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「ヴァンパイア・ドラゴン」のカルテ(クソカード医学会用資料54)


まえがき

 「ヴァンパイア・ドラゴン」は5D's時代最後のパック「EXTREME VICTORY」……の海外版で初登場したアンデットモンスターで、あのガイドさんや「輪廻天狗」とともに「EXTRA PACK 2012」で来日しました。

 なんとこのカード、アメリカで2010年に行われた視聴者モンスターデザイン応募企画の受賞作品。なので患者(クソカード)扱いするのは非常に失礼な気もしますが、あくまで見た目ではなく効果がアレなのでご容赦いただきたい。
 なんなら今も扱いに困ってるかもしれない受賞者さんに有効活用法を届けるためにも、どうにか治療法を確立したいところです。

ヴァンパイア・ドラゴンについて

 患者の性能は以下の通り。(出典:遊戯王デュエルモンスターズデータベース)

ヴァンパイアにもドラゴンにも見えない独特な姿
だからこそ受賞したのかもしれない

 まずはステータスを見てみましょう。
 レベル5の上級モンスターで攻撃力2400は昔のカードとしてはまずまずなステータスですね。守備力0もアンデット族なので「ピラミッド・タートル」に対応しており、リクルートがしやすい上級モンスターとして、昔の環境ではそこそこの活躍を見せました。
 ……と言いたいところですが、上記の通りこのカードが登場したのは第7期、つまりシンクロ時代の末期。アンデット族なら【シンクロアンデット】全盛期すら過ぎてる環境なので、そんな第4期環境のように2400打点の上級モンスターが幅を利かせられる環境では全くありませんでした。
 なんなら、同じ「ピラミッド・タートル」対応で攻撃力が同じかつ守備力も勝っている「龍骨鬼」がすでにいたので、第4期環境に登場していてもまったく使われなかった可能性が高いです。
 後に本格的にテーマ化した【ヴァンパイア】においては、長らくメインデッキに入る最高打点のヴァンパイアでしたが、現在では「竜血公ヴァンパイア」に抜かれており、その需要すらも現在ではかなり怪しくなっていますね。

 では効果を見てみましょう。
 なんと、デッキからレベル4以下のモンスターを手札に加える事ができるという下級モンスター万能サーチ効果です。
 初動カードも手札誘発も、レベル4以下なら何でも持ってこれます。しかも同名どころか普通のターン1もないです。使いまわせば超強いじゃん。
 ええ、超強いです……何度も発動できるなら。
 まず、アドバンス召喚した「ヴァンパイア・ドラゴン」が墓地に送られないと効果が発動できません。特殊召喚は一切ダメ。召喚権が必須です。お前はデュアルモンスターか。
 一応、このカードが所属するテーマ【ヴァンパイア】は、通常召喚を個性とするテーマ(というかこのカードの登場以後にそうなった)なので、【アンデット族】デッキなどへの出張採用は難しいですがテーマ内で使用するのであればアドバンス召喚自体は容易です。

 しかし、ここに次の落とし穴。
 このカードの発動には、アドバンス召喚後に墓地に送る必要があるのですが、"~時"の任意効果なのでタイミングを逃しますお前はユベルか。
 アドバンス召喚した「ヴァンパイア・ドラゴン」を融合素材、リンク素材にしてもダメ。「ヴァンパイア・ドラゴン」をリリースして「ヴァンパイア・ドラゴン」を出して効果を連続利用……というのも不可能。
 自発的に発動するには自分から「ブラック・ホール」などで破壊するか、自爆特攻させるなどするしかありません。せっかく召喚権まで使ってアドバンス召喚したのに……。これが本当のアド損か……。

 これらの手間を踏まえた上で、もう一度サーチ先を考えてみましょう。
 仮に1枚初動となるモンスターをサーチしても召喚権を使っているので、そこからの展開は厳しく、展開するには次のターンを待たないといけない。
 手札誘発を持ってきて相手ターンの妨害を構えるくらいなら、こいつを経由などせずに万能無効のカウンター罠「ヴァンパイアの支配」を持ってこれるよう動く方がいい。
 ならば罠では遅い自分ターンの動きをケアするうらら辺りをサーチ……するもなにも、そもそもこいつが出てる時点で十二分に動けてる
 そう、そこまで面倒な手間をかけてまでサーチしたいカードが特に無いのです。召喚権を使わず動ける初動であるサーキュラー等も、面倒な手間でこいつを経由するより「スモール・ワールド」等を利用したほうが絶対いい。

 問題点をまとめると、
①アドバンス召喚が必須
②なおかつタイミングを逃す
③それらの手間を経てまでサーチしたいカードがない
 となります。それなりの攻撃力を「ヴァンパイア帝国」などで上げて殴るのが結局一番の有効活用まであり得る……。ヴァンパイア・ジェネシスも。

 さて、このアド損の申し子とでも言うべき効果を、どうにか有効活用しましょう。
 上記の通り、問題点①は【ヴァンパイア】デッキでなら満たすことは難しくありません。
 召喚権を増やせる「ヴァンパイアの領域」や相手ターンにもアドバンス召喚可能な「ヴァンパイアの幽鬼」があります。

 問題点②のタイミングを逃す点も、過去の治療で解決法を見つけてあります。

妨害しつつ自分のカードを破壊すると言えばこいつ

 しかもデスフェニの素材になる「D-HERO ディアボリックガイ」「D-HERO ディナイアルガイ」は自己蘇生可能なので「ヴァンパイア・ドラゴン」のリリース役になれますし、アドバンス召喚なのでアナコンダやフューデスの制約にも引っかかりません。
 さて、最後の問題である③なにをサーチするかですが……。
 妨害や初動以外で手札に加えたいレベル4以下カードとなれば……おなじみのアレしか無いでしょう。

