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戦略コンサルという高級ソープランドビジネス

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学歴職歴強者がめちゃ肯定してくれる

これは大きい。当然ながらクライアント・ファーストのビジネスなので、スポンサーというクライアントの責任者側の人を全肯定する。クライアント側が考えていること、やりたいこと。それらをどうやったら実現できるか、もしくは株主が納得してくれるような論理的なストーリーに仕立て上げるか(中計など)をサポートしてくれる

「いや、我々は真に正しいことを」という反論はあるが、本当に優秀なコンサルタントというのは、クライアント側からすると肯定されている気で、気づけば(より確からしい方向へ)誘導されている

たいていのファームは学歴や職歴がキラキラしている人のオンパレード。ハーバードMBA、外資系銀行出身、医者、などなど。特に提案書には、振り返れば全然登場しなかった人含めてキラキラ人材がてんこ盛り。ファンドなど特殊な事例以外では、(少なくとも履歴書などで見える形式的な観点からは)確実にコンサル側の人員のほうがキラキラしてる

そもそもファーム名で一発ジャブを受けている上で、そういったマッチョな人たちと、同じ視点かつ同じレベルで議論できている気がする。自身の意見が、 マッチョの胸筋に刺さってる気もしてくる。「仰るとおりですね」「非常に良いポイントです」。うまいのは、彼らが(特に若手は)繕ってるのでなく、心から言ってる(ように見えるし、実際ピュアな人は多い)こと。インサイトとか経営戦略をブラッシュアップしてくれるけど、顧客側の満足度に寄与する要因としては、本質的にはキャバクラと変わらないと思う。その上、話を聞くだけでなく、あの手この手で(後述)気持ちよくしてくれる

トップファームほど、気持ちよくさせるテク満載

自身もそちら側にいたので色々と「おおーっ」と言われるようなテクがあったのは知ってたけど、改めてよくできてるなと感じることが多い。例えば、

息を吐くように論点整理する: 会議での議論を、「これはつまり〜〜ですよね」と、画面共有でやたらとメモを共有してくれる。本質的に重要なトピックであれそうでないにしろ、人間ばくっとしたものを整理されるのは心地よい。ここでポイントアップ

・スライドが綺麗だしデザインもいけてる: ここ最近トップファームはデザインファームを買収したり、あとは外注(インドとか)のデザインチームを抱えてて、作ったスライドをなんだか綺麗にまとめてくれる専任のリソースを抱えてたりする。スライドはあくまでスライドであるのだが、クリエイティブだったり統一感があって綺麗なスライドは、見ていて心地よい

・グローバルマッチョをセミナー的に連れてくる: 日本にもすでにキラキラしたキャバ嬢が大量にいるのだが(失礼)、グローバルに目を広げれば、更にグラマラスな人がいたりする。オックスフォードでXX賞だがYY奨学金とってハーバード、20代でパートナーに、今はグローバルのZZ業界のリーダーで政府に対してもアドバイスしてるなどなど。今はZoomでできちゃうので、そういうリソースをグイグイ引っ張ってきて、本題のプロジェクトと別に、セミナー的にやってくれたりする

・グローバルの知見をシームレス(風)に持ってきてくれる: グローバルなファームであれば、内部のポータルがあり、機密情報を除外した形で情報が共有されていたりする。そのスライドをそのままパクれることも多い(特に業界や競合リサーチ)。どこぞの国の賢い人がまとめてクライアントに出したものだから、クオリティ高い。これを、社内ポータルで検索したら出せるので、クライアントからすると「もう出てきた!」というwowを作り出せる

・もはや産業スパイ: 様々な業界の大手を顧客に持っていて、かつ社長や経営陣とやりとりするので、自然と人脈がある。場合によっては、ぼやかした形ではあるが、その内部情報(とまではいかないが公開情報よりは踏み込んだもの)を提供してくれる。これは時間をかけるほど蓄積してくるものなので、複利のようにきいてきて、本当に良く出来てるなと感じる。場合によってはその人脈を活用し、面談を設定してくれたりする。現代の産業スパイの一面もある

本当によく出来てたブランドビジネス

自身もコンサルやっていたし、クライアントとしてもいわゆるトップファームから個人コンサルまで接してきたことがあるが、トップファームほど上記のようなテクを沢山持っている。そうした表で見えるテクに加えて、裏にはやっぱりよくできたしくみがある。一例を上げると、

