夏休みに見たい!オススメの法学関連映画と理解を深める(かもしれない)書籍をまとめてみました
DH国際書房です。
お盆休みも目前ですが、外に出るのも億劫な酷暑ですね。
涼しい場所でゆっくりしたい……。
そんな時にオススメなのが映画鑑賞です!
腰を据えて物語に没入できるのはお休みの日ならでは。
今回は、今年日本で上映されていた映画の中で、
(あくまで社員的に)素晴らしいと感じた法学関連の映画を、フランス・ドイツ・アメリカ・日本で1本ずつピックアップしてみました。
映画の理解を深める(かもしれない)書籍も一緒にご紹介いたします。
上映館や配信先が少ないものばかりですが、ぜひご覧ください!!
『サントメール ある被告』(現在上映中)
セネガル人の母親による娘殺しの裁判記録を題材にした映画。
実際の裁判を基にドキュメンタリー調で描かれていて、劇的でわかりやすい演出はないのに、ぐんぐん引き込まれてる不思議な力があります。
法曹でない限り、私達は整理された文字情報でしか裁判に触れられません。この映画を見ていくうちに、「X」「Y」「母」「娘」にも、体温や無数の思考があることを認識させられます。
母子関係と、それを取り巻く社会を問い直す筋書きですが、「人が人を裁くとはどういうことなのか」という根源的な部分についても示唆に富んだ作品です。
最後まで見ると、自分も裁判に参加したような錯覚に陥ります。
☆オススメ書籍
後藤弘子/宮園久栄/渡邉和美/柴田守 (編集代表)
『女性犯罪研究の新たな展開ー岩井宜子先生傘寿・安部哲夫先生古稀祝賀論文集』
(尚学社)
『大いなる自由』(現在上映中)
https://www.youtube.com/watch?v=SDfAdo1pSBs
男性同性愛を禁じるドイツ刑法175条によって何度も投獄される主人公のお話です。
今であればとんでもない法律のように感じますが、実は20年前まで(罰則が緩和されながらも)存在したもの。
マッチやたばこの火の演出、ライティング、構図が大変素晴らしく、どの場面を切り取っても絵になる美しい作品。
ただ、映像の美しさも相まって、主人公の境遇の不条理さや痛ましさがより際立ちます。
映画館ではエンドロール後も立ち上がれなくなる人も見かけました。
「罪」「尊厳」とは。主人公が失った時間を考えたときのやるせなさで胸がいっぱいになります。
☆オススメ書籍
Der § 175 StGB als „gesetzliches Unrecht“?
Zur Entwicklung der Strafbarkeit von Homosexualität
(Verlag Dr. Kovač)
東京弁護士会 LGBT法務研究部 編著
改訂版 LGBT法律相談対応ガイド
(第一法規)
『ワース 命の値段』(現在上映中)
アメリカ同時多発テロの被害者・遺族を救済するための補償基金プログラムで「命の値段をつける」大仕事に奔走した弁護士の実話をベースにした作品。
オバマ元大統領の設立した制作会社が配給権を獲得したことで話題になりました(オバマ元大統領は映画好きで有名ですね)。
主人公が個人の尊厳や命の重さに葛藤し、被害者・遺族が前を向いて生きていくために、多様なバックボーンをもつ被害者・遺族の話に耳を傾ける姿が印象的。
センシティブなプロジェクト故の覚悟や孤独も描かれています。
☆オススメ書籍
笹瀬健児 編著 山岡昌之 監修
『依頼者の心と向き合う!事件類型別エピソードでつかむリーガルカウンセリングの手法』
(第一法規)
『Winny』(動画配信サービスで配信中)
不当逮捕されたWinny開発者が弁護士と共に戦い、無罪を勝ち取るまでの7年間を描いた作品です。
裁判描写に妥協は一切なし。
監督は7年分の裁判資料を全て目に通し、事前に模擬裁判を実施する徹底ぶりだったとか……(パンフレットに書かれている撮影裏話も興味深いです!)。
「本当にこんなことが日本であったのか」と背筋が冷たくなります。
今回紹介した映画はどれも違った素晴らしさがあるのですが、この作品はテンポが良く、登場人物たちもユニーク。普段映画を見ていない方でも楽しめる映画だと思うので、ぜひ見てみてください。
☆オススメ書籍
緑大輔 著
『刑事捜査法の研究』
(日本評論社)