トヨタのEVの話

こんにちは。ココノエです。
トヨタが強気のEV新戦略を発表、わずか半年で目標を引き上げた理由 トヨタが最近EV戦略を強めていますが、他国の自動車会社に比べればEVシフトが遅れた印象です。これについて考察してみました。

EVシフト前の状況

日本車が強かったです、特にトヨタが。
トヨタ生産方式で在庫を作らない(自動車は売れなければバカ高い鉄屑なのでとにかく在庫を作りたくない)、安い、品質がいい・・・。
さらにトヨタはHVの研究開発費にかなり突っ込んでいたので、HVに関する特許数が他社と比べても明らかに優位な状況でした。

他社から見るとこうなります(QCD整理)。
Q:トヨタの品質は最高レベルで同レベル以上にしても差別化にならない(そもそもトヨタレベルまで行くのが難しい、、、)。

C:トヨタが世界最大規模の生産台数を誇るので規模によるコスト削減で勝つのは難しい。トヨタ生産方式でコストを圧縮するのはトヨタのお箱。為替も2015年で約120円の円安傾向。さらに、燃費についても、HVに関しても特許をほぼ抑えられてしまったいるので、勝ち目がない(HV車を作ろうとするとトヨタの特許を通ることになってしまう。この場合、トヨタに特許料を支払うか、トヨタの特許を迂回する技術を開発する必要が出てくる。なので、HV車を作ってもトヨタに勝てない、、、)
※HV車がトヨタ以外さっぱり聞きませんが、恐らくこれが理由だと思います(作りたくてもトヨタの劣化版みたいなものしか作れない環境になっている)。

D:トヨタ生産方式によるSCMはトヨタのお箱。

そのため、トヨタ以外の他社から見ると、既存の戦略上ではHVを抑えているトヨタの一人勝ちのような状況であり、正攻法で勝とうとしてもどうにもならんように見えていたのではないかと思います。

EVシフトの話

正攻法で勝てないですが、自動車産業は雇用を多く生み出すため、国策と近いところにあります。それに環境問題も相まって、他社さんはEVシフトへと舵を切ります(国と連携して)。
元々EVシフト自体はどこかでやるかもねとは各自動車会社も考えていたと思いますが、自動車会社のコアコンピタンスであるガソリンエンジンを作る技術を捨てるサンクコストや、既存のSCMの問題もあったため、実際問題EVへの移行は難しいものであったと思います。しかし、前述の通り、トヨタ強すぎな状況であり、現状でもジリ貧であるなら、政治問題に絡めてEVに移行し、トヨタの強いガソリン市場自体を転換させることが背中を後押ししたのではないかと思います。
これに対して、トヨタ側もHVの特許を公開し、EVシフトを押し留めようとしたり、EVにしてもEVの電気を化石燃料で作ったら意味がない、それよりHVの方がエコ(実際これは正しい)と反論したりしましたが、そもそも他社からすると環境問題うんぬんより元のガソリン車市場ではジリ貧になるところからの転換が目的ですので、政治問題化しちゃって、それには乗りませんという流れだったのかと思います。
結果として、最終的には、ビジネスというより、政治レベルの話でトヨタ(広義では日本車)が負けてしまい、トヨタとしてもEVで勝つしかないというのが今のEVへの本気度なのかなと思います。

さいごに

プラザ合意にしろ、スキージャンプにしろ、日本はその場面場面で勝ててもルールチェンジされ負けてしまうパターンがあっちこっとで見られます。最近ですと、クアッドやTPPは日本が主導でルール作りをできるフィールドですので、そちらでは国益優先で頑張っていただきたいです。

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