Twitterのミュートについて。

お題箱を設置したところ、さっそく投稿があった。ありがたい。

本当は他のものから手を付けようと思ったのだが、とある理由から順番を入れ替えることにした(理由は後述)。というわけで、今回は「Twitterのミュートについて」。

私は2014年4月からTwitterを使っているが、始めたばかりのときはミュート機能はなかった(ソースはこちら)。

ミュートを使えば、「フォローの有無にかかわらず」「相手に全く知られない形で」相手のツイートをタイムラインから消去できる。リムーブやブロックでは相手に気づかれる恐れがあるが、ミュートならばそれはない。相手に不快な思いを与えずに、自分自身の効用も高める機能だといえる。ということで、実装されたときは皆非常に喜んでいたのを思い出す。

私もミュート機能はそれなりに使っている。とはいえ、ミュートリストに並んでいるアカウントのほとんどは広告系なのだが……。まあ、普通のアカウントもなくはない。

そういうわけでミュートはとても便利だが、便利さの代償というか、ミュートによって失われたものもあるよなあと思う。

負のフィードバックを見られない

第一に、「コミュニケーション不全が浮き彫りになる」。フォロワーをミュートというのは、相手に面と向かって「いやです」と言えないのに、相手との遭遇を拒否するということに他ならない。本来のコミュニケーションからいえばこれは不自然だ。相手との(表面上の)関係性は保ちつつ、相手からの情報はすべてシャットアウトする。これを「やさしさ」と捉えられるならそれで良いが、私にはどうも無理だ。それは本当に互いのためになるかと言えばならないだろう。

相手からの拒否や否定が全く見えないままだとしたら、Twitterにおいて私たちは正のフィードバックしか得られないことになる。本当だったら、人に批判されたりして「なぜいけなかったのだろう」と反省の機会も得られるところを、ミュート機能によって失うのだ。

短期的には、おたがい傷つけあわずにいられるのだからいいんだろう。しかし、長期的に見れば、互いに互いの嫌なところを指摘せず、生涯その不利益な点を抱え続けることになりかねない。そういうものを「やさしさ」と呼んでいいのかどうかは私には分からない。

まあ、そういった長期的な関係性を構築するよりも、「今快適に過ごせる環境を作る」ほうが大切なのがTwitterでのコミュニケーションなのかもしれない。ていうか私もそういう関係性を享受しているんだと思う。

機能の存在が効用を低めている?

でもそれだけではない。ミュートが「気づかれない」ことによって、逆に疑心暗鬼になってしまうという弊害もある。

自分が人からミュートされているかどうかはどうやっても分からないが、なんとなく分かってしまうときもある。「いいね」されなくなったり、返信がめっきり来なくなったり。そういうとき、「もしかして、ミュートされてる?」なんて心に浮かんでしまう。

実際にはどうかなんてわからないのに、ミュートされてるかも、疎まれているのかもと思ってしまう。要するに人を信用できなくなってしまうのだ。先ほどは「今快適に過ごせる環境を作る」と言ったが、その環境すら信じられないという状況に陥ってしまう恐れがあるということになる。

もちろんここまで深く考える利用者はあまりいないだろうが、誰しも無意識の奥にこういう思いが潜んでいるんじゃないだろうか。

そもそも、人間は信用なんてできない

結局、「信用」とか「信頼」というものが無いからミュートが必要になるし、ミュートがあることで信用はますます失われる。

しかし、そもそも「信用」なんてものは人間が受け止められるほど簡単なものではないのだろう。ただ、現代の技術進歩や文明の発展によって「信用」を外部システムに委託することが可能になり、人間がいかに他者を受け入れられないかということが目に見えやすくなっただけのことだ(本来ならここももっと記述すべきだろうが、長くなるのでやめておく)。

これからの社会はもっと信用の外部委託が進むだろうし、コミュニケーションも見違えるほど円滑になるに違いない。それはそれは便利になるだろうが、果たしてそれは幸せと言えるのだろうか?

もしできるなら、人間の信用する力を強めるような、道徳的発展がなされればと思うのだが……。そのためには、まず自分自身が人を信用するよう努める必要がありそうだ。「人にやさしく」ありたいものだ(THE BLUE HEARTS)。

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さて、このお題を優先した理由だが、お題とともに私信的な言葉が添えられていたからだ。お手紙は早く返したいので、先に消化することにした。

誰だか分からないけど(なんとなく見当はつくけど)僕は元気でやってます。ミュートは多分してないです。でもまあお互いにTwitterは「自分にとっての良い環境」を作ったら良いと思いますので、僕が必要ならそのままにしておけばいいし、要らなかったらミュートでもリムーブでもしてください(ブロックしたいならそれでもまあいいけど)。


お読みいただきありがとうございます。お題箱はこれからも消化していこうと思うので、なにかお題があればぜひ投稿をお願いします。





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