・どんどん昇進させる&成長する: ややもすれば昇進に対してコンサバになる会社は多いが、コンサルの場合は、ポジションごとにチャージ(請求)できる金額が決まるので、昇進すればその分クライアントに多く請求できる。正確な数値はわからないが、顧客に跳ねる金額>>昇給金額なので、会社としてもマージンが上がる。ので、若手をどんどん昇進させるインセンティブがある。当然ながらブランドビジネスゆえ質を担保しなくてはいけないのでそこは徹底的に判断するとは思うが、例えば事業3つあって事業部長ポジションは最大3、みたいな制約がある会社に比べ昇進しやすい慣性が働く。昇進した人はモチベあがるし、より顧客との接点も増えるのでもっと頑張る。ときには失敗や炎上もあるだろうが、そういうハードな場が増えるので成長スピードも上がるという正のサイクルが働く。顧客側も、こんな若いのにすごいねえとなり、(たいていの場合は)感心する。またモチベが上がる。また、コンサルタントは辞めても、会社に良いイメージを持つのでそれが採用力につながるし、クライアント側に行って発注してくれることもある

・どんどん会議に侵食してくる: 結局Tangibleなものを作ってるわけではないので(スライドはあるものの)、結局は期待値コントロールのビジネスだ。正直めちゃくちゃ良いアウトプットを出してもお客さんの期待値が高すぎると満足感につながらないし(→追加発注なくなる)、逆にクオリティ低くても、「すごいねー」となってしまうことも。その期待値というのは、距離が遠くなると高まる傾向にあると考えている。高いフィーを払ってるんだから、ええもん出せよ、という期待(&プレッシャー)がどんどん高まる。それに対して、タッチポイントが増えるとそれは和らぐ。極端な話、常駐とか毎日会議をしていれば、ハードワークしている様子もわかってくるし、ここまでは至ってないがいいかという情も湧いてくる、人間なので。その辺をわかってか?かなり会議に侵食してくる。タッチポイントを増やしてきて、場合によってはドラフトの状態でぶつけてくるようになる。勿論これは中途半端なものを出して炎上するリスクもはらんでいるが、この辺、純粋なアウトプットの高さだけでなく期待値をうまく調整するというのを、偉いパートナーだけでなくある意味「One teamで」やってくるように感じる

・「自立支援」と称したサボタージュ: 案件の性質にもよるが、例えば戦略策定とかであれば、究極的にはクライアント側が(経営企画室とかが)まとめて実行までのモニタリングをしなくてはいけない。ので、綺麗な戦略を描いて渡すのもそうだけど、彼らが自立して策定・落とし込みができるように「支援」を行うというのも納得感がある主張となる。その結果、「自立支援」の名の下、ワークロードに一部がクライアント側(例:経営企画室)に侵食してくることがある。これは悪いことではなく、たしかにクライアント側にとって中長期的に自身で行うことは大切だし、受け手となったクライアント側の人の勉強になるのも事実。ただ、それによりコンサル側が楽になる一面があるのも事実。うまくサボろうとするたちの悪い人に巡り合ったことはそんなにないが、上の方の人になるほど、そのあたりを心得ているとも感じる。これをうまく活用すると、場合によっては複数の人を複数の案件に関わらせることができるようになり(特にポジションがあがれば上がり手を動かすことが減るほど)、本質的には労働集約的なコンサルビジネスにおいてある程度レバレッジがきくようになる

個人としてのTakeaway

どちらもの側を経験して感じるのは、やはり自分の頭で考えることを止めてはいけないなと。コンサルを使うことが悪いことではないし、特に短期集中ダイエットのように取り組むのであれば非常に有用。でもライザップも2ヶ月のあとほっとくとリバウンドするように、事業を営む側は常に、「その後」を考える必要がある

発注側に回ると、そして大きな会社であれば複数案件が走っていて、常にコンサルがいるのが当たり前といった状況もあるかもしれない。そうしたときに、そうした高級キャバ嬢を顎で使って気持ちよくなるのも短期的には悪くないが、やはり考え続けないと腑抜けになってしまう。代理店⇔マーケティング部の構造に似たところがあると思うが、その辺の基礎体力維持を鍛えないと、自分がなりたくなかったおっさんに近づいてしまうと自戒


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