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僕の心にある夢の倫敦-イギリスに行くまでの話

倫敦・ロンドン、というかイギリスに行こうと思ったきっかけの話。


私の好きなバンド、go!go!vanillas。ちょうど10年前、大好きなバンドUNISON SQUARE GARDENが企画に呼んだことで一目惚れ(?)して、たくさんの友達が出来て、遠征をして、第二の青春のようになったバンドがある。

このバンドは元々UKロック(特にビートルズ)やアイリッシュからの影響を公言しており、それはかなりサウンドにも表れていて、日本の若手バンドの中でUKロックの影響を受けているバンド…と言えば、おそらく筆頭として上がるのではないだろうか。もちろん彼らはそのほかにもいろんな国の音楽を吸収していて、ルーツを上手く日本のロックとして溶け込ませているので、UKっぽさ、だけのバンドではない。

とはいえ、初期の曲『オリエント』の中で「僕の心にある夢の倫敦」と歌っていて、この曲は大切に思っているファンも多く、ふんわりロンドンって憧れるな~という人がほとんどではないだろうか。私もその一人だった。

転機になったのは2021年11月21日、横浜アリーナでのライブ。「Life is Beautiful」と銘打って打たれたライブだったが、2021年はアルバムPANDORAのリリース年のため、必然とアルバム曲が多くなる。その中で披露されたロンドンの街のイメージを詰め込んだスクリーンの前で歌われた「倫敦」という曲を聴いて、「あ、私、ロンドンに行かなくちゃ」と急に使命感めいたものが沸いた。

元々アルバムの曲として聞いた時にもエッジが効いていてダーティーで新境地っぽくてめちゃくちゃかっこいい曲だ…と思っていて、アルバムツアーでも刺さってはいたのだけど、ビジョン込み、かつ傘を使ったパフォーマンスにトリップしていたら、ロンドンという街のことに頭が行って「そういえば、私の好きなものって…ロンドン、そしてイギリスルーツのものがめちゃくちゃ多いのでは…?」ということに気付いてしまった。

例えば、まずはやっぱりハリー・ポッター。10歳か11歳で秘密の部屋を手に取ってから、小説・映画はもちろん、ゲーム(特にPCゲーム)にまで手を出して、今でも関連イベントやグッズはずっとチェックしている。

そして、そもそもハリー・ポッターの前に、親の影響で英国ファンタジーが好きだった。ダイアナ・ウィン・ジョーンズが好きすぎて、ジブリのハウルの軽いアンチだ。

皮肉めいた作品が好きなのは昔からで図書館にあるロアルド・ダールはほとんど読みつくした。

和製シャーロック・ホームズと言われる相棒の杉下右京さんが大好きだが、そもそも推理物が好きで、たぶんその始まりは名探偵コナン、だけれど、初めて推理小説を読んだのは、言わずと知れた「アガサ・クリスティー」だ。あまりホームズは詳しくなくて、ポワロ派である。小学生の時に子供向けに編集されたアガサ・クリスティー集を読んでいた。

普段インテリアや建築などを見る時にも、なんとなくヨーロッパ風のクラシカルなものが好き、というのもあって、神戸で異人館にいった時はよく考えたら当然のように英国館を選んでいた。

ファッションやインテリア、でいうと、昔から花柄、特に小花柄が好きで、自分に似合う!と言い続けており、リバティ社のテキスタイルは当然のように憧れ・ときめきの対象だった。

Netflixで特に一番面白い、この世のドラマで一番好きかも、と思っている「セックス・エデュケーション」はイギリスの学校を舞台にしたドラマだ。そして、この年の頭から激はまりしていたドラマ「ブリジャートン家」もロンドンの社交界を舞台にしたドラマ、クラシカルで華美でありつつシックさもある世界観に胸をときめかせていた。

バニラズのように音楽に詳しいわけではなくて、正直言って洋楽はあまりわからない…のだけど、明らかに「アイリッシュ・ケルト」っぽさの漂う曲は特別に好きなのにも気づいた。

もちろんここまでしっかりと曲中に考えていた訳ではないけれど、映画が好きでそうすると英米カルチャーに触れることは多く、でもアメリカンドリームなポップな世界観よりも、明らかに私はイギリスの文化を贔屓目にしていた。フランスやイタリア、も素敵だと思うけど、気質が自分にしっくりくるのはイギリスだった。

たった一曲で「ふっと世界が変わる瞬間」みたいなのは、人生でそれまでにも二度ほどあって、それはいつも悲しさから抜け出す瞬間だったけど、これは明確に世界が広がる瞬間だと思えた。


「ロンドンへの憧れを口にしていたボーカルの牧さん、この曲を書いているけど、ずっとバンドの活動をしている中で、どこかでロンドンに行くタイミングってあったのかな」なんてことをライブの前に考えていたのだけど、ライブ中「実はまだ行ったことがなくて…」と笑っていた。行かなきゃと思い込んだ私は「彼より早く行こうかな」なんてことを、ライブ終わりにツイートした。そうしたら、バニラズのイベント同行でやり取りして7年ほどずっと仲良くしていたフォロワーが「私も行きたい!」と声をかけてくれた。「あ、良かった、さすがに一人では怖いなと思ったけれど、一緒に行ってくれる人がいるなら。というか、こういう約束を本当に具体的に実現してくれる彼女とならきっといけるだろう」そう思って、その日からそれは一気に私の夢にもなった。

