君と飲みたい、あなたと飲みたい、そんな夜

一人で飲むことが普通になった。


おつまみを一口、うま~いと独り言を言ってしみじみする。

日常すぎる部屋の中をぼーっと眺めながら、記憶の中にあるいい感じの照明に照らされた生ビールのキラキラとか、よく冷えたグラスの水滴に思いを馳せる。

暴力的なほどおいしい匂いを出し続ける、あつあつとろとろなチーズ。

じゅうじゅう言い続けるお肉盛り合わせ on the 鉄板。

一体何なのかよくわらかないけど、とにかくおいしいことだけはわかる小鉢の数々…。

次から次へと浮かぶ、思い出のおいしいものたち。



そう。2020年、世界がこんなことになってから、私は一度も外で飲んでいない。この私が!信じられない!!!

おいしいものが食べたい!飲みたい!おしゃべりしたい!!!

そんなことばかり毎日考えている。


まあ人と話すということだけ考えればオンラインでという手があるんだけど、確かに楽しいんだけど、あれはハードルが高い。


間が持たない。


沈黙が続くと死ぬタイプなので、オンラインで一緒に飲める人というのは本当に限られる。その中でも2人きりで飲める人というのは片手で数えられるくらいかもしれない。

直接会いたい人はたくさんいるんだけどな…。直接だったら勢いと周りの空気感を使って暴走できるのに…。



外での飲み会って周りの空気感に助けられることがとても多い。

あのざわめきと、グラスやお皿のカチャカチャカチンなんて音、誰が歌っているのかも、さらに言えばジャンルも不明なおしゃれBGM。

つまり沈黙が怖くない!なぜならうるさいから!

その点、オンラインは会話が途切れたら終わりだ。死へのカウントダウンが始まる。


とにかく、対面で会うよりもよっぽどコミュニケーション能力が問われると思うわけです、オンライン飲み会。



ああ、直接乾杯したいな。

うんちゃらかんちゃらお願いします、と何度メニューを見ても名前が覚えられないクラフトビールを注文をしたい。

できたてのあったかいおつまみと、泡がやわらかい生ビール、どんどん下世話になっていくどうしようもない酔っ払いたち。

お財布に残るお金は増えたけど、私はあの馬鹿みたいに散財しておなか一杯食べてぐびぐび飲んでの夜がとても愛おしい。



いつでも好きな時に、そんな幸せな夜を作り出せる世の中に早く戻ってほしいな、と思いながら大好きな地元のビールを飲む夜です。

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