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川の表情

「矢切の渡し」。
ご存知ですか?

現在東京で唯一残っている
「渡し」。橋がない場所、
川のこちらと向こうを
つないでくれる船の渡しです。
「渡りに船」の渡りですね。

かねてから、
この「渡し」を一度
体験してみたくて。
先日思い切って訪れてみました。

がらんとだだっ広い
河川敷にポツン、と
小さな桟橋があり。
矢切の渡しと書かれた
旗が風にはためいています。

柴又駅から帝釈天を
拝観して。そこから
てくてくと江戸川を目指して
歩いてきました。
10分弱くらいです。

ここかぁ。
桟橋の先に立ってみます。
むむっ。すごいぞ。
川の水面がめちゃくちゃ近い。

ん、あれ。
誰もいないな。
…と。
川の右側から、船が一艘
こちらへゆっくりと向かって来ます。

乗っているのは、
真っ黒に日焼けしている船頭の
お兄さんと、お客さんであろう
お姉さん。そのお二人です。

お姉さんが桟橋に降りてきて、
ペコリと頭を下げてくれました。
ペコリ。私も頭を下げます。
船頭のお兄さんが私を見ます。
お客は私一人だけ。

「往復ですか?」
あ、はい。そうです。
「じゃあ往復で、400円です」
おお。元々往復のつもりだったのですが
向こうから聞いてくれるのですね。

お金を払って、船に乗り込みます。
おお。やっぱり、水面が
すごく近くて迫力があるなぁ。

まだ暑さが残っていますが、
川を渡る風。
とても気持ちが良いです。

「真夏はお客さんがいないんですよ。
暑くて。」そりゃあそうですよね。
やっぱり春と秋が忙しいそうです。
それからお正月。

お兄さんは気をきかせて、
色々とおしゃべりをしてくれます。
この川には鮎がいるとか、
向こう岸はゴルフ場なのだとか。

始めは手漕ぎだったのですが、
「情緒なくてすみません。」と
お兄さんが断ったあとにモーター音が響き。
おお。見た目は手漕ぎっぽい、
木製の船なのですが中身は
ハイテクなのですね。

川幅はそんなにないのですが、
結構流れが早いです。
確かにこれでは、ずっと
手漕ぎは大変そう。

あれよあれよと向こう岸。
気がつけばもう、元の場所へと
戻っていました。
あっという間の船旅。

お兄さんの怒涛のマシンガントークは
結構クセがあるので、人によって
好みが分かれそうだなあと
思いましたが。

船旅自体はとても爽快で、
気持ちが良かったです。
良いお天気の日がオススメです。
どうしてかというと。

船も良いのですが、
そこから「金町駅」までへの
徒歩の道のりが最高だったのです。
大体20分弱くらいでした。

北に向かって川の真横、
河川敷をてくてくと歩く道のり。
これが本当に気持ちよくて。
周りにほとんど人が、というか
何もないのです。建物が。

まだ暑さの残る真っ昼間と
言う事時間帯だったせいもありますが。
周りに遮るものが何もなく、
川と草原と青空だけが広々と
広がっている素敵な場所。

途中に休めるベンチが
置いてあったので、
そこで少し休憩も出来ます。
両手で抱えられるほどに
大きく広がる、青い空と白い雲。

東京に住んでいると、
どこにいても建物が視界に入ってくるので、
なかなかこういう場所はありません。
開放感がものすごいです。

はあ〜。気持ちいい…。
ちょっと暑いですが、
ずっとここにいたいなあ。
お茶を飲みながら、
うっとりと目を閉じます。

川のこちら側が東京、向こうは千葉。
しかし江戸川。
私のよく知っているのは多摩川なので、
川の表情のあまりの違いに
とても驚きました。

江戸川は岸、がほとんどなく
水面が本当に近い。目の前。
そのせいか水量も多く感じます。
とにかく存在感が物凄い。

川です!!!と、後ろに
ビックリマークが
たくさん付いている感じ。
迫力満点の、堂々とした顔つきです。

多摩川はなんと言いますか…、
もう少し穏やかな表情です。
川は岸から少し離れていて、幅が広くて。
横に広いせいか、川岸が大きいからか。
水量もそこまで多くは感じません。

う〜ん。
同じ「川」なのに、
こんなに、まるで別人みたいな
顔つきをしているのだなあ。

新しい発見でした。
川。
あなたは、川はお好きですが?
私は大好きです。

電車で、徒歩で。
川を見つける度に、
その景色をついついじいっと
眺めてしまいます。

開けていて、空がとても広く
感じられて。特に大きい川の
河川敷を歩くのが大好きです。
気持ちがよくて、どこまでも
歩いていけそう。

あなたのお家のお近くに
川はありますか?
もしよろしければ、
一度川の表情を見つめてみませんか。

出切ればお天気の良い日が
最高です。川ももちろん、
いつもより広い青空も一緒に
心ゆくまで眺められる。

滔々とした川の流れ。
時間帯によっては光を反射して
揺らめく水紋が、ため息が
でるほど綺麗です。

光っていなくても、
ゆったりとした水の流れは
見ているだけで心がしんと
落ち着きます。

もしよろしければ、
お散歩やお出かけ、旅行のコースの
候補の一つに、「川」をめざす。
どうぞご検討してみてくださいね。

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ここまで読んでくださいまして、
どうもありがとうございます!



















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