母親譲りの抽象的な夢に耽っていたが、コムギの問いかけで目が覚めてしまった

(HUNTER×HUNTER カラー版 24巻)

ハハッワロスww
この星を統べる宿命を背負った王様なのに姓も名前も持ってない
王族としてのルーツなんか無い、呪いも祝福もありゃしない
スラムの捨て子である、学校に迷い込んできた野良犬である
それがたまたま地上最強だっただけだ

(HUNTER×HUNTER カラー版 25巻)

誰もメルエムに治世など望んでないし、メルエム自身も大して望んでない
メルエムが生まれてきた意味なんかない
それに気づいてしまった

(HUNTER×HUNTER カラー版 25巻)

笑うしかない そして

「ア ホ く さ もう王とかどうでもいいわ 俺と知能レベルも趣味も合う女と遊んでるほうが楽しいわ」

となったのである ………で

これが「強い者」に見えますか?

貧農で盲目というハンデを背負い、家族に1度も愛されたことがなく、そんな家族でも義理堅く養って、グレることもなく、生き甲斐を見つけて、誰も恨まず、いつでも死ぬ覚悟を持ってるコムギのほうが
よっぽどタフな生き物に見えませんか?

(HUNTER×HUNTER カラー版 24巻)
嫌でも強くなるしかなかっただけかもしれない
そういう運命も含めてコムギは“強い”存在だ

全知全能(なろう)みたいな境遇に生まれておきながら、たかが生き甲斐が見つからない程度で不貞腐れて、部下に八つ当たりして、コムギに溺れて、そのコムギを守れなかったのがメルエムである、厳しいことを言うが

メルエムはコムギとずっと軍儀を打ち続けたいなら、人類との戦争も手を抜くべきではなかった
薔薇(小型核兵器)の存在を見落としてたのは流石に迂闊すぎる、ビゼフ長官に「人間共の最終兵器は何だ?」くらいは聞くべきだったろう、兵隊の選別までしといて
コムギとの甘い生活を守るために最初の数年は蟻国家建設に集中するべきだった、退屈な仕事でも恋人のためなら頑張れただろう
“独裁小国家に好まれてて保有国の8割が廃棄してない”ってことは薔薇による核抑止(脅し)が成り立ってる世界ということだ
ならメルエムも薔薇に目をつけてテロリスト蟻でも養成して脅せば、Ꮩ5もビビってまぁまぁ話し合おうやと膠着状態(平時)に持ち込めたはずなのである
そこからゆっくりコムギと打てば良かったのだ
結局、害獣駆除程度の認識しか世界に与えられなかったから下請けハンター協会にGOサインが下ったわけで
世界中のボードゲームなんか調べてる場合じゃないだろう 子供かな?子供だったわ、生まれたての

ボロクソに言ってるが最後まで聞いてほしい、本題はここから

タイトルに戻ろう

「メルエムが弱い」とは、戦闘力や精神力のことではなく

「ハンター(狩る者)として適正が低い」という意味である

HUNTER×HUNTERという作品世界では「狩り続ける者」が最強である
その好奇心や悪意を失わない者が最強である
「明日の狩りのために生き延びてこそ」ハンターである、と定義されてるように思う
だからジンとヒソカとジャイロは登場人物として生き残っているし、ビヨンドが暗黒大陸のキーマンになっているのである

いくらでも機を待つ
逃げ道も考えておく
明日の狩りに繋げるために
(HUNTER×HUNTER カラー版 33巻)


逆に「狩りを終えた者」は作品世界から退場する

ゴンは「もう(狩りは)終わってもいい」と言い放った時、作中最強の存在になれたがハンターとしては失格になったのである、獲物と刺し違える狩人がどこにいるだろうか?
ゆえに念能力(ネームド)を失い普通の少年(モブキャラ)に降格したのである、成仏したと言い換えてもいい

明日を捨てる者はハンターではない
(HUNTER×HUNTER カラー版 32巻)

メルエムについても前述した通り、コムギ(獲物)を自分の物にしたいならば、最悪を想定して保険をかけるべきだった
狩猟に例えるなら、獲物を深追いしすぎて遭難してしまったようなモノである、気づいたら別の熊に囲まれていた
狩人として初歩的かつ致命的なミスである

なので「メルエムはハンターとしては弱い部類(中の下)である」と評価した

…………しかし

だからこそ、てぇてぇ(尊い)のである

うむ(←ナチュラル雑談してるの尊死)
(HUNTER×HUNTER カラー版 30巻)

なぜ究極生物ともあろうメルエムが、凡夫にも劣るミスを犯してしまったのか?
0歳児だから?人間を舐めてたから?それもあるが最大の原因は

コムギに夢中になってしまったからに決まってるだろう

恋は
(HUNTER×HUNTER カラー版 24巻)
“盲目”
(HUNTER×HUNTER カラー版 30巻)


コムギしか、見えなくなってしまった
コムギも、メルエムしか見えなかった

2人だけの世界に入っていた

そりゃあ 仕方ないよね

キャラ叩きでないことが分かってくれたでしょうか
ハンターとして弱いからこそメルエムなんだ、キメラアント編なんだ
ハンターとしての精神が完成していたら恋愛物語など成立しないんだ
それはジンを見れば分かるだろう、なんだあのサイコパス野郎は

メルエムは最初から外界に興味が無かったように見える
おそらくメルエムは理数系?の脳ミソをしてて(ていうか棋士だし)
暗黒大陸の未知の文明や生物だとか、複雑怪奇な人間模様をみてワクワクしないタイプだと思う
宮殿の改築とか衣装だとか芸術方面に関心を向けなかったのも頷ける
論理的に割り切れるモノに興味がある感じ、だから盤と嫁(ライバル)さえいれば十分だったのだ

メルエムもコムギもこの世に必要のない化け物だった
それが「軍議のチャンピオンとライバル」という形で存在意義を与えられた
盤上には「答え」が必ずあるからだ、そこに二人三脚で1歩1歩近づいてる実感が持てるからだ

(HUNTER×HUNTER カラー版 30巻)


逆に、暗黒の大陸をいくら彷徨ったって生まれてきた意味など見つかるわけない、それでも行きたくてたまらないぜ!それがハンターの性だ

メルエムとコムギはどの登場人物よりも純粋無垢で、雑味が無さすぎた
人として雑味が強くないとハンターなどやってられない
寄り道が好きで、通俗的で、多趣味で、欲深くて、親戚の凄いおじさんのような…つまり「業」を抱えた人間だ

(HUNTER×HUNTER カラー版 32巻)


ネテロもメルエムに少し近かった、ゴンとキルアもそう、ハンターと呼ぶにはちょっと清貧すぎた
だから皆退場して、雑味(政治的強かさ)たっぷりのビヨンドにバトンタッチしたのだ
似た性質を持つジンとパリストンも動き出す、これは偶然ではない

(HUNTER×HUNTER カラー版 32巻)

「ハンターの業を背負って生き続ける者のみ、この舞台にいることを認める」

「それ以外は退場し、成仏せよ」

冨樫義博先生は、そう言ってるんだと思う

合掌。

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