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「No.93 希望皇ホープ・カイザー」のカルテ(クソカード医学会用資料45)


まえがき

 「No.93 希望皇ホープ・カイザー」は漫画版ZEXALでアストラルが使用したらしいエクシーズモンスターで、後にヴァリアブルブックの付録としてOCG化したそうです。
 「らしい」「~したそうです」……と伝聞調なのは、私はアニメGX終了後にOCGを一旦辞め、マスターデュエルで復帰した民なので、漫画版ZEXALはもちろん、アニメのZEXALも未履修なためです。
 なので正直、活躍も立ち位置もよく知りませんし、思い入れも強く無いカードです。

 じゃあどうしてそんなカードを治療しようと思ったのかと言うと、Twitte……Xで突然リクエストが来たから。
 私はリクエストは特に募集はしてないのですが、なぜか来てびっくりしました。いや別にリクエストを拒否してるわけでも迷惑という意味でもなく、他にもクソカード医がたくさんいる中で、よりにもよって私みたいなやぶ医者へリクエストというのにびっくりしました。
 宛先を間違えたのか、物好きなのか、それともまともな医者に見せられない理由があるのか……依頼者の意図は不明ですが、せっかくのリクエストですのでどうにか治療してみましょう。

 そういう経緯でのホープ・カイザー治療になります。

No.93 希望皇ホープ・カイザーについて

 患者の性能は以下の通り。(出典:遊戯王デュエルモンスターズデータベース)

レガシー産URだったので泣く泣く生成したところ、後日レガシー剥いたらシャインで出てきた

 アンチホープみたいなのを想像していたせいか、普通に強い気がする比較対象のせいでは?
 まず召喚条件は"X素材を持っている同じランクの「No.」Xモンスター×2体以上"と厄介そうですが、ホープ系列から「HRUM-ユートピア・フォース」で出したり、「ナンバーズ・エヴァイユ」でわりかし簡単に出ます。

 効果①はエクシーズ素材の数だけNo.モンスターを展開できるという豪快なもの。「ランク9以下」「攻撃力3000以下」「発動後の特殊召喚不可」「戦闘ダメージが半分」と多くの制約があり、特殊召喚したモンスターの効果も無効になりますが、攻撃力3000のモンスターが一気に4~5体並ぶ様は圧巻でしょう。
 攻撃力3000を5体並べれば総攻撃力は17500で、ダメージが半分になってもワンキルには届きます。「サンダー・ボルト」等で相手の場を空ければそのまま殴れますし、「エクシーズ・テリトリー」で総攻撃力をさらに上げればモンスターが数体居てもそのまま踏み潰せます。
 エヴァイユで出す場合には先にレベル1展開を経由して「No.39 希望皇ホープ・ルーツ」や「No.100 ヌメロン・ドラゴン」を出す選択肢もありますし、特殊召喚を封じられても通常召喚は可能なので強力な制圧力を持つ「オシリスの天空竜」「邪神アバター」を出したり、「ラーの翼神竜」でロマン火力ワンキルを狙う手もあります。(かなり構築厳しいですが)

 効果②はNo.モンスターがいれば破壊耐性がつくという地味ながらこれも有用な効果。今時珍しい、数と打点で押し切る、デッキレベルでの殴り合い特化なモンスターと言えるでしょう。
 なので癖こそあるものの、クソカードかというと微妙なくらいには十分強いカードです。

 ……が、しかし、それはホープ・カイザー単品で見た場合の話。
 競合相手には"奴"がいます。

親の顔より見たホープ

 そう、「No.99 希望皇ホープドラグナー」。先行制圧も後攻ワンキルも中華料理もできるホープデッキのエース。こちらは特殊召喚できるNo.モンスターは1体のみなものの、No.特有の強力な効果を自在に使えるためより扱いやすく強いと言えます。
 ホープ軸で出すにもエヴァイユするにしても、ドラグナーを優先したほうが強い……という大きな欠点をホープ・カイザーは抱えているのです。
 つまるところ、ホープ・カイザーは轟雷機龍タイプの"単品では強い方なんだけど、テーマが優秀過ぎて立場がない"患者だったわけです。

 また、ホープ・カイザーはその効果の特性上、EXデッキを圧迫しがちというのも欠点で、さらにその点でもドラグナーに劣ります。
 ホープ・カイザーの特殊召喚とその効果にEXの枠を10近く取り、しかもホープ・カイザーの効果で出すモンスターは正規でのエクシーズ召喚ができないものも多いため、ホープ・カイザーが止められたり効果使用後に捲くられると勝ち筋がなくなる可能性があります。

