見出し画像

「王の報酬」のカルテ (クソカード医学会用資料26)


まえがき

 何らかのカテゴリ・テーマに属しているカードは、それだけでサーチのしやすさやなどのメリットを持つため、重症になりにくい傾向にあります。
 ……が、逆にその効果も所属テーマ内でしか活用できない、つまり汎用性のなさを併せ持つことが多いです。これはテーマ内での需要がないと一気に存在意義を失うという大きな危険性を秘めてるとも言えます。
 とはいえ、最近のテーマはデザイン時点である程度デッキの方向性が定められ、それに準じた効果でカードも作られているのでそんな重症患者はそうそう出てきません。比較的使われづらい・使いづらいカードはあってもちゃんと個性はあるのです。
 なのでこの「王の報酬(ジェネレイド・リワード)」も一見扱いづらそうに思えるだけで、よく考えてみればきっとちゃんと役割があるはずです。うん、きっとそう。

王の報酬について

 患者の性能は以下の通り。(出典:遊戯王デュエルモンスターズデータベース)

 ジェネレイド効果モンスターを戦闘で守る効果と、ジェネレイド効果モンスターが破壊された場合に相手がカードをドローする効果を持ちます。
 なるほど、なるほど。たしかに扱いづらい効果ですね。
 まず①のジェネレイド効果モンスターを守る効果ですが、ジェネレイド効果モンスターの多くはレベル9最上級モンスターで、ステータスは高め。一方で「王の舞台」で出てくるジェネレイドトークンは攻撃力1500、それも攻撃表示で特殊召喚されます。
 ブルーアイズクラスの高打点デッキが相手ならジェネレイド効果モンスターを守る意味はありますが、それでは逆にトークンがやられて大ダメージを負ってしまうという矛盾を抱えています。
 その点を「暴走闘君」などでトークンの打点を上げれば改善できそうですが、ジェネレイドトークンは自分のターンには消えてしまうため決定力に繋がりません。それなら素直にジェネレイド効果モンスターを強化したほうが効率的でしょう。

 ②の効果は相手にドローさせる効果。ジェネレイドはMMORPGなどのレイド戦をイメージしたテーマで、これはカード名通りレイド戦の報酬をイメージされたものだと思います。「王の舞台」や「轟の王 ハール」など、相手のドローをトリガーに発動する効果も多いので、それらと併せて使えということでしょう。
 ……と、私も初見では思っていました。ですがそもそも、モンスターが戦闘破壊されるダメージステップ時に「王の舞台」や「轟の王 ハール」の効果は発動できません
 なので②の効果は単純にデメリットになっています。いまいち扱いづらい①の効果に、さらにデメリットがついている……。
 一見扱いづらそうに思えるだけで、よく考えてみればしっかり重症というびっくりなパターンです。
 当然【ジェネレイド】で使われることはなく、他のデッキでも使いようがありません。

 一応、「王の影 ロプトル」のようなトークンのサポートもできる下級ジェネレイドが今後増えれば活かしやすくはなります。
 が、現状では息をしていないと断言してよいでしょう。

 問題点をまとめますと、
①戦闘でジェネレイドモンスターを守るメリットが少ない
②特にシナジーもなく、相手にドローさせてしまうデメリット
③【ジェネレイド】デッキ以外では使いようがない
 【ジェネレイド】でいらないカードなのに【ジェネレイド】でしか使えない。テーマ所属クソカードの悪い点です。
 こうなると通常の構築とは一味違う、それでいて純構築とは別の強みを持つ【ジェネレイド】デッキを組まざるを得なくなりますね。
 どうしたものか……。

報酬便乗エクゾレイド

 じゃあエクゾディアを揃える【ジェネレイド】デッキにしちゃいましょう。
 大丈夫、酔ってませんよ。
 相手がカードをドローすると自分もカードを2枚ドローできる「便乗」。このカードがあれば相手は「ジェネレイド効果モンスターを戦闘破壊すれば1枚ドローできるけど、相手には2枚ドローさせてしまう」という状況に追い込まれます。
 相手の攻撃の手が止まればじっくりジェネレイドで盛り返し、攻撃してくるならエクゾディアを高速で揃えられます。問題点②をデメリットだけでなくメリットを付加する形です。

発動タイミングを逃しやすいので注意

 もともと【ジェネレイド】は相手にドローさせるカードが多く、それを逆用して「便乗」を使う構築もあるので発想自体は特段珍しくはありません。(ただし、【ジェネレイド】は手札に最上級ジェネレイドが固まると動けなくなるため、ドローエンジンが必須とは言えない)

 また「王の舞台」はデッキからジェネレイドモンスターをリクルートしますし、その「王の舞台」は「光の王 マルデル」でサーチ可能ですし、その「光の王 マルデル」は「ローンファイア・ブロッサム」でリクルートできます。

