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【読書メモ】なぜ女はメルカリに、男はヤフオクに惹かれるのか?

日本企業の最新戦略に学ぶ「マーケティング」の入門書です。(私は実は心理学の本だと勘違いして買ってしまったのですが、読んでみたらかなりわかりやすく、面白かったので記事でまとめます。)


「今社会は、物質的な世界に意味を与えるために精神的な価値への回帰を必要としている」
感性や感情に働きかけるのが、いわゆる「情緒価値」。
自分にとって不要になったからとただ捨てるのではなく、まだ使えるものなら命をつないでいきたい、世の中の役に立ってほしいといった欲求は「精神価値」とも呼ばれるものです。

モノのスペックを追求して製品開発するとそれが模倣され、なかなか競争力に結びつかないものです。こうした「機能価値」ももちろん大事ですが、上にあるような「情緒価値」、あるいはユーザに新たな体験を提供する「ユーザエクスペリエンス(UX)」といった価値提供が今後は重要になってくるみたいです。

どれだけのヒト、モオ、カネに恵まれた企業でも、市場全体を相手にするにはリソースがまったく足りません。

モノやサービスを売る際には、「誰に売るか」を考え、ターゲットを絞ります。STP分析という手法を活用してどのような人に売るのを目標にするかを明確化します。大手企業でも市場全体を相手にするのは困難なため、ニッチなターゲットを狙えば小さい企業や個人でもモノを売るチャンスがありそうです。

シェアリングエコノミーにより個人が使っていないモノやスペース、時間や知識、スキルまで、ありとあらゆるものが商品になり、個人がサービスの提供者となることができます。さらに自分たちで値段を決めたり、あるいは無償で譲り合ったりと、企業ではなく個人の裁量に基づいてやり取りできるのです。

企業が個人消費者にモノやサービスを提供するという構図がメインですが、最近は個人同士の間でモノを売買する(メルカリ)とか、個人が知識やスキルを提供する(ココナラ)というように、個人間の取引が行えるプラットフォームが作られてきています。これまでの物質的な価値、お金の価値や考えが揺らぎ、これからは個人間の共感やつながりを重視していくようになるのではないかと思います。

近年はAI技術によって、需要が集中しそうな季節、時間帯に価格を上げ、逆に需要が減少しそうな時期には値段を下げるという仕組みである「ダイナミック・プライシング」が導入されてきています。これまでは多くの企業で、景気が落ちてきたから値下げするとか、ライバル企業が値下げしたからこちらも価格変更するというような根拠が明確でない価格変更をしていたことが明らかになりました。

これまでは明確な根拠もなく、勘で行っていた価格変更が、AI技術(データに基づく判断技術)によって客観的で根拠のある価格変更ができるようになり、売上を最適化しやすくなってきています。データドリブンマーケティングと呼ぶそうです。

「いい商品、いいサービスを作れば売れる」というのは誤解で、4P(Product :製品, Price: 価格, Place: 流通, Promotion: 販売促進)を同時並行で考える必要があります。

いい商品・サービスを作れば売れると思ってましたが間違いだったようです。時間や人的資源は有限ですし、そのリソースの中で4Pの要素を同時並行で考え、最適化するのだと思います。

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