![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/107798519/rectangle_large_type_2_1e6d7c3c4fd33d964eb42c349417665c.jpeg?width=1200)
ある保護者の話
ここ毎年、身近な人の旅立ちを見送っている。
別れは辛い。
自分が歳をとったからか・・・。
いや、そうではないはず。
旅立った故人は、皆、まだまだ若かった。
別れは、前触れもなく唐突に訪れる。
先日も訃報を受け取った。
教え子のお母さんが逝去された。
早すぎる50代前半での別れ。
保護者として、とても尊敬できる方だった。
社長夫人として、いつも整えた身なりで、とても存在感があった。
忖度なしに、いつも真っ直ぐにモノを言うパワフルさがあり、懇談のたびに担任として圧倒された記憶がある。
笑顔がチャーミングな方で、息子想い、家族想いのお母さんだった。
子どもが在学中、必ず懇談に出てくれたし、最終的にはPTAの副会長も受けてくれた。
会うたびにいつも
「先生!頑張ってね!応援してるわ!」
「むすめちゃん、かわいいわね!SNSで見てるわよ!」
と激励された。
特に印象に残っているのは
「先生は、息子の担任だけど、家では2人のかわいいむすめちゃんの父親なの。だから、家族を一番に大切になさい。」
担任の家庭のことまで気遣いできる懐の広さに、心底感銘を受けた。
一昨年から、闘病生活を送っていたとのこと。
元気なお母さん代表みたいな方だったので、訃報を受け、最初信じることができなかった。
だけど、「余命一年」を2年以上も延ばし銀婚式までたどり着き、医者の常識を覆したという話を聞き、やっぱりすごい人だなぁと感動した。
お通夜に行った。
喪主である旦那さんの、妻への深い愛情を感じた。
2人の息子とも私が担任だったこともあり、久しぶりの対面に悲しさはありつつも、お互い笑顔も見えた。
長居すると、色々込み上げてきそうだったので、早々に会場を後にした。
香典返しのお礼状には、夫から妻への最後のラブレターがしたためられていた。
とても素敵な文章だった。
はっとさせられた一文があった。
そこには、ぼくに会うたび激励してくれたように、いつも夫を励ます妻の姿が書かれていた。
白い花に埋め尽くされた、とても大きな遺影。
美しく、凛としたたたずまいで、にっこり笑顔のお母さん。
体力あるうちに遺影を撮りたい、と撮影されたそうだ。
太陽みたいに明るい人だった。
Rくん、Nくん、お母さんは君たちの誇りだね。
お母さんと過ごした日々の思い出を大切に。
ぼくも、君たちのお母さんみたいに、誰かを励ます人でありたい。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?