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「選ばれし者」のカルテ (クソカード医学会用資料28)

まえがき

 「選ばれし者」は原作で光の仮面が使用した魔法カードで、「手札のカードを3枚選び、その中からランダムに選んだ1枚を特殊召喚できる」という効果を持ち、このカードで「仮面魔獣・デスガーディウス」を特殊召喚し戦況を覆しました。

 その後、OCGでも仮面カードが多数登場した『Spell of Mask-仮面の呪縛-』に収録されています。第2期のカードにしては比較的ちゃんと原作を再現した効果で、やはり原作さながらのギャンブルカードの類にはなりますが、特に縛りも制限もなく手札からモンスターを特殊召喚可能という強力な効果を持っています。
 そこだけ聞くと強力だけどリスクのでかいロマンカード……のように思えますが、そんなレベルではなくただただ使いづらいのでぜひ治療したいと思ってました。

選ばれし者について

 患者の性能は以下の通り。(出典:遊戯王デュエルモンスターズデータベース)

 ……要はこれ、手札を4枚消費し1/3の確率で1体モンスターを特殊召喚できるという逆にびっくりな効果です。
 ノーコストで発動できますが、実質2枚は確実にコストとなり、そこまでやって特殊召喚も確率です。おい。
 まあそもそも原作効果の時点で微妙なんですけど、原作では1ターンに召喚・発動できるカードに限りがあるルールなのでそこまで腐らず、また3枚全てモンスターを選べたので、確実に1体特殊召喚しつつ墓地リソースを肥やすという【アンデット族】などでまだ使えなくもない効果でした。
 ですがOCGではモンスターカード1枚とモンスター以外のカード2枚と指定され、なおさら使いづらく……というか発動すら厄介なほど重篤になりました。ついでに言うと昔のカードなので当然、召喚条件を無視しての特殊召喚はできないので、原作のようにデスガーディウスは出せません。(どちらかというとデスガーディウス側の問題ですが)

 また"特に縛りも制限もなく手札からモンスターを特殊召喚可能"というのも、逆に言えば縛りや制限さえあれば手札からの特殊召喚なんて昨今ではむしろよく見る類の効果。ていうか医龍こと「鎖龍蛇ースカルデット」がノーコストでそれができてしまいます。
 コスト過多な上に確率に影響される「選ばれし者」を採用する意義はほぼ皆無でしょう。

 問題点をまとめると、
①発動にモンスターカード1枚とそれ以外のカード2枚が必須
②2~3枚が(実質的な)コストとなる
③特殊召喚が確率で代替となる特殊召喚手段が豊富
 といったところ。「やぶ蛇」のように何でも出せればまだ違ったんですけどね。

 さて、となると特殊召喚ではなくコストの方に着眼したいところです。
 手札2~3枚をただ墓地に送る……逆に考えるんだ。手札を墓地に送るだけなら、手札全部除外する「天よりの宝札」や手札2枚をデッキに戻す「謙虚な壺」よりはマシだと考えるんだ。
 またその上で、"手札から"墓地に送ることに意義を見出していきたいところ。ただ墓地に送るだけなら「おろかな副葬」があるので。
 ……と考えていくと、選択肢は「おジャマジック」くらいになります。

 「おジャマジック」は手札・フィールドから墓地に送られると、デッキからおジャマ三兄弟を手札に加えることが可能です。「おジャマジック」を「選ばれし者」で墓地に送れば手札を4枚消費してから3枚増える。消費を1枚にまで抑えられた気になれます。「おジャマジック」が2枚なら手札はプ4枚消費して6枚増える。
 さらにここで特殊召喚したいのは、「おジャマッチング」でサーチ可能な「アームド・ドラゴン・サンダー LV7」。

 勘の良い方はお気づきになられたはず。
 そう、「選ばれし者」を軸に「アームド・ドラゴン・カタパルトキャノン」を出します

選ばれしジャマ者

 まずは「アームド・ドラゴン・カタパルトキャノン」を御覧いただきたい。

 見ての通り、かなり強いけどめちゃくちゃ出しづらい本物のロマンカードです。それぞれ独自の特殊召喚手段・召喚条件を持つ「VWXYZードラゴン・カタパルトキャノン」と「アームド・ドラゴンLV7」をそれぞれ正規に用意するのは至難の技でしょう。
 正規に用意すれば、ですが。

 「アームド・ドラゴン・サンダー LV7」はフィールド・墓地では「アームド・ドラゴン LV7」として扱われます。つまりサンダーを特殊召喚すれば代替にできるわけですが、手札でのカード名はサンダーのままなので「おジャマ改造」で特殊召喚できません。
 ここに「選ばれし者」を加えるとどうでしょう。
 「選ばれし者」の1/3が当たればサンダーを特殊召喚可能です。ダメだっった場合は墓地に送られますが、墓地ではカード名を「アームド・ドラゴン LV7」として扱えるため「おジャマ改造」で特殊召喚できるようになります。
 どちらに転んでも"「アームド・ドラゴン LV7」の特殊召喚"に繋がるわけです。

