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タイBLという沼があった〜成人男性による『2gether』のススメ


コロナ禍で世界が大変なことになっているが、COVID-19と同時期に水面下で世界中を席巻しているものがある。こちらはほとんどニュースでは取り上げられないので、まだご存じない方も多いのではなかろうか。かくいう僕も2日ほど前に罹患したばかりの新参者である。たった2日で、もう「沼」から抜け出せなくなってしまった。そう、『2gether the series』という沼である。


とりあえず、主観を交えずに概要を簡単に説明すると、
・『2gether the series』はタイ発信のBL(Boys Love)ドラマである。
・2020年2月からGMMTVで放送しており、YouTubeでも英語字幕付きで公式配信。
・4月29日現在、第10話まで公開されている。(全13話予定)
・毎週金曜夜に配信されるやいなや、再生数が余裕の数百万超え。
・有志のファンによって世界各国の言語で字幕が作られ盛り上がっている。

といったところでしょうか。とにかく今世界中でものすごい熱量を生み出しているドラマ、それが『2gether』なんです。そして熱狂の渦に巻き込まれたひとりの男性ファンとして、このドラマの魅力をいくつかお伝えしたいと思います。なんせこの祝日でヒマを持て余しておりますのでね。なお、ここから先は主観のみでお届けしますね、後悔しろ。

『2gether』の魅力1:キャストが神の領域


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はーい、コップンクラーップ^^
主役ふたりの絵面やばすぎんだろ。暴力だよこんなん、美の暴力! 美・暴・力!!!1!! 僕のこれまでの拙いBL知識から「サンドウィッチマンか吉田鋼太郎みたいなオッサンがイチャイチャするんでしょ、どうせ。伊達ちゃんはタチかな、いやあるいは…」とか思ってたら、これですよ。タイのドラマと聞いて「どーせドギツイ笑顔のムエタイ選手みたいなヤツがやたらデカイ短パン履いてリングの上で笑ってんだろ」とか思ったら、これですよ。画面がきれいすぎんだろ。こんだけgifted(天恵を受けた)なイケメンを主役に揃えただけで、もう開票とか必要ないレベルで当確でちゃってるんだよね。しかも演技もちゃんとしてる。BLというある種特殊なジャンルでありながら自然な恋愛をふたりとも表現できてて、なんだよこんなバケモノ候補者をよぅ擁立できたな、マジで。というわけで、とりあえず昨日の僕の中でのイケメン総選挙(比例区=タイ)で、ご当選されたお二人について紹介しますね。


Tine(タイン)役:Win(Metawin Opas-iamkajorn)

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かわいいofかわいい。タイの人ってもう少し濃いめの顔立ちなイメージがあったけど、Winは比較的あっさりめ。世界から庇護を受けるためだけに生まれてきたって感じの顔をしてる。ご実家が大変なお金持ちとのことで、たしかにそう聞くと品の良さがご尊顔に表れている気がしなくもないですよね。別の沼(ジャニーズJr.)の方にだけ伝わる符号を使って恐縮なんですが、なんか動いてる印象とか透明感とか素朴さとかが、西畑大吾とか浮所飛貴とかと似てるなって思ったの、俺だけかね。
彼が演じるTineは、自称「Mr.シック」なんだけどやたら童貞くさい感じがする、ちょっとアホの子っぽくて愛嬌のあるキャラクター。一応ヘテロセクシャルな彼が、オカマちゃんからの求愛を断るために下記sarawatに偽の彼氏役を頼む−−-というのがストーリーの大筋なんですが、そのへんの等身大の大学生という感じも含め、このドラマがデビュー作だというWinにハマり役なんじゃないかなと思います。

Sarawat(サラワット)役:Bright(Vachirawit Chiva-aree)

