想いをカタチに。
小学校の教員をしていた私は、
3年半前、育児休暇中に全国のオルタナティブスクールを見学してまわり、「いつかこんな学校を創りたい」という夢を持った私は、あるきっかけでこの事業に出会った。
大分県女性起業家創出促進事業
「おおいたスタートアップウーマンアワード」
別府のカンファレンスで豊後大野市の「タオ・オーガニックキッチン」の米澤陽子さんの発表を聞いて感動し、ますます「いつか私も自分の想いをカタチにしたい」と思った。
あれから一度は学校復帰し、二年間学校に勤めて悩みに悩んだ末に退職。
こうちゃん、ももちゃんと運命的に出逢い、
「ここのね自由な学校」を立ち上げた。
場所が決まり、活動のことで頭がいっぱいで必死だった昨年秋、ふとこの事業のことを思い出した。
「応募してみようかな。」
まだ学校のこともほとんど何も形になっていないのに、申し込んでいいのか迷った。でも、これを機に、私たちの取り組みを色んな人に知ってもらえるかもしれない。
先日、こうちゃんももちゃんが植松電機の植松努さんに会いに福岡の講演会に行ってきたとき、植松さんが「何よりまずは知ってもらうことが大事。知ってもらわないことには、そこに“ないこと”と同じになってしまう。」と話していたことを思い出した。
「何よりもまずは、知ってもらうことだ。」
腹を決めて、エントリーした。三人で内容を考え、何度も書き換え、ドキドキしながら応募した。
「第一次審査通過しました」
12月。報告メールに三人で大喜び!!
二次審査は、1月10日。
それまでに、3回のセミナーを受け、生まれて初めてのプレゼンテーションの奥深さに圧倒される。
5分間に自分の想いを全部詰め込むこと。
しかも、オルタナティブスクールについて何も知らない人にもわかりやすく伝えること。
伝えたいことが溢れ、とても5分では収まらなかった。
何度も書き直し、声に出し、二人に読んでもらい、訂正。
「これで完璧だ!」と思っていたのに、人に聞いてもらうと、その一言で全部ひっくり返ってしまう。さっきまで最高のものだと思っていたものに、全く魅力を感じなくなる。
プレゼンテーションって深い。
そして、めちゃくちゃキツイ。
年末掃除もそっちのけ、年賀状も一枚も書かずに、とにかくプレゼンづくりに取り組んだ。
「あと何日…」
ようやく年を明けてから、だんだんと自分の納得するものができてきて、あとは暗記して気持ちを込めて読む段階。
ところが、本番四日前に妹に見てもらい、「なんとなく気持ちは伝わるが、ここのねのことがよくわからない」と言われ(笑)、ほぼほぼ書き直し。ほぼ徹夜。
暗記どころではない。
読んでもいいから、とにかく、気持ちが伝わればいい。
本番ぎりぎりまで、お風呂でも車の中でも料理してても、ポケットに文章を入れて、一人でブツブツ。。。
ここのねで作業しながら、ブツブツ…。
そして、いよいよ第二次審査。
前日に家族に聞いてもらい、ほぼほぼ暗記できた!!
あとは、気持ちを伝えるだけだ。
本番直前、応援に駆けつけてくれた人たちの顔を見てほっとして、リラックスして話し始めた。
「子どもたちが自分に自信をもち、幸せに人生を歩める学校を創る。ここのね自由な学校の秋篠奈菜絵です。よろしくお願いします!」
大きな声ではじめの言葉を言った瞬間、わくわくが溢れた。
この3年半の想いを全部伝えよう。
そして、これを聞いてくれる人がいるということが何よりありがたい。
感謝の気持ちが溢れた。
「楽しい!!」
本番は、緊張なんか吹き飛んで、とにかく楽しかった。
質疑応答では、主に経営のことを聞かれ、今年の夏からここのねで新しく考えている事業について話した。そして、ここのねの今の現状についても話すことができた。
「今は三人がボランティアでやっていること。スタッフはアルバイトをしながら生活をしていること。」「想いをもって学校を創っても、経営難で三年以内に潰れるオルタナティブスクールが後を絶たないこと」
「これから新しく事業をいくつか考えていて、そこで運営資金を貯め、2、3年後に全日開校を目指していること」
本番が終わり、ここのねに直行。片付けに励んだ。
家に帰ると、家族が「お疲れ様」とお祝いの料理を準備してくれていた。特別な日に食べる手巻き寿司と、夫の手作りのチーズケーキ。
美味しくて、心温まる時間だった。
その日の夕方の空。子どもたちとおさんぽしながら、久しぶりのゆっくりした時間に癒やされた。
この事業に自ら応募しながら、途中心が折れそうになることが何度もあった。
「そもそもなぜビジネスプランに応募してるんだろう?私がやりたいことは教育なのに…」
「金儲けだと思われるのでは?これに出ることで、逆にここのねの印象が悪くなるのでは?」
そんな思いがよぎり、辞退しようかと思うことも正直あった。
でも、三人でいつも話していることは、いつも子どもたちがどうしたら豊かに学び、幸せに生きていけるかということ。それだけだ。
そして、私たちはやっぱり困っているのだ。
想いがあっても、人に知ってもらわなければ、子どもたちに届かない。
想いがあっても、学校が途中で潰れてしまったら、預かった子どもたちを路頭に迷わせてしまう。
そして、全国のオルタナティブスクールのほとんどが、スタッフとそこを選んだ保護者の身銭で成り立っている現状をどうにか変えないといけない。
そんな思いが最後の最後に私を突き動かしたのかもしれない。
次の本番は、2月の21日。
発表するのは私だけど、私の言葉には、こうちゃん、ももちゃんの考え、アイディア、想いがぎっしり詰まっている。
こうちゃんは、私が全く思いつかないような経営方法を考え、ここのねの経営がこれからもずっと安定できるよう情報を集め、アイディアを出してくれている。場所づくりでは、頼もしい力仕事担当。
ももちゃんは、私が最も苦手とするこれからの計画や場所づくりのための材料決め、発注、日々の会計など表には出ない細いところを全部引き受けてくれている。そして、子どもたちの気持ちと深く向き合うためにコツコツと児童心理を学び始めている。
三人の想いを、一人でも多くの人に届けたい。そして、一人でも多くの子どもたちの笑顔を増やしたい。
あと一か月。踏ん張ります。
ここのねの場所づくりも、二月末まで踏ん張ります。
三人で力を合わせてこれからも頑張ります。
長文、最後まで読んでいただき心からありがとうございました。
第3回ビジネスプラン発表会についてはコチラから👇
https://starring-woman.net/schedule/award20200221/
ここのね自由な学校は日本の法律上、公的な支援が受けられません。それは回り回って子どもたちの経済負担に重くのしかかっています。ここのねを「誰でも通える学校」にするため、ご支援をよろしくお願いいたします!ご支援いただいたお金は、給付型奨学金や施設設備の充実等に利用させていただきます!