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SixTONESのリーダーに髙地優吾が選ばれたことで,どんな新しい風が生まれるのだろうか

 1月11日に放送された「嵐にしやがれ」の放送のなかで,ついにSixTONESのリーダーが決まった.メンバー6人による多数決で選ばれたのが髙地優吾だ.

 ジャニーズは慣例でいうと,メンバー内で一番年上の人がリーダーになることが定番となっている.SMAPの中居正広,TOKIOの城島茂,V6の坂本昌之,嵐の大野智,NEWSの小山慶一郎,King&Princeの岸優太にみられるように,一見「え!この人が!?」と思わせられるようなメンバーが抜擢されることもあるが,多くの場合はじゃんけんや成り行きなどなど,偶然的にリーダーとして指名され,そしてこれまた偶然にもそのメンバーが一番年上であることが多いのだ(その点でいうとSnow Manは例外).

 ジャニーズに少しでも精通している人であれば,SixTONESのリーダーが決定する直前のタイミングで「あ,これ髙地だな」とすぐに感づいたのではないだろうか.“放っておくとバラバラなメンバーをまとめる”田中樹でもなく,“知的なツッコミ役”松村北斗でもなく,”最年長...なのにいじられキャラ”髙地優吾が選ばれるのは伝統的にもはや必然だったのだ.

 ボクは髙地がリーダーに就任した瞬間,SixTONESの寿命が延びた感覚を覚えた.Snow Man然り,デビュー前のジャニーズJr.という期間のなかで様々なメディアに多く出演し,オリジナル曲も数多く携えており,そして事務所への在籍年数も長いためにパフォーマンス力は全く申し分ない.完成しきっているのである.

 完成しきった状態で表に上がるのは,それはそれで,「生きづらさ」のようなものを覚えるだろう.というのも,ファンをはじめ大衆の人に「SixTONESっていうすげーやつらがデビューした!」と広まれば,無意識的に100%のパフォーマンスが求められる.完成しきったパフォーマンスをオーディエンスが享受すれば「あーやっぱSixTONESだわ」と満足するが,少しでも生歌を外してしまったりと90%のパフォーマンスを見せられれば「あれ?」と思ってしまう.

 つまり,今のSixTONESは完成しきったが故,減点方式で見られている可能性が極めて高いのである.Hey!Say!JUMPやSexy Zoneがデビューしたときとはわけが違う.そんな中で,髙地がリーダーに選ばれたことでSixTONESは確実に息をしやすくなったとボクは感じるのだ.

 今回の記事では,ジャニーズのリーダー論を振り返ると同時に,優吾がリーダーとして大抜擢されたことのインセンティブ(利点)について考えてみたいと思う.

ジャニーズのリーダー論

 さきほど,ジャニーズのグループにおけるリーダーを列挙してみた.以下のようにしてみてみると,錚々たる顔ぶれのなかで髙地が入っていることにエモさを覚える.

SMAP 中居正広
TOKIO 城島茂
V6 坂本昌之
嵐 大野智
NEWS 小山慶一郎
King&Prince 岸優太
Snow Man 岩本照  ←NEW
SixTONES 髙地優吾  ←NEW

 ジャニーズのリーダー論は多種多様だ.グループをまとめるポジションに就き,リーダーに選ばれるべくして選ばれた中居正広や小山慶一郎,ドン的なポジションとして坂本昌之,岩本照がいる.「リーダーだけどなんもしない/いじられ役」ポジションとしてのリーダーは大野智をはじめ,城島茂,岸優太,そして高地優吾...である.

 リーダーとしての役割は様々だが,このメンバーたちにはある共通点がある.それは,卓越した実力を持っているところと二番手・三番手ポジションであるということだ.

