キャッシュレス時代の落とし穴
国が『便利』『安全』と推し進めておりますキャッシュレス決済とマイナンバーカードでありますけれど、この二つがどうやら現状では“砂上の楼閣”でありますようで。
「あの~、機種変更したいんですけど肝心のスマホを紛失しちゃいまして」
「紛失なさった?……では何か身分証をお持ちですか?」
「マイナンバーカードで大丈夫ですか?」
「ええ、大丈夫ですよ。ではお借りしますね」
というんで店員さん、ちょいと店の奥に引っ込みますって~と【目視での真偽確認】のみで差し出されたカードを『本物と扱い』紛失に伴う機種変更手続きを行ってしまった。
何しろ“紛失に伴う機種変更”ですから中に入れ込むSIMカードも新調されてデータを書き込まれ、まんまと新しいスマホが完成されてしまったんですが、実は提示されたマイナンバーカードが偽造されたものでありましてね。
カードを偽造する技術さえあれば今の時代、有名人・公人のホームページから本人の顔写真や個人情報などをコピーするのは容易ですんで、唯一のネックであるデータチップのチェックさえ潜り抜けてしまえば目視での真贋を見分けるのはほぼ困難だそうな。
今回被害に遭ったのは東京都議会議員さんと大阪八尾市議会議員さんのお二人で、それぞれスマホに紐付けられていたクレジットカードを悪用されてロレックスなどのローンを勝手に組まれてしまった、といいます。
私的にはそもそもマイナンバーカードの成り立ちから信用出来ない部分が拭えず、事実この制度が論議されていた頃に自民党の大物議員達がこぞって「絶対安全だ」「データや個人情報の漏洩?……無い無い!!」言い張っていた安全上の懸念はスタート直後にモロに躓き、個人情報を不正に閲覧、取得したのはもっぱら市区町村役場の公務員であったりします。
内閣の中枢にある閣僚が「役場の職員?……ある訳無いでしょうが!公務員ですよ!!」言うてたのにもかかわらず!です。
しかもそれに関する対策や罰則強化は具体的に明示されぬまま、マイナンバーカードに健康保険証が紐付けられ、納税も。
揚げ句に保険証提示の際マイナンバーカードに紐付いたものでないと支払い金額が高くなる、なんて事まで企てられる始末。
ドンドン個人情報をマイナンバーカードに集約する動きが加速しております。
……どうも便利さを強調してマイナンバーカード登録者を増やそうと、国は躍起になっているようですが、その反面安全性を高める動きは鈍いように感じます。
同時にクレジットカードであるとか通勤通学の定期券を始めとして何でもかんでもスマホにマウントして「キャッシュレスにする方がカッコイイ」かのような潮流が蔓延っている世の中ですが、これも危険だと思いますがね。
確かに便利さを追求するのならスマホ一つに集約する方が賢い訳ですが、翻って『リスク管理』の観点から言えば集約ではなく分散こそが賢いんです。
今回の例で申せばクレジットカードをスマホにマウントせず、あくまでも“カード”として持っておればロレックスなどのローン被害は起きなかった訳ですし、メールだラインだ親戚や知人の電話番号や連絡先が流出するかもしれない懸念も無かった筈です。
私自身も通勤用ICカードにしろ何にせよカードはあくまでもカードとして所持して何一つスマホにマウントはしておりません。
スマホが盗難に遭ったり、自分で紛失してしまったりした時身動き取れなくなるのが怖かったからですがね。
まぁ、マイナンバーカードにしろキャッシュレス決済にしろ、それ自体は悪いともすべきではないとも思いませんが、あくまでも自己責任で行わないと……とは思いますがね。
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