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なんかもう、神様の気合いの入れ具合が一目で分かる造形美。僕たちが西成あたりの天国工場のラインで製造されたマニュファクチャー造形だとしたら、この人はもう、パリ在住の名うての芸術家こと神が代表作を拵える勢いで作られた感じがあるよね。往年の柏原崇とか、岡田准一とか吉沢亮とかあのあたりの人から受ける印象と似てるなーと思いながらインスタグラムを追ってたら、平気で5時間経ってたもん。アメリカとタイのハーフだとか中国の血も入ってるとかいろいろ情報がありますが、Winと対照的に濃い美顔の持ち主であるBrightはマジでどこにいても光り輝いてる感ある。今はスマホ越しだからまだ大丈夫なんだけど、たぶん生で直視したら失明する人とか出てくるんじゃないかな。とりあえず、遮光板とか用意したほうがいいぐらい輝いてるから、名は体を表すって慣用句はタイ語でも通用すんだろうな。
そして彼の役どころであるSarawatこそが、僕が落ちた沼なんですけどね。もう、むちゃくちゃ尊い。ストーリーの序盤はツンデレ要素が結構あって、そこも魅力なんです。魅力なんですが、途中からTineに対する愛を隠さなくなってからがもう、沼の泥ぜんぶ抜いてみた、ぐらいの沼。テレ東が番組つくろうと思ったら、泥抜いても抜いても底が見えなくてこのまま地殻まで到達しちゃう的な、水抜き待ちの田村淳あたりがそのまま先に干涸びてるわ、ぐらいの。彼のTineちゃんしゅきしゅき芸がもうバスバス突き刺さって、スマホ片手に弁慶かってぐらい立ったまま死んでる。これについては後述する。いや、させてください、ごめんなさい、語らせてください、後生やさかいに。

ほかにもたくさんのキャストが登場するのだけど、本当にみんないいんだよね。主カプ以外にも様々な恋愛模様が伏線としてあったりして、Sarawatの弟とか、友人のManの恋愛とか、ネタバレは避けたいのでアレなんだけど、マジでぜんぶ応援したくなるし、みんないいキャラしてんだよ。BLってよく「◎◎×△△」みたいな形で表記されると思うんですけど、その組み合わせの妙というか、かけ算で生み出される世界が本当に広くて深いんだなと、そう思わされました。少なくとも「Sarawat×Tine」(あるいは逆でもいい)の答えは、俺は九九の授業で習ってないし、たぶん解が100超えちゃってるのは余裕でわかる。そんなふたりが濃厚接触しちゃう過程が本作のメインディッシュであり、その様子が丁寧かつライトに描かれているわけで、ソーシャルディスタンディングな今だからこそ、パーソナルディスタンスをガンガン縮めていくドラマってより響くんじゃないかなと思うんですよ。密ではなく、蜜を。そんな気持ちでさ、もうちょっと付き合ってよ。


『2gether』の魅力2:ポップさと入りやすさ

BLって正直、入りにくい世界だと思うんですよね。まだ抗体持ってない人もいるんだろうし、予防接種の受け方とかも教わってないじゃない、普通は。「え、お注射?wwww」とか考えたテメーは大丈夫だよ。安心しろ。あんたはもう、野生でも生きていける。
その点、『2gether』は過度なベッドシーンなんかなくて、キスシーンすらほとんどないし、生っぽい描写があまりなく、非常にライトな描かれ方をされてるなと思います。むしろ感情に合わせてアホっぽいSEが入ったり、脚本もややコメディタッチな手法がとられていたりと、ポップさを前面に出した作りになってる気がするし、男女ものの学園ラブストーリーの配役をそのまま男×男にしてみました、的なライトなノリが意外と新鮮に映る。

そしてまた、『2gether』の世界では、少なくとも男性同士の恋愛が奇異なものではないという描かれ方になってるんですよね。たぶん日本とかアメリカじゃまだ「男と付き合うなんて!」って葛藤の描写が1段階必要で、そこがコメディ要素になったりしちゃうんだけど、この部分をすっぱ抜いて「俺がSarawatと付き合うなんて!」って展開に進める。周囲の反応も「え、男同士で恋愛してんの?」ではなく、「え、オマエ、Sarawatとデキてんの?」となる。単純に惹かれ合ってる個体同士の恋愛が成立していて、その障壁を軽々と超えて、普通の恋愛ドラマとして作られてるのが現代的だなと。その点、『おっさんずラブ』とか『隣の家族は青く見える』とか、最近だと『きのう何食べた?』とか、遡れば『同窓会』とか、同性愛を取り入れたドラマは日本にもあるにはあるんだけど、こういう『2gether』みたいな作品はまだまだ作られることがないんだろうなって気がします。タイという性に寛容なお国柄も関係あるのかなと思うんですが、とにかくナチュラルに男同士がくっついて、まわりもそれを受け入れる土壌があって…そういう新鮮さがこのドラマを今観る理由のひとつになるんじゃないかな。この段落、ギャグ要素1つも入れてないわごめん。ちんこ揉む?