SMAP 中居正広【トーク/司会】
TOKIO 城島茂【ギター】
V6 坂本昌之【歌】
嵐 大野智【歌/ダンス】
NEWS 小山慶一郎【司会】
King&Prince 岸優太【歌】
Snow Man 岩本照【身体的ポテンシャル】 
SixTONES 髙地優吾【ボイパ?/和み?/バラエティ慣れ?】

 髙地の新しいところは,卓越した実力がないのにも関わらずリーダーに就任したことだ.たしかにドキュメンタリー番組「RIDE ON TIME」のなかで髙地は「ジャニーさんに「君はいるだけでいいよ」と言われた」ことを告白し,「じゃあオレは何を努力すればいいの?」と悩んでいた時期を告白していた.とはいえ,「いるだけでいい」というのは,良く捉えると,存在感がそのグループのなかでめっちゃ強いとも解釈ができるので,そんなマイナスに受け止める必要はないのではないかとボクは思う.

 正直なところボクも髙地には「いるだけでいい」という思いを抱いている.これは決して貶しているのではなく,SixTONESという一見すると怖いイメージのあるグループに,髙地のようないつもにこやかで「アイドル」的なキャラクターがいることで,雰囲気に少しばかりの和みが生まれ,場の全体が丁度いい塩梅のオラオラさに留まる.

 また,「RIDE ON TIME」でのきょもの発言についても無視することはできない.彼は,そのドキュメンタリーのなかで「ボクらは自分の夢を叶えるために6人で旅をしている」と言っていた.ボクからするとこのきょもの考えは意外だった.SixTONESと6人時代のKAT-TUNの共通点はオラオラ感,一人ひとりのポテンシャルや個性がめちゃくちゃ強い,など色々あるが,違う点として,SixTONESはメンバーへの尊敬の念を隠さず,自身らの所属するSixTONESというチームのことを誰よりも想っているし,誰よりも愛しているという「愛」の部分にある.

 たしかに,きょもの言うように,みんな特技はバラバラだし,振りもSnow ManやTravis Japanと比べると綺麗に揃っている訳でもない.しかし,振りが揃ってしまえばそれは最早SixTONESではないし,バラバラ=未熟だとも全く思わない.それぞれの個性が無秩序に爆発し,それが,1つになったときに本当のSixTONESらしさが出るってのが彼らにしか繰り出せない魅力なのだとボクは考える.

 そんなグループに例えば,田中樹が就任すれば,もちろんそれでもある程度の期間は持続するだろうが,長い目でみたときに樹筆頭のもとで10年,20年活動していく未来を想像することがボクにはできない.正義感が人一倍強く,思ったことをガンガン言う彼がリーダーとなってしまえば,個性がバラバラのグループのなかでワンマンな指揮をとることが予測できる.これと似たような事例は,嵐の松本潤が「ホンマでっか!?TV」に出演した際に,脳科学評論家の澤口俊之から言われたアドバイスがあるので,興味ある方はそちらも見てもらいたい.

澤口「逆にそれが良かったかもしれない。松本くんがリーダーになっていたらトップに立って階層構造ができあがり、支配的になっていたと思う

 そう考えると,SixTONESの特徴であったり,二番手・三番手ポジションという今までのジャニーズグループのリーダー史における特徴,評論家が下した嵐への助言を鑑みると,髙地はまさに適任であるということが共感していただけただろう.最年長なのに...まだキャラ確立において安定していない感じや,元来的に持ち合わせている柔らかい感じがSixTONESを1つにする延命的要素となるのである.

優吾のプロ意識

 このまま終わってしまうと,なんだか優吾担に失礼な気がするので,ファンにしかあまり共有されていない優吾の“プロ意識”について触れておこうと思う.

 彼は6人のなかにいるときは,頼りになるような発言をしたり,何かにおいて頼られることはあまりなく,いじられキャラとして皆からのいじりを優しく受け止めるのだが,1人になると内に潜めているプロとしての思いを我々に見せてくれる.

 ボクがそう思った最近のきっかけは,前節でも登場したドキュメンタリー番組「RIDE ON TIME」での優吾の姿だ.