吸血竜活路エクゾ

 まーた変なエクゾディアデッキ作ってるよ……。(呆れ)
 何回目やねん。です。
 なぜエクゾなのか。言うまでもなく、サーチが勝利に直結するためアド損でも許される気がするからです。
 しかもただのエクゾではありません。【活路エクゾ】です。
 積極的に相手とのライフ差を広げて「活路への希望」で大量ドローを狙うタイプのエクゾディアですが、【ヴァンパイア】も積極的にライフを支払いサーチ・墓地送りを多様するので、食い合わせは悪くありません。 

ピンチに希望を見出すためのカードのはずが、ドM御用達みたくなってる

 また、「活路への希望」を「トラップトラック」で持ってくることで、タイミングを逃さず「ヴァンパイア・ドラゴン」を破壊でき、サーチからドローを行えます。

ヴェノミナーガやユベルも救える系罠

 これで「ヴァンパイア・ドラゴン」の効果に利用価値は生まれました。
 ……とはいえ、です。
 出来上がったデッキは【ヴァンパイア】としても【活路エクゾ】としても中途半端なのは認めざるを得ません。特に、【ヴァンパイア】側からすると特殊勝利という選択肢が出来ているのに対して【活路エクゾ】側にメリットは皆無です。
 何かこう、独自の強みを生み出したい。
 そこで採用するのが「ヴァンパイア・フロイライン」と「簡素融合」です。

超可愛い。吸われたい。

 「ヴァンパイア・フロイライン」はライフを最大3000まで支払い、その分打点を上げられるアンデット族用パンプアップモンスターで、この子さえいれば、アンデット族モンスターなら誰でも+3000の打点までは覆せます。パンプキング涙目。
 そして「簡素融合」はチューナーである「テセウスの魔棲物」や「無の畢竟 オールヴェイン」をライフを減らしつつに特殊召喚出来ます。
 これらが意味することは、つまり絶大なパワーです。
 ライフが十分に減っていれば「サイコ・エンド・パニッシャー」、減る前ならば「戦神ー不知火」を出し、突然のバカ強打点で相手をぶん殴ります。

ディアボリックガイ+テセウス等で
テセウス+レベル3等
墓地の「ヴァンパイア・ドラゴン」を除外すれば5400打点に。フロイラインのパンプも乗れば……

 これらは【活路エクゾ】の欠点に対して、
・相手もライフを減らしてくると「活路への希望」が腐る
⇒じゃあ殴ってトドメ刺そう
・エクゾディアパーツが1つでも欠けると勝ち筋がなくなる
⇒余った手足をシンクロ召喚のレベル調整に使える
 という解答になり得ます。
 何より、フロイラインも戦神も「ヴァンパイア・ドラゴン」の高めの攻撃力が有用に働く効果なので、その意味でも相性がいいです。

 これが【活路エクゾ】に"速攻殴って勝つ"という手札を加えられる【吸血竜活路エクゾ】です。

相性のいいカード

 意外と【ヴァンパイア】でも【活路エクゾ】でも最低限入れたいカードは全部入る。

・「ヴァンパイアの使い魔」
・「ヴァンパイアの眷属」
 幽鬼と同じくヴァンパイアのエンジンたち。ライフを減らしつつサーチできる。レベル1と2なのでシンクロ調整がしやすく、自己蘇生すると除外されるのでサイコエンドの弾にもちょうどいい。

・「成金ゴブリン」
・「チキンレース」
・「一時休戦」
 【活路エクゾ】のエンジン。「チキンレース」は相手にも利用されるので、不要な場合はデスフェニで壊す。

・「捕食植物ヴェルテ・アナコンダ」
 ライフを減らしつつデスフェニを出せる。

・「アドヴェンデット・セイヴァー」
 アンデット族汎用リンク2。墓地送りの他、「ヴァンパイア・ドラゴン」を墓地に送れば相手モンスターの攻撃力を1000下げられる。フロイラインで打点を3000上げれば5600打点まで処理できるプチ戦神としても使える。

・「ヴァンパイア・サッカー」
 同じくアンデット族汎用リンク2。ドロー効果に加え、相手のアンデット族モンスターをアドバンス召喚のリリースに使用できる。

デッキ構築

 普通の【活路エクゾ】と違い防御手段はないので、デスフェニやヴァンパイアたちに頑張ってもらう。
 ヴァンパイアたちは相手モンスターを奪う効果が多いので、案外後攻のほうが通るかもしれない。妨害抜けられないかもだけど。

 使用感は案外繊細なライフコントロールを要求される上に妨害能力がかなり乏しい完全なファンデッキレベル。
 とはいえエクゾ特有の揃った時の達成感と、超打点からのワンショットの快感の両方を味わえる他にないデッキなので、カジュアルならかなり盛り上がりそうなデッキ。
 自傷を繰り返す都合上、ソロモードでも偶に事故死するので重症度は2.5くらい。

実績。モルガナイトは抜いた。

あとがき

 本当は1ターンに5回「ヴァンパイア・ドラゴン」のアドバンス召喚と墓地送りを行いエクゾワンキルしたかったんですが、さすがに無理だったので【活路エクゾ】併用型にしました。
 1ターンに5回「ヴァンパイア・ドラゴン」のアドバンス召喚と墓地送りを行う方法を思いつく方はぜひ研究を引き継いでください。

 次回は未定。「ヴァンパイア・ジェネシス」「ポンコツの意地」「エンペラー・ストゥム」「巨人ゴーグル」なんかを考察し続けているんですが、有用な治療法が見つからないですね。

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