☆【障害者雇用における「除外率制度」について】


以前、「障がい者雇用」に関して国の行政機関等での恣意的で杜撰な水増しの発覚と、これに対する対応が報道を賑わせたことを覚えている方もいらっしゃるでしょう。
障がい者雇用に本来、当てはまらない職員を算入するのはもってのほかですが、いまだ残る【除外率制度】にも問題があるのではないでしょうか。

この「除外率制度」とは、特定の職種に従事する職員数については、法定障害者雇用率の算定において母数となる全職員数から前以て差し引いて(除外して)もよいというものです。
つまり除外率が高ければ算定のための職員数が、実際の全職員数より少なくなるとうものです。
(当然、存在しませんが除外率100%だと職員さんは0となるので、この場合は意味をもちません)

毎年、自治体などは6月1日を基準として「障害者任免状況通報書」(様式第3号)を提出します。
そこに適用できる除外率も算定、記入するのですが、「現在設定されている除外率」(前年度に提出した「障害者任免状況通報書」に記載した除外率)が10%以下ならば、本来の除外率が0%であっても「適用できる除外率」(今年度に適用できる除外率)は、「現在設定されている除外率」(前年度の除外率)のままでよいとも解せる説明がなされています。
この理解が正しいとすれば、「除外率制度」が残る限り、現在の除外率が5%ならずっと5%のままに出来るのではないでしょうか。

また、元来「除外率制度」は、ノーマライゼーションの観点から、平成14年法改正により、平成16年4月に廃止されています。適用率云々ではなく制度そのものについては「法附則」で経過措置として、当分の間、除外率を設定するとともに、廃止の方向で段階的に除外率を引き下げ、縮小する、とされています。

これは上限であり必ずしもこの除外率に国や自治体、独立行政法人が従わなければならない分けではありません。

また、平成22年の国又は地方公共団体の「除外率制度の見直し(概要)」が目指した「公的機関は、障害者の雇用について民間事業主に率先垂範すべき立場にある」ため、除外率を引き下げ(勿論廃止を目指し)範を示す、という目的にも合わなくなります。

国の仕組みに「おかしさ」の一端があるのではないでしょうか。
この「障害者任免状況通報書」(裏面)の説明では、永遠に除外率は5%で止まり、それ以下には下がらないことになります。
これでは除外率が0%にならず、障がい者に対するある意味の「欠格条項」が残ることになります。

国や地方自治体が率先して障がい者雇用の範を示すための「除外率制度の見直し」(平成22年)であったはずです。

かつての「除外率職員制度」を廃止した意味も揺らいできます。
勿論一定、障がいの特性により従事することが難しい職種もありますが、「公的制度として除外率制度」を残しておく必要があるとも思えません。

【参考】
・「障害者雇用率制度における除外率制度の見直しについて 」
https://www.mhlw.go.jp/shingi/2009/02/dl/s0226-12c.pdf
・「除外率制度の見直しについて」(概要)
http://search.e-gov.go.jp/servlet/PcmFileDownload...


・「障害者任免状況通報書」


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?