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トイレットペーパー不足で知った、妻の平常心

コロナウィルスに端を発する品薄の影響で、我が家のトイレットペーパーが残り2ロールを切った。
近いうちに品薄は解消されると聞いていたし、トイレットペーパーで右往左往したくないからと、動かずにいたらピンチである。

妻と二人暮らしの我が家にとって、2ロールは今日明日なくなる数ではない。とは言え心もとないので「見かけたら買っておこう」で夫婦の意見が一致した。

翌日、会社からの帰り道にスーパーや薬局を覗いたが、どこも品切れ。夕食時に「●●にも▲▲にもなかったよ」と報告すると、思わぬ言葉が返ってきた。

「私が今日●●に行った時にはあったよ。買わなかったけど」

おいおい、見かけたら買うって決めたのにどうして、と聞くと…。

「エリエールじゃなかったから」

我が家には、"トイレットペーパーはエリエール"という掟(というか妻の好み)があるので、妻はそれに従ったというわけだ。「見かけたら買う」と決めたのは、「トイレットペーパー」ではなく「エリエール」。日本中が大騒ぎする中でも,妻は普段通りだった。

一方の自分はメーカーやブランドなど頭になく、「何でもいいからトイレットペーパーを……!」と探していた。「不安のあまり、普段と違う買い方をする」という点では、買い占めに走った人と同じだろう。自分のような「落ち着いているつもりで、実は落ち着いていない人」が、品薄に一役買ってしまっているのかもしれない。

それからさらに数日後、夕食の材料を買いに行った妻が、エリエールを片手に満面の笑みで帰ってきて、我が家のトイレットペーパー危機はひとまず終わった。

結婚から5年経とうとしているが、妻がこんなに落ち着いた人だとは思っていなかった。一生ついて行きます。

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