逃げちゃだめだ!事業責任者編

これはなに

エイチームライフスタイルアドベントカレンダー2021 の6日目です!
毎年アドベントカレンダーは書く!と決めているので、過去分はたまに見返します。来年の自分への問いかけで書きます。

事業を成長させるための施策にはたくさんの規模・種類のものがあります。その中で、自分たちがとっかかりやすい施策ばかりやっていないか。
そんな問いかけを来年の自分と、ちょっと興味を持って読み進めてくださった方にできればと思います。

わたしは誰

ここに詳細書いています!

エイチームライフスタイルで女性の生理日管理アプリ『ラルーン』の事業責任者をしています。ちだです。
去年のnoteを書いてからちょうど1年になります。1年でブライダル事業からラルーン事業へ異動となりました。

少しだけラルーンの説明をさせてください

サービスを開始してから11年となるサービスです。

このnoteが完全にビジネスサイドのnoteなので、簡単に収益モデルを紹介させてください。

マネタイズは大きく分けて2つです
①広告収益
プログラマティック広告と純広告、両方のお取り扱いがあります。

②ユーザーからのダイレクト課金(サブスクリプション型)
ラルーンは基本的に無料でご利用いただける生理日管理アプリなんですが、正確に生理日や排卵日をより正確に知りたい方向けにAIを用いて予測することで、より正確な予測ができる有料会員が存在しています。

サブスクリプション型のビジネスモデルの基本の考え方

様々な書籍がありますが、ネット上で見られる最もbasicな教本はおそらくこのシリーズだと思います。とても勉強になります。

https://www.bplats.co.jp/sdpblog/blog01/

収益の計算方法はすごくたくさんありますが、最もbasicで汎用性のある考え方はこの分解の仕方だと思います。
※ラルーンは基本的に1ヶ月サイクルでの計算です

売上 = 有料会員数 × 平均契約単価
有料会員数 = 継続予定数 × (1 - 解約率)※継続率
継続予定数 = 前月加入数 + 前々月以前の継続数
平均契約単価 = 各プランの契約者割合
 ※平均契約単価の話はしないのであっさりと

上記の分解の中で出てきているものがいわゆる「KPI(重要業績評価指標)」になります。

そしてこの中でちだがいうには、もっとも大事なKPIは解約率です。
なぜならば、解約するしないはお客様がそのサービスに満足しているかどうかに依存するからです。基本的にはサービスの満足度が高ければ解約は起きず、右肩上がりに利用者は増えますので、もっとも大事であると考えています。

===すこしだけ脱線===
Consumer向けのサブスクリプション型で大きくスケールしているサービスはたくさんありますが、あまり解約率を明記しているところは多くありません。
ほとんど唯一探せたのは海外ですが、Spotifyです。
Spotifyは音楽のストリーミング配信サービスで、その解約率は2020年で5%弱見たいです。※参考にしましたが、正式ではないと思います。
2021年のデータも正式に開示はないものの、プレスリリースでは水準に満足しているよって言ってたので、好調だと思います。

Google,Apple,Amazonが参入しているのにそんなに離反起こしていないのすごすぎ...

===脱線おわり===

これもすこし脱線しながら話し続けますが、それはもうご存知の通りサブスクリプション型のマネタイズはConsumerからよりもCompanyからのほうが盛り上がってますね。SaaSってやつです。SaaS企業はかなり赤裸々にKPIを開示しているところが多くて、Consumer向けよりも解約率が低く出やすいのが分かります。

解約率がもっともサブスクリプション型のビジネスモデルで大事なKPIの理由はこれに集約されています。利益との相関がもっとも高い指標だからです。

解約率を下げるための施策群

絶対に抜け漏れありますが、基本的にちだは以下のどれかに解約率を下げるための施策は分類できると思っています。

  1. 満足せず解約した
    これを常に何とかし続ける必要がある

  2. 満足して解約した
    これはOK(ラルーンだと妊娠できたから等)

もう少し細かく分解していきます。
※HOWの方向性に★をつけます

  1. 不満足な理由(上記の1.の下階層)

    1. プライシング

      1. ★料金体系の見直し

      2. ★価格変更

    2. サービスの機能性

      1. 加入時の期待と実際の機能のGAP

        1. ★期待値コントロール(加入までの導線での見せ方調整)

      2. ★そもそものサービス品質
        ※ラルーンだとCS等が有料会員向けには、ないのでこれ以上分解しません
        ※ラルーンなら各種予測AIの精度向上と、それに伴う機械学習に必要なデータの取得

    3. サービスの機能を知覚していない

      1. ★オンボーディング強化

    4. ほしい機能がない

      1. ★新機能の追加
        ※ラルーンなら助産師への相談サービスなど

たぶんもっとあると思うので突っ込みください。
ただし、ちだとしてはこの当たりかなと思います。

【やっと本題】楽な道(出来ること)に逃げてないか?

