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迷インコと僕の夏【1話目】

このお話は、初夏のベランダから始まった、
僕と迷インコの友情を描く物語だ。
飼い主が見つかるまで。
いつ終わるのかわからないけれど、
この出会いを文章に残したいと思った。
それでは「迷インコと僕の夏」のはじまりはじまり。

こいつと出会ったのは今日の昼。
ベランダでいつものようにCHILLな時間を過ごしていたら、
変な鳴き声とともにこいつは現れた。

きれいな色やな~と思いながら、
すぐ逃げるやろと思って記念に遠くから写真を撮る。

インコ 遠く


3分ほどたっても逃げないので、もう少し近くでとりたいという欲望が、、
PCから呂布カルマのバトルまとめが流れる中、ゆっくりと近づいていく。
逃げない!!!!

ON インコ


喜びがあふれた。生き物に認められている感覚。
普段、路上で猫や鳥に近づいていくと前世の仇かのように一目散に逃げられる僕としては、
この経験は大変喜ばしいものだった。

変な充足感に包まれる中、インコと青空と呂布カルマ。
最高にカオスな世界の中、インコの動きが活発化してきた。
これは逃げる前兆だろうか、、
一抹の寂しさを覚えつつも、別れの時を意識していた。

闊歩 インコ


IN ベランダ!!!

ONベランダからのINベランダに移行しやがった。
まるで東京girls collectionのモデルかのような、堂々とした闊歩。
先ほどの寂しさから一変、甘いマスクを宿したインコが我が家のベランダにやってきたのだ。
僕のココロはこいつに奪われてしまった。

卒業式。
淡い恋心を胸に、別れを意識して、
もうあの笑顔は見れないのかなんてちょっと寂しかったあの日。
同じ通学路で帰る途中に、「付き合おう」なんていわれて、
心が弾んじゃうあの感じ。

青春恋愛映画のエンディングでありそうな、
そんな経験してみてーなんて思ってたけど、
まさかインコで体験するとは!!
インコよ、青春を思い出させてくれてありがとう。

INベランダを経て、こいつは逃げないと確信した僕は、
こいつと一緒にベランダで音楽を聴きながらCHILLすることを決意した。
セレクトした音楽は「Mrs. GREEN APPLE 青と夏」
さわやかだが、どこか懐かしさを感じるこの曲。
青い空と青いインコを飾るには呂布カルマじゃ荷が重い。
最高にCHILLな時間を過ごしていた、そんな時。

エフェクトインコ

ON 肩。
まさかのON 肩。
ココロのどこかで期待はしていた。
ゴー☆ジャスみたいに肩に鳥を乗っけてみたい。
そんな欲望はあったが、ここでがっついてはいけないと、
童貞男子バリに奥手な対応をしていた僕に、
この経験豊富なインコは妖艶な雰囲気すら醸し出す対応をしてきやがった。
インコしか勝たん。もうそんな気分だった。
完全に心を掴まれた僕。
そこでようやく気付いた。

「こいつ、飼い鳥やん」

野生にこんな色の鳥いるんや~、レアもんやぞきっと
なんて思ってたけど、この人懐っこさ。
確実に飼い鳥やん。

とその時、開けていた窓からインコが我が家に侵入してきた。

部屋インコ ??


縦横無尽に室内を飛び回る様。
ハンガーに足をかけ休むふてぶてしさ。
ああ、こいつ野生ちゃう、こいつ、、飼い鳥やん、、、

飼い鳥ということに気づいた僕は、あることに気づいた。
そう、飼い主がいるのである。
ただの人懐っこい鳥から、よそ様の鳥にランクアップしたのだ。
こうしちゃいられねえ!!
兎にも角にも、インコに水を差し上げた。
お友達が来たら飲み物を出す。
小学生から上品な家庭で育った僕はそう教わってきたのだ。

水を差しだし終えた後、僕は次の動きに出た。
そう、飼い主を探すのだ。
今頃家族がいなくなってさぞや悲しかろう。
家でお留守番をしときなさいと言われて、
親がいつまでたっても帰ってこないときのあの不安。
(ちゃんと帰ってきました、育児放棄などではございませんのでご安心を。)
あの時のことを思い出すと心が痛い。

今の時代は交番よりtwitterのほうが見つかる確率が高い。
藤井聡太張りの読みを見せた僕は、さっそくtwitterへ。
飼い主に届く一手を解き放った。

画像6

素晴らしい拡散力。
こういう時のためのTwitterだよ、ほんとうに。
インコ愛好家の皆様によると、
インコは野生では長く生きていけないとのこと。
僕はこいつを保護することに決めた。
ここから、飼い主が見つかるまでの、インコと僕の友情物語が始まった。

(続く)


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