 さらにドラグナーは、先行後攻で呼び出すモンスターとその効果を使い分けられるのですが、ホープ・カイザーは呼び出すモンスターの効果を無効にしてしまうので、極論殴るしか能がないとも言えます。
 つまり先行だと効果でモンスターを並べても相手の妨害にならず、後攻だとダメージ半減で仕留めきれない可能性に加え、相手の妨害が増えてヌメロン・ドラゴンや神は愚か、そもそもホープ・カイザーが出ない懸念もあります。
 破格の展開効果に対してホープ・カイザーの制約は非常に妥当なものなのですが、それゆえに「ドラグナーでいいや」となりやすい。

 問題点をまとめると、
①競合先のホープ・ドラグナーの存在が大きい
②EXデッキが専用構築になるためホープ・カイザーを止められると詰む
③先行で出来ることが少ないが、後攻からワンキルを狙うのも現実的でない
 となります。

 さて、まず③ですが、やはり後攻ワンキルデッキを狙うにはホープ・カイザーを出す手間と効果の制約上、いささか厳しいと言わざるを得ません。
 となると、基本は先行狙いでどうにか妨害盤面を敷きつつ、ドラグナーに対する優位を見出す必要があります。

 ドラグナーに優位なのはNo.モンスターを複数体出せる点。属性や種族は問わない……となれば、まず思いつくのは【メタビート】構築でしょう。
 魔法使い族モンスターを出して「魔法族の里」や「魔術師の左手」「魔術師の右手」、光属性や戦士族で揃えて「群雄割拠」や「御前試合」、逆に種族をすべてバラけさせて「センサー万別」、墓地は使わないので「次元の裂け目」「マクロコスモス」、ホープ・カイザー本体以外はどうせ効果が無効なので「スキルドレイン」……などなど、手札に引けているメタカードに応じて相性のいいNo.モンスターを展開できるのがホープ・カイザーの大きな利点です。
 「エクシーズ・チェンジ・タクティクス」を用いればメタカードの引き込みも難しくないですし。

ホープデッキを相手にして「は? 何枚ドローしてんの???」となった経験が誰しもあるはず

  先行で相手を封殺してしまえば次のターンに制約の消えた状態で攻撃力3000級のモンスターの総攻撃で擬似ワンキルが狙えるますし、後攻でもわりとやれる点でも、この【メタビート・カイザー】構築がホープ・カイザーを使う上では最有力でしょう。
 ただ、何度も言う通り、私はメタビート系のデッキが好みではなく、医学会に向かないので一旦ボツにしました。

 次の選択肢を考えたところ、好きな種族・属性を出せるのなら「風林火山」が使えるのではと思い至りました。

ドロー効果もあるのでなんとうららで止まるが、これにうららを使うならオトクな気もする

 ホープ・カイザーで地水炎風属性のNo.モンスターを並べ、相手のドローフェイズに2枚ハンデス。名称ターン1がないので2枚あれば4枚ハンデス、3枚あれば6枚ハンデス。
 他にもハンデス効果の「紅蓮の指名者」や「光の封札剣」、「はたき落とし」、墓地利用を防ぐためにメタビートと同じく「次元の裂け目」や「マクロコスモス」も使えます。

 メタビートよりやってることえげつなくない???
 まあメタビートより事故りやすいですし、後攻ではやれることないのですが、どっちにしろ医学会向きではないので「風林火山ハンデス・カイザー」もボツ。
 もっとこう、クソカード医学会でも使えるようなデッキにしたい。
 となるともう、選択肢は1つだけです。

エクゾ・カイザー

 ホープ・カイザーとドローソースを駆使してエクゾディアを揃えます。エクゾディアならなんか医学会でも許される気がする……先行ワンキルしても……。
 なんか開き直っている感ありますが、エクゾデッキは
①ホープ・ドラグナーとの差別化になり、
②ホープ・カイザーを止められようが引き次第でどうにかなり、
③先行ワンキルはもちろん、後攻でもやれる
 ……とカイザーの問題点に対する適当なアンサーをすべて満たしています。
 逆にホープ・カイザーである必要ないのでは……? と思われるかもしれませんが、「エクシーズ・チェンジ・タクティクス」に加え、カイザーの展開効果で脅威の5枚ドローになる「希望の記憶」、そして余りがちなエクシーズ素材を有効利用できる「エクシーズ・ギフト」をドローソースとして使えます。

