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「大切なバトン」を運ぶ第1走者の責任は大きい

卒部以降に学んだことを還元する

この度7月から、私が小学生の頃に在籍していたクラブチーム「筑波学園ハンドボールクラブ 」の高学年男子チームのコーチを任せていただくことになりました。

実は学群時代にも教えていた時期があったのですが、自分自身が選手だったこともあり、なかなか満足に指導できない現状がありました。

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学生コーチとなった今も、大学のリーグ戦(コロナの影響でまだどうなるかは確定していません)には帯同する予定ですが、出来る限り学園クラブに注力したいと思っています。

以前Twitterで出身クラブに恩返しをする旨のツイートをしましたが、よく考えると少し早とちりな表現だと思いました。

今の僕は「恩返し」なんて大それたことができるほど偉大なコーチでもないし、人間でもありません。

あくまでも、学園クラブを卒部した後から学んできたことや、経験を今の子供達に還元することができればいいと思っています。

それが結果的に子供たちの将来のためになれば「恩返し」になったと解釈してもいいのかなと思っています。

子供たちの成長に関わるということ

僕が教えている小学生5、6年生(U-12)の年代は、「ゴールデンエイジ」と呼ばれ、新しい動きを習得することに対して最も適した年代です。

この年代に体験した「動きの種類」の多さが、その子の後の運動に大きな影響を与えます。

僕の記事に度々出てくる、デンマークの西地区のタレント発掘の責任者、クラウスさんによると、11歳まではハンドボールに専門化するのではなく、いろんな競技経験を通して身体を開発する必要があるそうです。

コーチとして指導にあたるということは、その選手の競技人生の一部に責任を持つということです。

接している選手が将来どんな選手になるのか想像することは簡単なことではありませんが、その選手が秘める「可能性」を感じながら指導に当たることを忘れないようにしたいです。

小学生クラブのコーチとしての役割

下の画像はデンマークハンドボール協会から出されているU-9の育成モデルで、トレーニング全体を100%と捉えたときのトレーニング要素の内訳です。

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青:ボールハンドリング
黄:遊び(ボール遊びなど楽しめるようなもの)
緑:シュートレーン(様々なシュートまでの動きが体得できるサーキット形式のトレーニング)
赤:ゲーム

小学4年生以下のトレーニングのイメージです。

ボールに慣れ親しむことにフォーカスしており、その中でハンドボールを楽しむこと、課題を達成することの楽しさを感じてもらえると最高です。

こういった要素が次のステージであるU-11の基礎になっています。

この下の画像がU-11のトレーニングの内訳。

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赤:ディフェンス
青:オフェンス
黄:テクニックトレーニング
紫:プレイとデュエル(対人感覚)
緑:フィジカルトレーニング

個人テクニックのトレーニングと、それらを対人用に昇華させていくトレーニングが大半を占めていることがわかります。

U-9の年代で体験した「テクニックのかけら」を、「テクニック」として身体に覚えさせることが大切になっていくイメージです。

この年代では、様々なテクニック(ハンドリングやドリブル、ステップ、シュートなどなど)を自分のイメージ通りに、タイミング良くで体現できるメニューを中心にトレーニングを組んでいます。

最悪なのは「バトン」を落としてしまうこと

小学生のクラブチームのコーチをする上で心掛けていることがあります。

それは「ハンドボールを嫌いにさせないこと」

ハンドボールを通して日常生活に生きがいや幸せな感覚を得られることはとても大切なことだと思いますが、逆にハンドボールをやることで不幸になってしまうのなら、そこから離れることが得策だと思います。

しかし、それは選手にとってもコーチにとっても喜ばしいことではありません。

もちろんハンドボールを好きになってもらえたら嬉しいです。しかし、気持ちや身の回りを取り巻く状況には「波」があるので「好き」でい続けることはとても大変なことだと感じています。

チーム内での人間関係が悪化することや、過度なプレッシャーにさらされ続けることなど、その競技を嫌いになってしまう原因は往々にして競技以外のことが原因です。

ハンドボール自体を嫌いにならなければ、たとえ好きじゃなくなるタイミングがあったとしても、時間が経つとまたボールを握ってくれることでしょう。

私たちコーチは選手という「大事なバトン」を運ぶ走者だと思います。そして、小学生クラブのコーチはその選手が関わる一番始めのコーチになります。

そのためのコーチの役割は「その年代で養うべき能力を養い、ハンドボールに関わり続けてもらえるようにサポートすること」だと考えています。

病気やその他いろんな原因でプレーができなくなってしまう選手は大勢います。それでも、心の隅っこでもいいからハンドボールに関わっていたことを誇りに思えると嬉しいですね。

今日この記事を書いた理由は、これから自分が関わる選手たちにどう接するのか。考えを整理するとともに、意思表示するため、忘れないためです。

まだまだ未熟ですが、選手たちと一緒にハンドボールをしていけたらいいなと思っています。

今日はこれくらいで!
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

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本日もお疲れ様でした!

筑波大男子ハンドボール部 森永 浩壽





2022年の今、フルタイムで働きながら日本リーグ参入を目指すハンドボールチーム"富山ドリームス"の選手として活動しています。ここでのサポートは自身の競技力の向上(主に食費です...)と、富山県内の地域との交流に使わせていただきます。