見方日記 12/1〜
雑然とした日常のメモのうち「見方」とも言えるようなかすかな断片たちが居場所を求めている。
12月1日
鈴木康広さんの言葉。
「釣りは“うき”を見る。風とか波とかじゃなく、どう考えたって、魚が関与しないとしない動きをするときがある。それを見逃さないことが大事。微妙な差異を感じることが大事。」
「釣りがうまくいかないとき。えさがダメなのかな、天候がダメなのかな、場所がいけないのかな、なにがダメだろう、というとき、ちょっとだけ変える。そのちょっとだけが大事。全部変えちゃうとなにがダメだったのがわからなくなっちゃうから。」
「ということは、アートでも重ね合わせて大事で、観察して微妙な差異を感じること、トライ&エラーを変数を少しずつ調整しながらやっていくこと、そういう態度は、釣りとほぼ同じ。」
*
同じく鈴木康広さんの言葉。
「みんなが知ってるものを作品の一部にすることによって、みんなが関われるようになった。」
12月2日
松岡正剛さんの言葉。
アリストテレスからヴィーコにいたる思考方法の開拓者たちは、このトポス(場所)から何かを取り出せると考えた。何かとは「情報」だ。情報はトポスから出来(しゅったい)した。そして、トポスに向かってその何かを動かす術や方法のことを、修辞学的に「トピカ」(topica)と名付けることにした。トピカは内在力が繰り出すもので、トポスはトピカが作動しなければ成立しない。トポスとトピカは相互共役的なのである。
こうしてトポスからトピカによって取り出されたものがトピック(topic)になったのである。
12月3日
藤野さんの言葉。
「ローカーボでダイエットに成功をしてもなかなか維持が難しい。
どうするか?コロンブスのたまごなんだけれども炭水化物を減らすということを考えるのではなくて、「タンパク質を増やす」と考えるといいそうだ。
確かに、減らす、という目標は苦痛だが、肉や魚を積極的に取ろうという考え方は続きそうな気がする。
悪い習慣を断つにはオールタナティブ(代替)になる楽しい習慣で悪い習慣を追い出していく、というのは考えるヒントや成功への近づく道であるように思える。」
12月4日
カマキリは首が動くので目が合う。
バッタは目が合わない。
目が合うカマキリには名前をつけるのに、目が合わないバッタには名前をつけない昆虫好きの友達がいた。
目が合うって大事。
そういえば昔、
「目と目で通じ合う」って歌詞あったな。
*
ダンサーARATAさんの言葉。
「ダンスは技術があることはもちろん大事なのですが、それと同じくらいに大事なのが、自分のスタイルやキャラクターがある、ということなんです。スタイルやキャラクターは簡単に言うと、その人の『個性』です。
ダンサーの中には引き締まった身体つきの人が多いので、体格から個性を出していく人は余り多くないように思えます。どちらかと言うと服装やヘアスタイル、シューズなどでそれぞれの『個性を身にまとう』ようなイメージですね。それに対してチョコプラの松尾さんや渡辺直美さんは体格に特徴があるため、パフォーマンスにおいて個性が見えやすく、魅力的に映りやすいというのはあると思います」
12月5日
ものが変わらないなら、メガネを変える。
絵が変わらないなら、額縁を変える。
そうすると、新たな見え方、価値が出てくる。
*
良いものがあっても、
消費者やユーザーの頭の中、
想起の中にあがってこないものは、
ないものになってしまう。
頭の中にないものはない。
実存在ではない、想起存在の話。
存在とはなんだろう?
12月6日
「日々の楽しさを更新していくことが、
あのとき絶望した自分への励まし。」
星野源さん
*
マツコさんのDJ松永さんに対しての言葉。
「あんたがさ、ヒップホップがこれ以上大きくならないと捉えているのは違うと思っている。テレビという枠で捉えているからダメなのよ。」
「テレビってものを使って、瞬発的にプロパガンダするのはいいけど。テレビでヒップホップがなぜ盛り上がったかっていったら、『ラップって凄い瞬発力あって賢いよね』とか『即興でこんなにできてかっこいいよね』って、そっちの部分で盛り上がっちゃった。本質のとこは置きざりにしてね。」
「本質で大きくなんなきゃ。」
「結局、伝わるものって全部熱量。熱量しか人に伝わらないんだから。」
泣いてた、、松永さん。
12月7日
技術にはいくつか評価軸がある。
品質よくつくるという技術もあれば、
安く作るという技術もあれば、
はやく作るという技術もあれば、
使いやすい製品をつくるという技術もある。
単に技術があるという解像度ではなく、
どの技術が高いかを見極める必要がある。
日本の製造業だと、
品質よくつくる技術に目が行きがちだが、
グローバルには、
安くはやく作る技術や
使いやすく作る技術は、
とてもとても大事。
*
「自由の定義は?」
「そう問えること。」
(マンガ『チ』より。)
*
「迷って。きっと迷いの中に倫理がある。」
(マンガ『チ』より。)
12月8日
桃戦しよう!
ん?
ももせんしよう?桃投げ合うの?楽しそう!
