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文章は鎧を脱ぎ捨てていく練習だ
文章を書きはじめた頃は、どんな自分で新しい世界に出ていけばいいのかもわからないから、とにかくたくさん鎧を着て、持てるだけの武器をたくさん持って、文章で自分のすごさを表現しようとしていた。
外の世界には、自分よりも頑丈で強力な鎧や武器を持っている人がたくさんいて、そんな人たちに負けてられないと、さらに鎧を着込もうとした。
だけど、たくさん着込めば着込むほど、身動きが取りづらくなって、なかなか文章の世界へ出ていくことができなくて、自分を表現することに躊躇した。
自分なりにそこでの戦い方を学んでもみた。どうやって書いていけば活躍できるのかを知りたくて、ノウハウという武器を求めた時期もあった。
武器をたくさん増やしたものの、自分が持てる武器の数には限度があった。
「武器はたくさんあっても仕方がない、今の自分で勝負しよう」と腹を決め、また文章の世界に出かけてみた。
やっぱり身動きが取りづらい…
いっそのこと鎧も脱いでみるかと、1つひとつ鎧も脱ぎ捨ててみることにした。
身軽になれたことで、筆がすすみやすくなった。
プロとして、サービス提供者として、そして自分の見栄を張るために、ちゃんとしている自分、すごい自分、カッコいい自分を表現しようとしていたが、武器を手放し、鎧を脱ぎ捨てていくと、残ったのは、ありのままの自分だけだった。
ある意味、開き直りかもしれない。
でも「ありのままの自分はこんな人間なんです」と文章で表現するようになった。
すると、着飾っていた自分ではなく、ありのままの自分を好きだと言ってくれる人が増えてきた。
たしかに自分もそうだった。
その人と繋がるのであれば、どれだけ鎧を着て、武器をたくさん持っている人でも、むしろその鎧の中にいるその人の顔を見て話したい。すごいところだけじゃなく、弱さも見てみたい。その人そのものの「人」を自分も見たいと思う気持ちだった。
すごい人ではなく、そういう人と繋がりたい、話してみたい、関わりたいと感じていた。
もしかすると、文章は自分の鎧を脱ぎ捨てていくための練習なのかもしれない。
書くたびに鎧を脱いでいき、素の自分をその世界に表現していくことなのかもしれない。
最初はたくさん着飾ろうとしていた。鎧を着ていた方が自分を表現しやすいと思っていた。
でも、その鎧の中にいる自分のことは、本当の意味では人には伝わらない。
鎧を脱いで、何にも着飾らずにいる自分で文章を書くことで、はじめて自分という存在を世界に表現することができるのだ。
多くの人がいろんな鎧を着ているのなら、自分からあえて鎧を脱ぎ捨てて裸で出かけよう。
自分の素や本音を晒して、身軽に表現できる自分を貫こう。そうしてこれから先も、
「裸の文章」を書く。この世界で。
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