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Uターン。荒野の風が恋しくて (4) ニューメキシコ州タオス。ジョージア・オキーフの美意識の雲が浮かんでいる

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アメリカ先住民の1部族プエブロ族が、独特の家に住んで生活しているビレッジがニューメキシコ州にある。

  タオス。

角が丸みを帯びた土の家の村を訪ねた。9月半ばの清々しい青空が、村のすべての色調を引き立ててくれている。そんな日にここに来れたことが、ただただ、ありがたかった。

時間に洗われて白くなった丸太。手入れされたパンを焼くかまど・・・。草が生えた屋根の感じといい、小さめの窓と煙突といい、自然に抗わない慎ましさがボクの情緒を優しく呼び覚ます。2階に上がるための梯子と、荒野を見下ろしながら空を旅する雲がインテリアの一部になっている。

 ここでは、静寂の音さえ聞こえる。

 数千年受け継がれてきた先住民の暮らしの匂いが風に乗って漂っている。

そういえば、画家のジョージア・オキーフの家もこんな感じだった。もともとはニューヨークに住んでいた彼女だが、理想を追求してサンタ・フェ郊外の荒野に移り住む。そこでシンプルな土の家に住んで、素晴らしい作品を残した。花と、石と、動物の骨のコンポジションの宇宙。

タオスのこの茶褐色の住居は、アドービ建築として知られている。

アドービって、コンピューター・ソフト会社のあのアドービと思うかもしれない。実は、その通り。アドービとは、この家を建てる時に使われた日干しレンガの名称だ。

レンガを積んで、上から土壁で覆ってできたネイティブ・アメリカンの家は、冬も夏も外の気温にそれほど影響されず快適なのだそうだ。

プエブロの家は、目に心地よかった。眺めていると、自分が洗われていくように感じた。モノの多さに息を詰まらせたボクの目が、簡素で静謐な暮らしの美しさを学んでいたんだと思う。





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