見出し画像

#400 朝稽古の力士たち

 土俵に近く、力士の稽古の様子がよく見えるところに、50席ほどの後援会会員用の椅子が用意されていた。私たちは椅子に座り、力士の稽古を見学した。すでに激しい申し合い稽古が始まっていた。力士の立ち合いには、『パチン』と高い大きな音がした。勝負がつくとすぐに、次の力士が勝った力士に試合を申し込んでいた。
 土俵の横では、尊富士関が相手の力士をめがけて、激しいぶつかり稽古を繰り返していた。立ち合いを受ける力士のお腹は赤くなっていた。
 伊勢ケ濱親方は力士の取り組みを見守っていた。時々力士を呼んで指導していた。白鵬親方も力士を見守っていた。時々、力士のまわしをつかんで指導していた。横綱照ノ富士関も、身振り手振りを交えて力士を指導していた。
 今日の熱海富士関は、終始稽古の主役だった。たくさんの相撲をこなしても息が上がらなかった。右肩に黒いサポータをして、その上からテープを巻いた白桜鵬関は、左からの攻めの練習をしていた。
 土俵の柱に『パチパチ』とてっぽうを繰り返す力士。思いダンベルを持って練習する力士。それぞれの力士が、絶え間なく何らかの意図を持って体を鍛えていた。

てっぽうを繰り返す力士

 小学生が特別に練習に参加していた。練習場所を求め特別に参加させてもらっているとのことだった。
 12時前になった。力士にちゃんこの時間が告げられた。それからの力士の声が大きくなったように私は思った。 

ちゃんこ前の力士のすり足


 力士のパワーや息遣いに、まじかで触れることができた、今日の朝稽古だった。

#スポーツ観戦記   #エッセイ部門

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?