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新しい日のとまどい シーン2

人は生きてる間に何回、食事をするのだろう。総重量はどのくらい?エネルギー量では?、東京ドーム換算は無理だろうけどわかりやすい指標は?金額は?各国の平均は?研究とかのテーマとしてはあるんだろうけど、ボクが気になるのはそこじゃない。

旨い料理、それも完全に自分好みの味。こいつは今までにない経験かもしれないぞ。今何が食べたいんだろう。健康とか栄養のバランスなんかはとりあえず無視しよう。その方面には嫌ってほどつきあわされたからね。そうだなとにかくはっきりとした味だ。塩分と脂肪分、タンパク質、糖質も欲しいな。バターとオリーブオイルはマストだ。野菜はどうだ。まぁ口直しにあってもいいか程度だな。乳製品、チーズはどうする。これも口直しだな。でも野菜よりは多めがいい。いや待てよ。トマトは欲しいよ。イタリア人じゃないが、ケチャップでごまかすのはちょっと気が引ける。そうか玉ねぎも欠かせないな。

となるとまずは買い出しだね。彼女はどうしていたっけ、そうだメモだ。その前に定例の儀式。1,冷蔵庫の在庫をチェックする。2.今ある食材をベースにして料理を決める。3.不足分の材料や調味料などを書き出す。4,メモを手に買い出し。うん、彼女の場合はこの流れだった。こうすることで、冷蔵庫内のムダを無くすと言うか、腐敗による廃棄ロスを減らせる。このサーキュレーションを継続することで結果としてエコロジカルな食のスタイルが期待できる。すごいな、ボクは今更ながらに彼女がエコロジストだったという事実に気付かされた。

さて、どうする先人の知恵に従うか?それとも新しい人生は自分の手で?悩むとこじゃないな。冷蔵庫に食材らしきものが見当たらないんだから、この定例儀式の75%は無縁ということなんだから。あぁここにきてまた彼女のことが頭から離れない確か古いナンバーの歌詞にあったな。

なんだっけ。確かこんな感じだ。
だれにだって過ちはある。しかし二人が分かれるのは良くないことではないだろうか。
そうそう、意味合いとしてはほぼこれ。でも、誰にとって分かれることが良くないことなんだろう。彼か彼女か、それともその両方か。

男と女じゃ、男のほうが諦めが悪い。これソクラテスの時代から変わらない真理。それは永遠に変わることがない。

男は迷ったり、悔しがったり、怒ったり、悔やんだりした後、次へ進むのさ。思い出を引きづりながらね。

結論。ペペロンチーノを作ることにした。悩んだ割にはありきたりの選択。にんにく、鷹の爪、ベーコン、オリーブオイル。これなら深夜の買い出しもいっそシンプル。そこがいいのよ。

まずなんだ、そうお湯を、たっぷりのお湯を沸かすんだ。塩も入れておいたほうがいいな。どの程度?そこは適当な感じで、そうだな海より薄めで、汽水より少し辛めで。宍道湖のしじみがうまいのはその辺のバランスじゃないのか。なんていいながら。

次はオリーブオイルだ。にんにくはスライス。鷹の爪、邪道かもしれないがベーコンも入れさせていただこう。好きなんだ、ハムとか、サラミとか、ソーセージやら加工品の肉類が。カラダに悪い?知ったことですか、そんな世迷い言。人は健康や長生きを目的に生きてるわけじゃない、じゃなんでって?楽しむためだろ。

ストレスなんて無縁のように進む脳内シミュレーションでは茹であがりまで後2分。そこへ無粋なタイミングのインターホン。深夜2時の来訪者に愛想よく接する趣味はない。10秒ほどおいてもう一度。次は5秒後、また5秒後。偏執狂的な性格なのかついには連打。このしつこさって宅配便とかじゃないよね。そうだともどんなに勤勉な宅配スタッフだってこの時間は少し休もうってもんだ。ということは相手はやばいやつ。エッ彼女が戻ってきたとか。いやいや多分そっちじゃない。

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