上記の施策群(★のやつ)を実行難易度順に並べると以下のようになると思います。
※あくまで主観なので人によって前後あると思います

  1. オンボーディング強化

  2. 価格変更

  3. 期待値コントロール

  4. 料金体系変更
    ※↑の価格変更との違いがわかりづらいと思いますが、こういうことです。
    https://markelabo.com/n/n4d07949d143d

  5. そもそものサービス品質

  6. 新機能追加

こうやって実行難易度順に並べると往々にして、見込インパクトと逆順になります。

この際にできることから順に取り掛かってない?それで大丈夫?というnoteです。前置きが長く本当にすみません。

私が所属するエイチームライフスタイルは基本的に全職能インハウスの事業会社です。そのため上記の「そもそものサービス品質」くらいまではすべて自社内でほとんど場合完結できます。

ただし、例えば新機能で助産師への相談サービスを入れようとすると、助産師のリソースを持つグループ病院ないし、民間企業の助けを仰ぐ形となります。

こういった機能はもちろん実行難易度が高い分、お客様からも求められることが非常に多いですし、大きな事業インパクトを生むことになります。

ただその難易度の高さから、「自分たちでできる最も優先度の高いこと」から着手される場合を非常に多く散見しています。
※これはもちろん弊社のみならず他の事業会社の方たちと話していると感じます。

これで本当に良いんだっけ?

サービスのコモディティ化はこれからも加速度的に進む

と、ちだは思います。
要因としては二つあります。

  1. ギグワーカーの増加

    1. UberEatsの配達パートナーなど、これからもっと働き方は柔軟になり、非正規雇用は増えていきます。そしてそれはWEBサービスを作っていく、エンジニア、デザイナー、営業、企画、プロモーションなどなど様々な職種に拡大していっています。
      なので、ノウハウ等なくても外部リソースを用いてサービスを立ち上げることが容易になっています。

  2. ノーコードツールの普及

    1. だれでも簡単にコードを書かずとも、アプリ、WEBサイト、ECでも何でもできる時代になりました。もちろん難易度の高低はあるにしろ。

だからマネしてなんでも作れます。いまからラルーンに似てるアプリを作るのは以前よりもかんたんにできます。
※たくさんの利用者様にご利用いただいているアセットがあるので器だけなら作れます、という話。事業そのものをトレースするのは無理。

こんな中で、自分たちだけで出来る、ことだけやってて本当に事業のアセットは作れるんでしょうか。絶対作れないとちだは思います。
もちろんそれを最速で勝率高くやれることが組織的なアセットとしてあっても結局事業としてのアセットとは言えないです。

後発のスタートアップが資金調達しながらUX全振り切りで、上場企業の製品を抜いていくとかはよく見かけます。これは売上目標に追われて目先のできることから手を付けてしまうからだとおもっています。
他にもイノベーションのジレンマ的な話も往々にしてあるとは思いますが。

1年後なくなっているものにリソースを割くべきではない

施策の中には消耗戦であるものが大いにあります。

加入までの導線の最適化、クリエイティブの入れ替え、EFO、メルマガの件名改善 などなど

もちろんこれらは圧倒的にやるべきではあるし、やったら売上上がるんですが、やりすぎてない?は気をつけたいです。

つまり、ある程度勝ち筋が見えてないうちは積極的に行うべきだとは思うけど、ある程度高水準だよねってなった後数字が出るからと言って大きな改善幅が出ないものにすがらないということです。

そういうことをやっていると結局、局所的な改善はできるものの振り返ってみると「サービスはこの1年でどう良くなったんだっけ?」の問いに答えられないことが多い印象です。

なので、きちんと顧客に向き合い続け、自分たちにしか実現できない価値を提供することにチャレンジし続けられているか、また2022年12月の自分に聞いてみたいなと思います。

以上です!ありがとうございました!
明日のアドベントカレンダー @engabesi さんです!


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