*
池亀彩さんの言葉。
「インド人の生活において最も実感をもって「生きられている」のは、むしろジャーティーという集団概念である。ジャーティーは世襲的な職業(生業)に結びつけられ、その内部でのみ婚姻関係が結ばれる(内婚制)。
生業と内婚規則によって維持される、大工、石工、洗濯屋、金貸し、床屋、羊飼いなどさまざまなジャーティー集団があり、こうした多様なジャーティー集団の分業によってインド社会は維持されてきた。
インド人やインド研究者がカーストという場合、多くはジャーティーを意味する。本書でも、カーストをジャーティーの意味で用いる。ジャーティーとしてのカーストの数は2000とも3000ともいわれるが、実際にカーストを数え上げることは困難だ。
地域的な差異も大きいが、1つのカーストは、実際にはいくつもの副次的なサブ・カーストに分かれており、さらに実際に通婚する内婚集団としてみると、サブ・カーストよりもさらに下位のサブ・サブ・カーストであったりする。
カーストは複雑な入れ子構造になっており、外からみれば1つのようであっても近くによれば何十もの異なるグループが内側にあることがわかる。」
12月9日
「生きるとは、捻じ曲げられたものを捻り返して真っ直ぐにすること」
橘川さんの言葉。
捻じ曲げられたとき、「目には目を」や、より弱い者へのシワ寄せ、ではなく、表現に昇華させて捻り返していきたい。
己という名のダムを築きたい。
*
「人生」
事故というつぶてがあたり変化する
軌道様々ブラウン運動
*
「一人が寂しいんじゃない。好きな人と一緒にいられないのが寂しいんだなって」
ハンオシの台詞より。
12月10日
ナチュラルメイクという言葉は知っていた。
さっとやって、
化粧品やメイク道具も少なくて、
と、
勝手にイメージしておりました。
が、ナチュラルメイクはあくまでも
「ナチュラルに見えるメイク」であって、
いかにナチュラルに見せるかにこだわると、
実際には、
化粧品も道具も多くなるし、
濃いメイクよりも時間がかかるんだよ、
このやろう
と怒られました。
ひい。ごめんなさい。
*
自然とはなんだろう。
原生林と
手入れされた鎮守の森を見て、思う。
12月11日
JavaとJavaScriptは、
加藤あいと阿藤快くらい違う
という言説。
12月12日
紺野ぶるまさんが言ってた。
「旦那さん一筋です、今でも大事にしてます。仕事が終わって帰っても家事をします。でも、こういう話をしてもいまだかつて“愛夫家”と呼ばれたことは1度もないんです。そもそも愛妻家っていう言葉がなぜできたんでしょうか。」
たしかーにー。アフガーニー。
*
NHK将棋講座にて
「これは穴熊臭がぷんぷんしますね。」
そうなっていない段階で、
プロセスの様子とパターン記憶から
予測できることを
「〇〇臭がする」と表現すること。
まだ見ぬものを匂いで判断する見方。
穴熊が臭いそうなのも相まり面白い。
*
糸井さん MOTHER2の作り方。
「となりにいた、まーちゃんって子が、
糸井さん、次のシーンはこういう場面で
これこれです、っていったら、
僕が口頭で、セリフを、
これこれって返して、
それをタイプしてもらってたんですね。」
「とっさに出た言葉のほうが、
生々しいんですよ。」
12月13日
男子との飲み会帰りなのかしら。
終電の隣の女子2人組の1人が、
「高身長、好印象、超緊張。」
って韻踏んでた。
ラップにくるんで、
見方日記にメモらしてもらったぜい。
12月14日
小さな女の子がお母さんに
「つぎの、つぎで、おわり?」
と聞いて、返答がなくて、
「り?」
と確認していた。
語尾1文字と?だけで成立するコミュ文脈。
*
丸い赤いリンゴは、an apple 数
すりおろしたリンゴは、apple 量
数えられるのか、量感でとらえるのか。
可算・不可算は見方の宝庫、
イメージ・映像共有を端的にできる
方法論だったんだ。
*
change trains
exchange business cards
make friends
相互複数という見方。
動詞がきりむすんでいる。
*
その言語において、
文脈的に何を省略しやすいか、
名詞・動詞をどのように分別しているかに、
その言語圏において
何をこの世界の重要な情報としているかの
「思考基軸」が潜んでいる。
省略しているからといって大事じゃないとは限らない。むしろ自明すぎて大事ということもある。
12月15日
指原さんは、
プロデュースしているアイドルの子に
「どうしてわたしはMVに出られないんですか?」
とLINEで聞かれたら、
まず、2日既読無視した上で、
「自分で自分が好きなところを100個あげてみて。自分で自分を好きにならないとアピールもできないし、伝わらないよ。」
と返すらしい。
返しの言葉はもちろん、
「2日既読無視」という間合いのとり方が
すごい。
未読無視、既読無視、
そしてそれを何日間あけるか、
非常に高度な機微コミュニケーション。
手紙が主流だった時代、
この2日既読無視のような間合いは、
どうはかっていたのだろう?
*
儲けるとは、人に言う者と書く。
どんなに価値があるものでも、
人に言っていかないと。
もしくは、
人に言う者の心を掴んでいかないと。
*
新幹線、自由席に乗りたい。
自由席は1-3号車。
ホームに登った。
ここは何号車あたりだ?
掲示板を見る。
7号車だ。
でも、左右どっちが1-3号車方向か
わからない。
右にちょっと進む。
8号車だ。
ということは、
1-3号車は逆方向だ、と踵を返した。
方向がわからないとき、
ちょっと進んで、
その差分で方向が合っているかを判断する
という方法論が
ここには隠れている。
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