そもそも多くの視聴者がメインふたりのどちらかに感情移入ができるかというと、そうじゃないだろうと思う。腐女子界隈で「壁になりたい」(cv.THE BOOM)とかいう感想があったりするのだけど、当事者性を以て観るドラマというよりは、神の視点から傍観してふたりの恋路を応援する、そんな楽しみ方ができるのがBLなんじゃないかと僕は思います。実際、金曜夜のTwitterは各国の言語で彼らの愛を寿ぐ祝詞が湧いているという現実から目を背けてはいけない。

そしてまた、ライトな描かれ方と言いつつ、BLの定石みたいなシーンはたくさんあって、それもまたポップさや入りやすさに繋がっております。たとえば

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王道のイヤホンシェアとか

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アゴクイからの傷の手当もあるし

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やらされポッキーゲームもしちゃう

等々、BL界隈においてお約束的なシーンは盛りだくさん。もちろんいずれも男×女の恋愛においても成立する民事訴訟案件なんですが、そういう垣根を男同士に提示されたときに抱く感情と向き合うのもなかなか一興であって、普遍的な愛みたいなものをより細かく抽出して提示してくれるのがBLというジャンルなのではありますまいか。異論は認める。

また一方で、特にBLの攻め側のふるまいというのは、世の男性に対する女性サイドの願望が多いに詰まっているような気がするんですけど、そのあたりは事情通のみなさん、どうなんですかね。男性諸氏におかれましては自らの立ち居振る舞いを添削するようなそんなビジネス書的な観方もできるんじゃないかと思うのですが、なんかNewspicksあたりで本とか出させてくんねぇかな。長くなるので機会があればまた。


『2gether』の魅力3:Sarawatのデレに溺れる

ここはもう、僕の性癖みたいな話なので飛ばしてもらってかまわない。わかる人だけ読んでほしい。ほんとね、Watちゃんがかわいすぎるんですよ^^
ネタバレとか完全素無視で話しますけどね、この御仁、攻めのクセしてむちゃくちゃかわいい。「オラオラ! チン○挿れっぞ、孕めや孕め!!1!!! 祭りであるぞ!」みたいなタチ像を想像してたら大間違いなんすよね。愛情表現がド受け。ストーリー冒頭ではキザなイケメン枠だと思いきや、中盤以降でTineを口説きにかかるやいなや、もう、大塚愛もヒくぐらいのあまえんぼっぷりを発揮して視聴者を殺しにかかってきます。このドラマの最強シーンのひとつなんですが、

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みたいな即堕ち2コママンガに代表されるように

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おっぱい(男の)大好き星人であるところとか、

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千葉雄大でもしねーよってくらいの上目遣いでおんぶしてとか言ってくるし、

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今夜は一緒にいてとか、断られても何回も訴えてきたり

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混ぜモンのシャブでもキメないと放てない甘い台詞をバンバン垂れ流すわ

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初夜のお誘いもこんなにキュート。こんなイケメンにグイグイ甘えてこられたら、僕だったら即金でギャラ渡します。給付金10万とか秒でトぶね。それくらいの破壊力がWatちゃんにはあるんですけど伝わりましたかね。

また受け入れる側も葛藤しつつかわいい。前世でどんなカルマ背負ったらこんなん見せつけられんのかね。そんな二人が3次元でイチャコラするとか、なんつーか、どこの涅槃? どこのエルドラド? ニライカナイでもパラダイスでもなんでもいいわ、もう。何回ぐらいマニ車を回したらこうなんの? どの壺買ったらいいんすか、払いますよ、払います…え、無料で観れんの? YouTubeで垂れ流しちゃってんの? 公式で? なにその、古典的な1Click詐欺みたいな話、あるわけないじゃんwwwww

→https://youtu.be/U18l7e3OONo


はい、ニルバーナへ、ようこそー^^

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