サンダー「『アームド・ドラゴンLV7』です」
おジャマ改造「よし、通れ」

 次に「VWXYZードラゴン・カタパルトキャノン」ですが、こちらは適当に並べたおジャマなどを「融合識別」で「VW-タイガー・カタパルト」「XYZードラゴン・キャノン」として扱い、特殊召喚します。
 「選ばれし者」発動のためにはデッキの魔法・罠カードの比率を高める必要があるので、「融合識別」はうってつけ。

おジャマ「『VW-タイガー・カタパルト』です」
おジャマ「『XYZードラゴン・キャノン』です」
VWXYZ「よし、通れ」

 「融合識別」はダーリングコブラでサーチでき、ここに【閃刀姫】出張ギミックやドローソースを加えれば、かなり早いうちに「アームド・ドラゴン・カタパルトキャノン」を特殊召喚できます。
 これぞ正規品と見せかけてほぼほぼ模造品で構成された「アームド・ドラゴン・カタパルトキャノン」を出すデッキ……【選ばれしジャマ者】デッキです。

相性のいいカード

 ドローソースを中心に魔法の比率を高めに。

・「閃刀起動ーエンゲージ」
・「成金ゴブリン」
・「チキンレース」
・「貪欲な壺」
 ドローソース。貪欲はおジャマの再利用にも使う。

・「捕食植物 オフリス・スコーピオ」
・「捕食植物 ダーリング・コブラ」
・「捕食植物 アンブロメリドゥス」
・「簡易融合」
 ご存知サーチセット。さらにモンスターが2体並ぶので「融合識別」を1枚素引きしていれば、サーチ分と合わせて即座に「VWXYZードラゴン・カタパルトキャノン」を出せる。

・「閃刀機-ウィドウアンカー」
・「閃刀機-ホーネットビット」
 閃刀出張セット。「選ばれし者」で墓地に魔法が溜まりやすいので追加効果も得やすい。「選ばれし者」にチェーンしてトークンを特殊召喚or相手モンスターを奪取すれば、「融合識別」で素材にできる。

・「おジャマ・レッド」
・「鎖龍蛇ースカルデット」
 「おジャマジック」の使用後かつ召喚権を使うものの、レッド召喚からおジャマを展開⇒スカルデットにつながる。手札にサンダーがあればスカルデットから特殊召喚でき、「融合識別」も引き込みやすくなる。

・「業神ー不知火」
 除外されると場にトークンを生み出す。「アームド・ドラゴン・カタパルトキャノン」の効果で除外し、ダメ押しのリンク召喚に繋がる……ものの、こいつ自体がEXデッキを圧迫しがち。

・トロイメアリンクモンスター
 手札コストで「おジャマジック」を墓地に送りやすい。

デッキ構築

 デッキ圧縮とドローを重ね、「アームド・ドラゴン・カタパルトキャノン」を出したら一気に倒し切るのが理想。一旦出せればそのまま勝てるものの、初手でバニラのおジャマがだぶついたり、逆に「選ばれし者」や「融合識別」が固まって動けないこともある……。

メインデッキ(40枚)
・おジャマ・グリーン×2
・おジャマ・イエロー×2
・おジャマ・ブラック×2
・おジャマ・レッド×1
・おジャマ・ブルー×1
・おジャマ・ピンク×1
・捕食植物 オフリス・スコーピオ×1
・捕食植物 ダーリング・コブラ×2
・アームド・ドラゴン・サンダー LV7×1
・成金ゴブリン×3
選ばれし者×2
・テラ・フォーミング×1
・おジャマジック×3
・貪欲な壺×1
・簡易融合×1
・融合識別×3
・おジャマ改造×1
・閃刀起動ーエンゲージ×2
・チキンレース×2
・おジャマッチング×2
・閃刀機-ウィドウアンカー×2
・閃刀機-ホーネットビット×1
・おジャマパーティ×3

EXデッキ(15枚)
・捕食植物 アンブロメリドゥス×1
・VWータイガー・カタパルト×1
・XYZードラゴ・キャノン×1
・VWXYZードラゴン・カタパルトキャノン×1
・アームド・ドラゴン・カタパルトキャノン×1
・業神ー不知火×2
・閃刀姫ーカガリ×1
・閃刀姫ーシズク×1
・トロイメア・フェニックス×1
・トロイメア・ケルベロス×1
・I:Pマスカレーナ×1
・閃刀姫ージーク×1
・トロイメア・ユニコーン×1
・鎖龍蛇ースカルデット×1

 事故率や「アームド・ドラゴン・カタパルトキャノン」が処理されて終わるなど、ソロモードの強いデッキ相手でもキツめ。
 対人だとうららを筆頭に誘発が刺さりまくってかなりムリ。重症度2くらいでしょうか。

あとがき

 正直、「選ばれし者」を使うよりレッド⇒スカルデットからのほうが出しやすいので「アームド・ドラゴン・カタパルトキャノン」デッキでもそこまで必要とされない……ものの、なんか面白い動きはできます。カジュアル対戦でならかなり楽しそう。
 「おジャマジック」的な変わったカードが増えればこのカードも使い道が増えるかもですね。

 次はついに形になった「ガーディアン・バオウ」の予定です。

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