このライブから一か月も経たないうちに、楽しみにしていた映画が公開された。「ラストナイト・イン・ソーホー」60年代ロンドンを舞台にした映画で、大好きなアニャ・テイラー=ジョイと前作から気になる女優になっていたトーマシン・マッケンジーのダブル主演のホラー映画だ。ソーホーが具体的に何なのかはまだ分かっていなかったが、ここでまたロンドンの街並みに行きついた。

また、同時期、100均のセリアでウィリアム・モリスの柄のアイテムが展開され始めた。その時点ではモリスのことはほとんど知らなかったが、どう見ても好きなクラシカルで優美な柄。コレクション癖に火が付いた。

そして、年末から始まった「ハリー・ポッターと魔法の歴史」展。そもそも、魔法・魔女みたいなオカルティックなテーマが性癖に刺さる。魔法と言えば、でここでもイギリスにぶち当たる。

3月にはブリジャートン家のシーズン2も配信され、やっぱりこの世界観が好きだと思わされた。

そんなこんなでイギリス・ロンドンに行きたいと思うと自然に英国カルチャーが集まってきたのだが、同時に図書館でイギリスやロンドンに関する本も読み始めた。リバティやモリスに関する研究本に加えて「英国ファンタジーをめぐるロンドン散歩」「ゴーストを訪ねるロンドンの旅」などの旅行本。それまでは、図書館と言えば、文芸書を借りに行く場所でしかなかったのだが、急に自分にとって面白い本が何倍にも増えることになった。

例えば
・英国の制服やパブリックスクールに関する本
・英国貴族の城館(マナーハウス)に関する本
・英国のマーケットに関する本
・英国の自然に関する本
・アンティークに関する本
・ボタニカルアートの本
・スコットランドのタータンチェックに関する本
・英国の建築に関する本
・英国の貴族やメイドの生活に関する本
・英国の歴史に関する本
・コッツウォルズ地方に特化した本
・英国の住宅、インテリアに関する本
・ヴィクトリア女王に関する本
・英国のお菓子に関する本
      ・・・・など

特にヴィクトリア朝関連とアンティークにはハマってしまい、英国のクイーンにまつわる映画はたくさん見た。また、アンティークを求めて都内近郊の蚤の市や出先でもアンティーク・ヴィンテージショップに行くようになった。特に紙物が好きで、昔の人々が送りあったポストカードを買ったりした。そのうち、陶器にも憧れを抱くようになり、ウェッジウッドのジャスパーウェアやスージークーパーを飾るのが夢になった。(今の家では安定して飾れるスペースはない…。)

こうして憧れがどんどん具体化していき、旅行ガイドブックも複数集めてくると、どんどんイギリスの土地や行くべき場所が定まってくる。キューガーデンから来た作品のボタニカルアートの展覧会へ行ったり、テート美術館展へ行ったり、国内で味わえるイギリスのイベントにもどんどんアンテナを張るようになった。

バニラズの牧さんが紹介していたお知り合いのお花屋さんが、イギリスにインスピレーションを受けていると知っていってみて、いつ行ったらいいか、どこがおすすめかアドバイスをもらったりした。(店主の方がインタビューで応えていて知ったのだが、大学の先輩で隣の学科だった。笑)

そうは言いつつ、国内でもずっとライブに行き続けているとなかなかタイミングもなく、お金もかかるし…ということで具体的にはならず、近所のアンティークショップの人にもいつか行きたいんですけどね~なんて話していたのが去年の夏頃。そしてすぐ来た秋、インスタを見て私は驚く。「バニラズがロンドンでレコーディングをしている…!!!」

おめでとうという気持ち7割、そして私も早くいかなきゃの気持ちが3割。とりあえずは訪れた場所をスクショして起き、いつか行くリストに追加することを始めた。笑

そして、2024年3月、バニラズが幕張メッセでライブをしたタイミング、連番でいつか一緒に行こうといっていた友人に、そろそろロンドンに行かないか?と相談を持ち掛けた。「よし、行こう!6月ならいけそう!」

思ったよりあっという間だぞと思いつつ、まずは日程を決めて会社に連休の相談。まとまった休みを取るのは初めてだったので、快く許可をもらえた。

そこからは、自分たちですべてプランを決める日々。飛行機をとり、ホテルを仮抑えして、行きたい場所をピックアップしてざっくりしたスケジュールを決めて、また少しホテルを安いところに変えて、スケジュールをさらに細分化して…真夜中に私の家で作業したり、夜中に通話したりと、大変だったけどとにかくやりたいことに溢れていたので、少しでもそれを実現するために頑張ってパズルを組み立てた。

それと並行して、バニラズがMVで行っている場所やオフショットムービーで歩いている場所なども出来る限り行ってみたいと思って探した。(元々地図やストリートビューを見るのが好きで、いろんなMVの撮影場所を当てたり、ライブハウスの写真から箱を当てるのが趣味…。)その結果、数か所は宿泊場所に近くなりそうで旅がさらに楽しみに。

あとは、持ち物の準備。新しくスーツケースやボディバッグを買って、準備をして…体調もなるべく整えて。あっという間にやってきた6月。

これまでのイギリス情報を集める中で、ロンドンに行きたい、という夢はいつの間にか「イングランド、ウェールズ、スコットランド、北アイルランド(そして国を跨ぐけどアイルランドにも…)の全てに訪れたい」という夢にまで広がっていたけど、まずはイギリス・ロンドン~コッツウォルズ~オックスフォード旅へ行ってきました。

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