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感情の反射神経がにぶい。

感情の反射神経がにぶい。

そのただなかにいるときは泣けなかったけど、ずいぶんあとになって、ふとした瞬間、たとえば散歩していてちょっと風が吹いたとか、本当になんでもない瞬間に涙が流れるようなことがある。

そうしてはじめて、「あぁ、俺あのときのかなしかったんだなぁ」と気づくのだ。

不思議と雨の日は、かつて感じることができなかったかなしみとかさびしさ、みたいな感情を呼びおこしてくれる。雨の日のにおいのせいだろうか。

かなしみとかさびしさ、なんて感じない方がいい、という人もいるなもしれない。雨なんて降らない方がいい、というように。けれども雨が森の生態系をたもつみたいに、かなしみとかさびしさのような感情があるからこそ、自分っていう存在のまるっとした全体性をたもてる気がする。

だから、ちかごろは雨がそんなに嫌いじゃなくなってきた。雨の日に珈琲を片手にベランダでぼーっとしながら、雨が屋根をたたくパタパタという音に耳を傾ける。そんな時間に、人生の侘び寂びみたいなものを感じるのだ。

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