米国在住メキシコ移民向けスペイン語ラジオ番組が生み出したコミュニティが熱い!!
こんにちは、koko です。
最近、どうやってスペイン語覚えたの?と聞かれることが多いです。
聞かれると、ついついまじめに、米国大学時代にスペイン語を副専攻したとか、バイト先のスペイン語話者と会話したり、メキシコで1年間働いていたと答えています。
が、米国在住時代によく聴いていたスペイン語のラジオ番組が私がスペイン語を覚えるのにかなり役立っていたなと思い出しました。
スペイン語習得に役立ったラジオ番組
それが、Piolín por la mañana (ピオリン ポル ラ マニャーナ)という「ピオリンの朝番組」でした。
このラジオ番組は、米国在住のメキシコ(ラテンアメリカ各国を含む)移民向けにスペイン語で米国全土へブロードキャストされていました。
祖国の家族を支えるために、アメリカンドリームをかなえるために、言葉や文化が異なるアメリカ合衆国にて、日々一生懸命に働いているメキシコ移民たちが今日も頑張ろう!と前向きになれるようなコンテンツが満載。
アメリカンジョークが理解できないメキシコ移民たちが、朝の通勤時間にメキシカンジョークで笑い、言語や文化や社会的仕組みがわからないメキシコ移民たち向けの法律相談、お悩み相談、自分のビジネス(店舗・サービス)を持っているリスナーがそれを宣伝したりと、お互いにお互いが支え合っている番組で、まさにアメリカのメキシコ移民(他のスペイン語圏各国の移民を含む)向けのコミュニティを形成しています。
当時、その番組で聴くスペイン語は、半分もわかっていませんでしたが、教育コンテンツでは絶対に聞けない、米国在住スペイン語話者たちの、生のスペイン語を実践的に覚えるにはとても役立ちました。
ただ、そののちにメキシコに移住し、貧富の差が極端に激しいメキシコの階級社会の現実を目の当たりにし、このラジオ番組で覚えたスペイン語は、少なくともメキシコの上流階級の人たちが使うようなスペイン語ではないのだなと、どちらかというと田舎っぽいスペイン語なんだなと、理解しました。
とはいえ、米国で外国人として生きることを考えると、英語がある程度必要なのは言うまでもありませんが、アメリカでサービス業を担っているのはほとんどラテンアメリカ系移民が多いため、彼らが親近感を持てるスペイン語を使えると、例え私の顔がアジア人であっても、親近感を覚えてくれ、親切に対応してもらえる場面が多かったです。
今も El Show de Piolín は熱い!
その後、2007年にメキシコに移住し、2009年に日本に帰国してから、このピオリンのラジオ番組を聴く機会もなくなり、すっかりこのラジオ番組のことを忘れていました。
ただ、先日、 OneDrive の昔の写真から、 Piolín por la mañana ロゴの Tシャツの写真が出てきて、ピオリンのことを思い出しました。
テキサスの大学時代、自分が住んでいたアパートの近くにメキシコ系商店があり、そこに ピオリンのラジオ番組が来たことがありました。
それを知り、ちょっと興奮して、その現場に行ったら、ロゴTシャツをもらえました。今はその Tシャツがどこへ行ったかも覚えていませんが、当時、バイト先のメキシコ人たちに自慢した記憶が…
で、今もピオリンの番組あるのか?と Spotify で調べたら、El Show de Piolín (ピオリンのショー)でヒットし、なんとラジオだけでなく、ポッドキャストでも聴けるようになっていました。
懐かしい!!!と思い、また聴き始めました。
やばい、面白すぎて、思わず大声で笑ってしまうので、日本の通勤電車では聴けないです。
が、熱い!熱い!
とにかく、ジョークが面白い。
一方で、涙なしでは聴けない、リスナーのライフストーリーの紹介もあります。
とある、メキシコ中南部ミチョアカン州出身の女性は、彼女が5歳の時にお父さんが事故で寝たきりになってしまい、母は日中父を介護し、夜働きに出ていて、彼女は、屋台の皿洗いを5歳から、その兄は9歳で鶏肉屋で鶏をさばく仕事をして家計を支えてきたと言います。そして、今の夫と出会い、国境を越えアメリカへ行き、前向きに頑張り続け、皿洗いや清掃などの色々な仕事を経て、夫と念願のパン屋さん開業し、仕事に育児に頑張っているという話でした。これは、パン屋の紹介だったのですが、ビジネス紹介のときに、「なんでアメリカに来たの?」という質問があり、ここで聴くライフストーリーは涙物が多いです。
もちろん、リスナー対象は米国在住のメキシコ移民なので、そのコミュニティに属していないと理解し得ないような情報がたくさん含まれています。
メキシコから Undocumented 状態で移住してきたピオリンが、同じような仲間たちを助け、支え合うためにラジオ番組を続け、またラジオキャスターとして有名になった今もなお、同じ仲間たちを支えるためのプラットフォームとして自分の番組を持ち続けている熱量に感激しました。
ピオリンは有名人となり、お金持ちですが、アメリカに移住してきたときの初心を忘れず、色々な社会貢献活動に寄付したりもしています。
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アメリカは日本とは違い、移民の国として成り立ってきました。
移民が力を合わせて作り上げてきた国家であるはずですが、有色人種に対する寛容性は人それぞれです。
メキシコ系移民に対する見解も人それぞれですが、少なくとも私が実際に出会ってきた米国在住のメキシコ系移民たちは、祖国の家族のために、どんなにつらい肉体労働であっても、まじめに働いていて、素直で、前向きで明るい人たちばかりでした。
メキシコに実際に住んでみて、社会構造を知り、命を落とすかもしれないというリスクや一生家族と会えないかもしれないというリスクを覚悟で、国境を渡らざるを得ない人たちが一定層いるのは、仕方がないことだなと思わざるを得ませんでした。
そんなアメリカのメキシコ移民たちのコミュニティを支え続けているピオリンは素晴らしいなと、そして、彼のジョークのセンスも素晴らしいなと思いました。
この背景を理解した上でも聴いてみたいと思ったスペイン語学習者の方、ぜひ聞いてみてくださいね。
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