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大切な後輩。

3年ぶりに後輩と会うことになった。私の後輩のイメージは純粋な心を持つ明るい女の子。今は何をしているのか、どんな高校生活を送っているのか想像したり、話したいことを考えたりしながら駅で待っていると、後ろから懐かしい声をかけられ3年前を思い出す。

3年前。中学生の頃、私と後輩はほぼ毎日ランチルームで会話をしていた。周りからは付き合ってるのかと勘違いされるくらい仲が良かった。当時から後輩はダンスに力を入れていたが自尊心がなく、自分を責めすぎるあまり気を失ったり、足に力が入らず階段から落ちたりなど身体にストレスが原因の症状があった。部活もダンスもできないそんな後輩を励まして寄り添ったことがきっかけで仲良くなった。

ふと会話の中で3年前の話題になった。繊細な後輩は暗い過去の話などしないと思っていたが、そんなものとは比にならないくらいの高校生活の暗い話をしてくれた。高校1年生の頃後輩はほぼ毎日教室で倒れたらしい。気を失って呼吸がないときは救急車で運ばれ、呼吸があるときは保健室で安静にしていたと聞いて、3年間何もしてあげられなかった自分に憤りを感じた。そして後輩に私が3年間失っていたものに気づかされた。

暗い話ばかりではなく後輩は好きな人ができたらしい。まだ付き合ってはいないが、野球部のキャプテンが好きだと教えてくれた。後輩はキャプテンを応援するために野球場まで試合を見に行き、誰にもバレないように帽子を深くかぶって見守る。こんなにも美しい相手に対する純粋な想いは漫画やアニメだけでなく、現実でも存在するんだと知った。自分の高校生活が愚かしく思えた。後輩との3年間のずれを取り戻す会話が次第に辛くなった。後輩の成長を肌で感じ、心から喜べない虚しさは後輩に嫉妬していたからだと思う。

私が3年間失っていたのはユーモアだった。相手にどんなにつらい過去や現状があってもユーモアで笑顔にさせる。相手を不快にさせない笑いを届けていた過去の私を後輩との会話の中で思い出した。「ヌンは待ち時間でも楽しませてくれる」と言ってくれたことが嬉しかった。3年前の私のユーモアが後輩と繋がっていられる信頼の礎になっていたからこそまた会って話ができた。

今年の夏に2人でディズニーに行く約束をした。
後輩の夢はディズニーという大舞台でダンスをし、幸せな空間をつくること。オーディションに受かるまでやるという積極的な姿勢が報われて欲しいと心から思った。いつかディズニーで後輩がダンスをしている姿を見たい。それまで後輩を支えたいと思う。

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