救急車

 三重県松阪市の主だった病院さんが連名で、
 「救急車で運ばれて、入院にならずにご帰宅となった患者様には一律7700円をお支払い頂きます」
という措置を打ち出しまして、市民の方々の間で物議を醸しているそうであります。

 これ、夜間の救急医療に携わる身としましては金額の多寡はさて置くとしましても、あながち暴論とは言えないところがありましてね。
 この措置の真意は、不用不急な救急車の濫用を抑制したい。もはやこういった思い切った措置に踏み切らざるを得ない程、事態は切迫している、という事です。
 一言で言うなら、
 【救急車はサービス業ではない!】
という事です。
 本来救急車を使わなくても良いケースでの出動要請が頻発してそれに振り回されるがあまりに、本当に必要としている重症患者さんに手が回らなくなってしまっている現状が、都市部かそうでない地域かを問わず日本中何処でも起こっている。

 私が勤務する病院でも、高齢の方が便秘症状で救急搬送されてくるですとか、若い親御さんがお子さんの切り傷や軽いやけどくらいで救急車を呼んだ、なんて事例が多々あります。
 救急車が到着し、救急隊員が後ろのドアを開けるなり傷病者たる子供ちゃんがピヨ~ンとジャンプして降りて来た日には、
 「ド突いたろか!」
と思いますからね。
 逆に、一般の方からの電話による診療依頼で、
 「いやいや、そんなに深刻な状態なら迷わず119番してくださいよ!」
と言いたくなる状況の方に限って救急要請を躊躇っておられる、という現実もあります。

 意識がない、或いは周囲の人からの呼び掛けに反応が無い、というのは迷わず119番案件です。
 自力もしくは周囲の人の介助があったとしても病院まで辿り着くのが困難である場合も救急車を呼びましょう。
 ただし、病院まで遠いから、診てくれふ病院を探すのが面倒くさい、なんてのは救急要請すべきではない!論外な話。
 遠いとか面倒くさいと言っても入院にならなければお家に自力で帰らないといかん訳ですよ?運んでくれた救急車がお家まで送り届けてくれる訳では無いのでね。

 

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