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負けまいとして頑張って、生きれなかった世界

私の仕事の一つである高校魅力化コーディネーター
職場である熊本県立甲佐高校はちょうど九州の真ん中、
阿蘇熊本空港から車で約45分、熊本市内中心地へも車で45分程度の
ちょうどいい田舎に立地した高校で、
全校生徒は約100名弱の小規模校

今年度からは学校行事他、地域との交流や校外体験の機会と教科学習を
共に充実させるため、前期・後期の二学期制が導入されている

昨日はその学校行事の一つ、体育大会を観戦した。

穏やかな山々を近景遠景に眺めながら、近くに流れる緑川を想像しながら
静かな中に、登校中聞こえてきた鳥の声を思い出しながら
ここは本当に豊かな優しい自然に見守られている環境だなあと感じ入る

開会式から多くの保護者らが来校し、生徒たちの様子を見守り
時折手を振ったり記念写真を撮って、笑顔で語らっている

生徒の中には、小中学校時代、不登校を体験したり
学校生活にうまく馴染めず、苦労した経験を持つ者も少なくない
だからこそ、両手を広げてゴールに駆け込む姿や大声を張り上げ
思い切り転んだり、それぞれが自己を開放して行事を楽しむ姿は
より輝いて迫ってくる

そこには優劣も上手下手も勝ち負けも、どんなジャッジも価値を持たなくて
ただ、その子自身の輝きに、
教室の中だけでは伺い知れなかった命のきらめきに感動するしかない

ふと思う。私は負けず嫌いで「勝つ」ことに価値があると思い込んで
悔し涙を流したり、その価値を手に入れようと頑張って生きてきた過去を
決して後悔はしていないけど、だからこそ経験できた世界があるとも
思っているけれど、今目の前に広がる優しい、ひとりの人として
お互いを尊重し合う世界を生きれてこなかったのではないか。

ある生徒が入学してすぐ、「高校生活をどのようにおくりたい?」と
目標めいたことを尋ねた私に
「卒業式で泣きたいんですよね。中学校ではあまり学校に行けなかったりして、中学校の卒業式でみんな泣いてたけど、私は別に何にも思わなかった。だから、高校では色々やって、卒業式で、ああ卒業だ〜ってあんな風に(中学校で見たように)泣きたい」

生徒たちにとって、その時その場に居ること自体に意味があり
一瞬一瞬がかけがえなく大切なのだ。
きっと先生も保護者も、ただ居る、その時があることの価値を
同じように理解し、支えるからこそ、今この素晴らしい時間を
私は共有させてもらえてるんだろうなと思う。

甲佐高校の敷地内には熊本県立松橋西支援学校分教室があり
今回も共同開催として、共に競技を楽しんでいる
大会途中には近くの保育園の園児が隊列をなしてやってきて
木陰からお兄さん、お姉さんの姿を眺めている
背後の山の丘陵面には近所のおじさんが腰を下ろして観戦している

多様性、地域とつながる、共に生きるって
こういうこと、取るに足らない、みんなの自然が時折交わる、
それぞれの日常がちょっと重なり合う、そんな感じなのかもしれない

赤団、青団の戦いは体育大会では青団の勝利となったようですが、
戦いは「スポーツフェスティバル〜若あゆの陣〜」と称して
まだまだ続く!

遠慮なく輝け!
人と向き合う仕事は自分の至らなさや力不足にがっかりすることも多いのだけれど、応援するって無責任だなって思ったりもするけれど
ただ誠実に一人の人として関わっていこうと清々しく思う初夏の1日だった。

ではまた、コンティヌアcontinua(つづく)

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