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#180 彼岸参り

 春の彼岸の時に、大阪に住む姉が、子供夫婦と孫を連れて、墓参りに帰ってきた。

 4月から小学校に入学する孫娘は、上手に花の絵を描いていた。私が、「もうすぐ小学校に入学やな。ランドセルは何色?。」と言うと、「茶色」と元気のいい声が返ってきた。

 「この頃会社はどう?調子ええ?」と、私は、に話をした。亡き父親から受け継いだ小さな会社を経営している甥が、「ええことないねん。」とさえない声で言った。

 「最近も、同業の会社が廃業したわ。」と甥が言った。「そうか~。」と、私が言うと、「子どもが、あと継いでくれへんからな。親が、取引先の人に気を使ったり、残業したり、休日返上して働いている姿を長い間見ていたら、子どもも、跡を継ごうと思わへんで。親も、自分の代で廃業しようと決めている人の話も、よく聞くで。」と甥が言った。

 「まあ、無理せずに、元気で仕事してな。」と私が言った。
 「そうするわ、子どもも、今年小学校1年と、保育所の年中さんや。今は、子どもの養育に精一杯や。おっちゃん。ぼちぼち頑張るわ。頑張っていたら、ええ時も来ると思ってるねん。」と、甥はそう言って、大阪に帰っていった。
@社会

 


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