 ジャニーズJr.が単独で東京ドーム公演を行う際,公演が始まるギリギリまでバラエティー番組のロケ収録を行い,時間を押してしまいスタッフの人たちを待たせてしまったときに謝り倒す彼の姿や,その移動中におけるスタッフからの直近の心境はどのようなものかという質問で髙地が「SixTONESが大きくなりすぎて俺が置いてかれてる やる仕事与えられる仕事が大きすぎて,身の丈にあった仕事ができていない」と告白する姿に彼のプロとしての態度を見れたような気がする.

 謝罪はまあ当然であるにせよ(とはいえ最近の若者は素直に謝ることができない気もするが...),SixTONESという負け知らずな雰囲気を帯びたグループの最年長でありながら,そんな素直な自分の今の悩み/心境を告白できる素直さにボクは感銘を受けたのだ.このときはまだリーダーとして就任されていない時期だったのだが,リーダーが弱みを吐けるチームは,それに準じて他のメンバーも「オレも...」と言い出せるので,ストレスが溜まりにくい.「身の丈にあった仕事ができてきない」という課題に対しては,酷なことを言うようだが,あうように頑張って欲しいし,もっと自信をもってこれからの大きな仕事と立ち向かってほしいとボクは願っている.とはいえ,弱みを吐けるグループは皆で助け合いながら,絆を深めながら1つの活動ができるので,きっとこの課題はすぐに乗り越えられるものだろう.髙地がリーダーとして就任したのだから,尚更だ.

 また,「RIDE ON TIME」で放送された髙地パートについて取り上げたネット記事では,彼の単独インタビューでの回答がピックアップされた.

 見出しにもあるように,仕事終わりだろうか,夜の横浜(髙地の地元)の万葉倶楽部の屋外スペースでインタビューに答える髙地の発言は,なんというか,いつもよりも強かった.

「SixTONESがなくなったらなんて考えられない。僕がそうさせないです。なんとしてでも止めます」

 これを発言する彼の目はいつもよりも本気であった.このインタビューを通じて,多くのファンが,いつもの癒し的ポジションとは違い,当時は最年長として,今となっては最年長・リーダーとしてグループを守っていかなければならないという髙地自身のプロとしての使命感を強く感じ取れたのではないだろうか.

 弱みも言える,けれど誰よりも本気でSixTONESのことを考え,「僕がそうさせない」と強く宣言できる彼の度量になおさら彼への信頼を覚えたのであった.

今後のSixTONESにリーダー髙地優吾はどのように作用しいくのか

 冒頭でも述べたように,現在のSixTONESは完成され尽くしていて,完璧さを追い求められるが故に,オーディエンスからの見られ方が減点方式のようになっている節がある.なにか大きな仕事が発表されたときのファンによる「やっぱSixTONESはすごいよねー」の「やっぱ」にそれが集約されている.

 その点,Sexy ZoneやHey!Say!JUMPのデビュー時のように,見るからにまだ未熟な感じやあどけなさが残る感じがしていれば加点方式で自身のポイントを貯めていけるが,いまさらSixTONESが加点方式を採用することはできない.

 減点方式からは逃げられないにせよ,ではどのようにしてSixTONESが今後を自分らしく,生きやすく活動できるのかとなったときにリーダー・髙地という存在が必要になってくるわけだ.

 彼の,ダンスが苦手という特徴であったり,彼だけ全くSixTONESのあのトゲトゲしい感じとは全く真逆な雰囲気を帯びているという特徴であったり....SixTONESらしさと矛盾する彼のそのキャクター性が意外性のある可愛さ・癒しにつながり,グループに新たな点数項目(「可愛さ・癒し」)が設けられる.そこにおいては加点方式を採用することができるに違いない.

 どこかのコメンテーターは「SixTONESというグループはSMAPや嵐と並ぶくらいの大きなグループへと成長するだろう」とニュース番組のなかで発言していたが,たしかにそれだけのインパクトファクターを持つグループになることは間違いないだろう.リーダーに髙地が選ばれたことで,グループ全体の背中をさらに押してくれる新しくも優しい風が,SixTONESを伸び伸びと前へと向かわせ,やがては男性アイドル界の新代表として崇められる日はそう遠くないはずだ.

 

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