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精神科Nsのつぶやき

もどかしさ


私は精神科に勤めて25年以上になります。
患者様の中には、毎月受診で来る度に
何かしら病院の良くない所を探して
文句をつけてくる方もおられます。
ある美人でおしゃれな若い女性。
診察時に呼ぶ際、名前ではなく「5番」と呼んでほしいという要望があり、毎回5番の方と呼んでいます。
その5番の方が、中待合室に入るなり
「待合室がざわついてうるさい❗️」と苦情をおっしゃったので、スミマセンと謝りつつ待合室のドアを閉めました。
すると「そういうことじゃないでしょ❗️」とイラっとした顔で小声で話しておりました。
その後、「待合室の椅子がガタついてるんですけど」とおっしゃったので
「どちらの椅子でしょうか」と尋ねたところ
「そんなもの自分達で探せばいいでしょ❗️」とお怒りになり、私はやってしまった❗️うっかりした❗️とすぐ反省しました・・・。
そして最後、診察室に入る際、捨て台詞のように
「椅子に座って待ってたら、患者さんが近づいて座って来て気持ち悪いんですけど❗️」と話されました。(椅子の間隔は開けてあります。)
私は気持ち悪いという言葉に怒りがこみ上げてきたので、何も言わず診察室のドアを静かに閉めました。
他の患者様達を気持ち悪い呼ばわりしたのがどうしても許せませんでした。
あなたもその中の一人ですけどねと、
わざと言ってやろうかと思いました。
自分は、他の患者達とは違うとでも思っているんでしょうね。
確かに、不眠症で来ている人、鬱状態で来ている人、統合失調症の人、児童思春期の人・・・様々な患者様がおられ、表に出ている症状も人それぞれです。
不眠だけとか、児童思春期などで来ている方々にとっては、大声で独語したり、意味不明なことを話したり、何かに怒っていたりする姿を見れば、確かに引くだろうし、怖いと思うはず。
ただ、私個人の思いとしては、
そういう方々、特に統合失調症の患者様方は、人に対し悪口や嫌みを言うこともないし、誰かを陥れようと悪巧みもしません。無意味に怒っているのではなく、きちんとした理由があってのこと。勘違いで興奮していても、理由がわかれば納得し、落ち着きます。
正直に、ストレートに表現しているだけなんです。困っていれば助けてくれて、声をかけたり手伝ったりと、見返りも求めず優しい方が多いと思います。その優しさが逆に利用され、騙されてしまうこともあるほどです・・・。
となれば「5番の方」の方がよっぽど性格的にも・・・と思ってしまいます。
しかし、その嫌みな所が5番の方の病気の症状でもあるんです。
私がイラっとしてしまったことそのものが、相手の思惑通りになってしまい、医療者としてはまだまだな所ですね。
ハイハイいつものことねと、軽く受け流し、気にせずいれたら本当のプロなのでしょうが・・・
今回は他の患者様達、特に統合失調症の患者様達をバカにするような言動があったので、許せなくて怒りがわいてしまいました・・・。
しかし相手も患者様。
人として、もどかしい出来事でした・・・





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