 つまるところ、【ジェネレイド】はデッキ圧縮が得意なテーマなのです。
 十分にデッキが薄くなったところに「便乗」でドローを加速し、一気にエクゾディアを揃える。食い合わせはそれほど悪くないと思います。
 この構築の場合は逆にジェネレイドトークンが場に残るのは好ましくないので、「王の報酬」のモンスターを守る効果は無視して相手がジェネレイドモンスターを破壊できるよう積極的にトークンをコストに使用していくことになります。

 最上級モンスターで押し込める相手ならジェネレイド、打点で上回る相手にはエクゾディア完成を狙うようデッキをスイッチする【報酬便乗エクゾレイド】デッキです。

相性のいいカード

 普通の【ジェネレイド】の空き枠にドローソースを突っ込みます。

・「暗黒界の取引」
・「カップ・オブ・エース」
・「一時休戦」
 「便乗」があれば爆アド。なくても「王の舞台」のトリガーに。「一時休戦」適用下は唯一「王の報酬」の①の効果を活かせる。(旨味は少ないですが)

・「九字切りの呪符」
・「王の試練」
 手札に来たジェネレイドモンスターを交換。

・「トップ・シェア」
 主に「便乗」サーチ。即座にドローできるカードと使わないと「王の舞台」でシャッフルされてしまう。

・「サイレント・ウォビー」
 相手の場に特殊召喚しつつドローさせる効果。ライストや泡影ケアはもちろん、地味に相手の手札上限を3枚にできる効果もある。

・「剣の王 フローディ」
・「永の王 オルムガンド」
 相手にドローさせる効果あり。フリーチェーンなのもありがたい。フローディはチェーン2以降で発動しなければタイミングを逃さず「便乗」を発動させられる。

・「鉄の王 ドヴェルグス」
 手札に来たジェネレイドを特殊召喚可能。「便乗」があると手札にジェネレイドがかさばるので、トークンを消費して一気に特殊召喚し、ランク9にしてしまうなど。

デッキ構築

 「王の舞台」サーチ、マルデルを使い回すなどして「王の報酬」をサーチ。「便乗」は手札交換を駆使して引く。
 当然と言えば当然ですが、【ジェネレイド】も【エクゾディア】も初手で事故りやすいデッキなので、スタートがかなり重要です。
 誘発で初動を止められるとそのままターンエンドとかになりやすいので、ランクマだと一番苦しいデッキかも……。

メインデッキ(40枚)
・封印されし者の右腕×1
・封印されし者の左腕×1
・封印されし者の右足×1
・封印されし者の左足×1
・封印されしエクゾディア×1
・ローンファイア・ブロッサム×3
・サイレント・ウォビー×1
・王の影 ロプトル×3
・光の王 マルデル×1
・剣の王 フローディ×2
・鉄の王 ドヴェルグス×1
・氷の王 ニードへッグ×1
・死の王 ヘル×1
・虚の王 ウートガルザ×1
・轟の王 ハール×1
・テラ・フォーミング×1
・暗黒界の取引×3
・カップ・オブ・エース×3
・一時休戦×1
・王の試練×1
・九字切りの呪符×2
・トップ・シェア×2
・王の舞台×3
王の報酬×1
・便乗×3

EXデッキ(15枚)
・永の王 オルムガンド×1~3
・鎖龍蛇ースカルデット×1
・その他適当な汎用リンク、ランク9など ※上記以外あんまり使わない

 使用感としては、ソロモードだと敵が弱く普通にジェネレイド回してるだけで勝てる、ランクマだとボッコボコにされるいつものパターンですね。
 ドローが回りまくればエクゾディアも割りと揃いますし、案外楽しいんですが「王の報酬」なくても割りと揃うし、ソロモードだと「便乗」あっても構わず攻撃してくるので攻撃抑制としての価値も謎。
 治療成功してるかというとかなり怪しいところ……。

2023/03/03実績追記。

改良版(2023/8/6追記)

 ジェネレイド新規と禁止になった「テラ・フォーミング」の差し替え。細かいところで相性のいいカードも追加してます。

あとがき

 「王の呪 ヴァラ」や「ファラオニック・アドベント」が実装されれば、よりデッキのまとまりもよくなると思います。よりよい治療ができるよう、今後も研究していきたいです。
 あと思ったのが、マスターデュエルより紙のデュエルで、サイドデッキとの入れ替え込みのマッチ戦で通常の【ジェネレイド】構築からスイッチさせて使ってみると面白いかもしれませんね。
 私は紙やってないのでできませんが、興味あるジェネレイド使いの方はぜひ。

 次の患者は選定中です。メルフィー新規が来れば「邪悪なるワームビースト」デッキを組みたい……。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?