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SNSで暴走する妄想宇宙

反ワクチン・親トランプ・スピ系陰謀論カルト、神真都Qについての
雨宮純さんのNote記事が大変興味深かったので、よりどころ問題の見地からちょっと考えてみたい。

詳しくは雨宮さんの記事を読んで頂きたいが、「神真都Q」の信奉者がワクチン大規模接種会場で妨害行動を行い、警察が出動したという。信奉者たちは警察官が宇宙人だと思っており、松ヤニで撃退できると信じているという。
記事を読んで感じたのは、「マスコミの洗脳」を云々していた頃が懐かしい、ということだ。
ヒトという動物は、どんな荒唐無稽な妄想や物語にでもハマることができる。当人たちは「覚醒した」と信じているわけだが。それが真の覚醒かどうかはともかくとして、そのような現象は、パレスチナのイエスから、大正時代日本の出口王仁三郎、平成の麻原彰晃に至るまで、さまざまな宗教カルトとして繰り返し起きてきた。以前は、学習会への参加など直接的な接触で信者の勧誘を行うのが常だった。多くの大衆がマスメディアにより消費資本主義に洗脳されている中で、小さなカルト宇宙が社会のあちこちにコロニーのように発生する感じ。
しかしSNSの登場で、様相が変わった。ネトウヨ的言説や、Qアノンなどの陰謀論が、スマホやパソコンを介し、地理的制約なしに社会のあちこちに浸透できるようになった。コロナ禍以来、家族や友人がいつのまにか陰謀論にハマってしまい、おかしなことを言うようになって困った、という経験をお持ちの方も多いだろう。マスメディアが衰退するにつれて、この社会には様々な妄想宇宙のバブルがひしめくようになり、異なるバブルでは全く話が通じなくなっていくのかもしれない。
最近、東北の漁村に通って、昔からの習俗や暮らしを調べていた。漁師さんたちは、いつも天候や風や波を読んで海に出る。スマホなど持たない人がほとんどだ。そして、海上安全や大漁祈願で海の神様や集落の祠に手を合わせ、お盆には祖先の霊を迎える。ヒトは、土地の自然に向き合って暮らしていた頃は、自然への畏敬と感謝の念や祖先への供養の思いが生きるよりどころになっていたのだ。それが、衣食住を自分で生み出さなくなり、都市的な暮らしで自然から離れるにつれ、何か別のものをよりどころに求めるようになった。その行き着く果てが、SNSで広められる荒唐無稽な陰謀論なのだろう。反ワクチン陰謀論者の中に、「自然派」の人たちが多いのもわかる気がする。みんな、この地球に着地出来なくて彷徨っているのだ。

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