ヌメロンデッキを相手にして「は? 何枚ドローしてんの???」となった経験が誰しもあるはず
カイザーの効果使用後に使うこと

 エクゾが揃わなくても普通に殴って勝てる(かもしれない)ので、エクゾ視点でも良いデッキな気がします。

 あとは竹光やおなじみのドローカードを詰め込めば攻撃力3000のモンスターを4体並べつつエクゾディアを揃えるという奇妙なデッキ……【エクゾ・カイザー】完成です。

相性のいいカード

 エクゾはほぼ選択肢がないので、ボツ案2つと相性のいいカードも。

・「チキンレース」
・「成金ゴブリン」
・「黄金色の竹光」
・「妖刀竹光」
・「マジシャンズ・ソウルズ」
 ドローカード。サモプリやアストラル・ホープのコストにもなる。

・「召喚僧サモンプリースト」
・「希望皇アストラル・ホープ」
・「ZSー昇華賢者」
 「エクシーズ・チェンジ・タクティクス」と「HRUM-ユートピア・フォース」をサーチしつつランク4につなげる。

・No.モンスター
 攻撃力3000のを適当に。

メタビ構築

・「CNo.104 仮面魔踏士アンブラル」
 ランク5魔法使い族で攻撃力3000のNo.モンスターなので、「魔法族の里」や「魔術師の右手」「魔術師の右手」採用のメタビート軸で重宝する。

・「No.104 仮面魔踏士シャイニング」
 こっちはランク4魔法使い族。攻撃力は2700だが光属性なので「御前試合」下でカイザーと共存可能。

・「CNo.73 激瀧瀑神アビス・スープラ」
 ランク6水属性戦士族で攻撃力3000。「群雄割拠」下でカイザーと共存可能。「風林火山」でも使える。

・「CNo.105 BK 彗星のカエストス」
 ランク5炎属性戦士族で攻撃力は2800。アビス・スープラと同じく「群雄割拠」下および「風林火山」で使える。

・「FNo.0 未来龍皇ホープ」
 ランク1光属性戦士族の攻撃力3000なので「御前試合」「群雄割拠」両方に対応。ランク1も他とかぶらないのでとりあえずで出せる。他のホープ系列も属性種族一致してるので使える。アンチホープは呼んでない。座ってろ。

・「CNo.102 光堕天使ノーブル・デーモン」
・「No.9 天蓋星ダイソン・スフィア》」
 ノーブル・デーモンはランク5天使族攻撃力2900、ダイソン・スフィアはランク9機械族攻撃力2800。両方光属性なので「センサー万別」と「御前試合」両方適用下で使える。

風林火山ハンデス構築

・「No.3 地獄蝉王ローカスト・キング」
・「No.42 スターシップ・ギャラクシー・トマホーク」
 ローカスト・キングはランク3で攻撃力1200、トマホークはランク7で攻撃力0。風属性のNo.はこの2種類しかいないのでどちらか。

・「No.51 怪腕のフィニッシュ・ホールド」
・「No.74 マジカル・クラウン-ミッシング・ソード」
 フィニッシュ・ホールドはランク3で攻撃力2600、マジカル・クラウンはランク7で攻撃力2700。風属性で使わないランクをこちらが使う。総攻撃で言えばローカスト&マジクラ。

デッキ構築

 ホープを展開しつつ、引きまくる。それだけ。
 EXデッキは適当でいいので、ランクがかぶらず攻撃力高いモンスターを適当に詰めましょう。

 デッキの使用感は初動さえ止まらなければ、なんとかいけます。
 ただクシャトリラが実装されて無慈悲なデッキ・EXデッキ除外をやらかしてくるので後攻はかなりキツくなったのと、先行とっても展開と妨害してくるティアラメンツがいるのでランクマだとやはりしんどいですね。
 医学会式重症度3です。

 実績。後攻じゃねえか!

あとがき

 そこまで重症な患者ではなかったですが、"破格な効果に適切な制約"のバランスのいいカードだったので、どう活かすかあれこれ考えがいがあり楽しかったです。依頼者の満足のいく内容かはわかりませんが。

 次の患者が見つかっていないので次回は未定。
 今回のように上手く治療法が思いつくとは限らないので、リクエストは積極的には募集はしていません。ですが治療を確約できないという前提の上でなお、「やぶ医者でもいい」「ダメ元で診て」「死亡診断書が欲しい」という方がいればどうぞ。

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