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ChatGPTを使い倒して国会情報・立法データを追いかける

ChatGPTを利用した委員会質疑が最近ちょっと話題になりました。

自分も最近ChatGPTにはまりまして、質問以外の用途で、何か使えないかという実験をしてみたので紹介します。

1 国会審議の要約と各委員の発言の対比表作成

 ChatGPTを使っていて感じるのは、要約能力の高さです。聞くのも大変なら、文字起こしされたものを読むのも大変な国会審議ですが、これをChatGPTに要約させると、ぱっと話題が分かるのではないか、という試みです。
 今回は、まとめやすさの観点から、冒頭、委員毎に決まった時間の枠内で発言をする憲法審査会の会議録を対象に、各委員の発言を要約し表形式でまとめるという作業をChatGPTにやってもらいました。

そこそこの精度で、良い感じに項目を考えて表にしてくれました。データ収集からの全作業時間は合計30~40分ほどかかったのですが、ほとんどが文字数制限による待ち時間です。現在の文字数制限が無くなれば、全体5分程度で出来ると思います。

他にも、各法案を要約する、政府答弁を並べる、法案や質疑答弁の問題点を指摘してもらう…などなど時短かつ自動で国会関係情報を提供できそうです。おりしも、PolityLinkさんが即日の議事録文字起こしを提供していらっしゃるので、ほぼリアルタイムで自動の国会情報ニュースを発信する世界が近づいた気がします。

2 法律のフローチャートの作成

複雑で読む気にならない法律を、見やすいチャートに出来ないか(自動で)という試みです。以下は民法第4~13条の内容をチャートにしたものです。大学の講義ノートみたく、要点同士が→でつながっています。

条文を読み込んで、はい/いいえで条件分岐するフローチャート図も作れました。まさにチャットボットという感じですが、可視化して見えるのは嬉しい。複雑な条文を読み込ませるだけで、こういう条件分岐の整理ができるのは可能性を感じます。

3 改正法の溶け込ませ作業

 一部改正法は、改正対象を「 」で引用し、改める、削るetcといった操作を記述する、改め文方式で書かれます。そのため、我々素人からは、改め文を見ただけでは何がなんだか…というところ。
 一方で、この改め文、非常に機械的な操作の指示を出しているように見えるわけで、案外ChatGPTに対して、この操作のとおりに変えてとお願いしたら、うまく変換してくれる気もします。
 そこで、e-govから現行条文を、衆議院HPの議案情報から改め文をそれぞれ引用し、現行条文について改め文どおりの操作をしてくださいといった形で、溶け込ませ作業をお願いしました。
 ChatGPTに作業してもらった結果が下の表のとおりです。

 全体の精度は60%程度。完全に頼り切るには心もとない精度ですが、叩き台としてまあまあ使えるといった感じでしょうか(この作業をする人はe-govの中の人くらいかもしれませんが)。
 号を繰り下げて新しい号を追加する、ただし書のようなちょっとわかりにくい箇所に字句を加える、複数個所(〇条及び〇条中「 」を「 」に改めるのような形)の同時改正など、ちょっと複雑な操作もなんとなくやってくれています。
 逆に、字句の追加は、思わぬところに追加してしまう事例が何度か発生しており、失敗が目立ちます。ただ、追加した後の文章を読むと、それはそれで読める文章になっています。
 改め文方式では時点時点の条文の姿が分かりにくいと言われますが、機械力で溶け込み条文を簡単にみられる日が来るかもしれません。

4 改正法から法律の前のバージョンを復元する作業

 法律をGIT Hubのようにバージョン管理できないか、という話は以前からありました。現行法律に対して、改正法の内容を逆戻しすれば、改正する一つ前の状態に戻るはず。ということで実験した結果(改正後の条文と改め文を示して、これは改め文によって変えられた条文です、元に戻してくださいといったお願いをしました。)、これは概ね正確に改正前の法律に戻せました。ちょこちょこ入れるべき文字が落ちてしまうところがあるけど、大きく外しはしないという感じ。
 一方、正確性が8割程度のため手修正が大変、現行の文字数制限では効率よく自動化できない、などの問題点もあります。現状では、法律のバージョン管理データベースの構築は難しそうです(有料の法律DBを使おう)

まとめ

 ChatGPT、知識はないけどめちゃくちゃ地頭がいいって感じですね。ほかにもアイデア次第で色々とやってもらえそう。引き続き、国会情報発信のパワーアップを模索したいと思います。良い方法などありましたらぜひ教えてください🐑

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