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オタク自叙伝

自然児だった私が推しに狂うまでの話〜


自然への憧れ


思えば子供の頃から生き物が好きだった。

人工物には微塵も興味を示さず、都心は野性味が足りないと嘆き、週末には必ずアウトドアに連れて行ってもらった幼少期。

首都圏の海や野山を駆けずり回り、魚やカナヘビやクワガタを捕獲してはペットとして可愛がっていた。

テレビも読書も、とにかく生き物が主役の物語。

自分でもストーリーを考え、図鑑を教科書にトレースや模写、そのうち漫画のようなものを描いたりした。

それ以外の娯楽はと言えば、チョコエッグやシルバニアはコレクションしていたが、人外でないと興味を持てず、なんなら自分も獣になりたい願望を持っていたために、同年代の子達がする遊びや人間らしい会話には、全くついていかれなかったのを覚えている。

唯一、イトコの家にあったポケモンだけはケモナーの性癖にぶっ刺さり、遊びに行く度リセットしてはマサラタウンから旅立っていた。

今思うとイトコには申し訳ないことをした。この場を借りて謝罪したい。


オタクの目覚め


10歳の頃、親の言いつけで渋々ポケモンを卒業。

さらに祖父母の介護でアウトドアに行く暇がなくなり、趣味は読書と一次創作漫画に集中した。


中学時代、通学路にある図書館はまさに天国だった。

活字中毒も手伝って、獣が絡む小説を片っ端から読み漁る日々。

毎日夕方まで入り浸り、何冊か借りては一晩で読み切り、次の日また別の本を借りて帰る…そんな具合だ。


さて、図書館には当然ながら漫画コーナーがある。

初めはもちろん、ケモナー向けのものから攻めていったが、すぐに読み尽くしてしまい、その時初めて人間が主役の漫画に触れる事になった。

その中で特にハマったのがコナンであり、2次元初恋の灰原さんとの出会いだった。

以後狂ったようにコ哀の素晴らしさをファンアートにしたため、クラスメートからはコナンの人と認知されるようになってしまった。

記念すべき、オタクとしての第一歩である。



真正オタク時代


高校は女子校だった。

ハーフや帰国子女が多く、自由な雰囲気で皆仲が良い。そんなクラスでコナンオタク全開にしながらの百合色女子校ライフ。

しばらくは、趣味とリア充の美味しいところをバランス良く楽しむ生活が続いた。

そんなある日、何かと趣味を布教してくるクラスメートに「面白いからやれ」と激推しされ、学校帰り、親に内緒でゲームを購入した。

そして、出会ってしまった。

もうこの響きだけで駄目。

心震える  魂の推しエターナル マイ ラブ



唐突に頭の悪い文になるあたり察して頂けるだろうが、ハクタイシティで初めて会ったあの日から、シロナさんのせいで、私の人生はおかしくなった。

歴史を考えれば出戻りしただけだが、あの頃とは熱量が違う。

それまで獣かコナンのイラストばかり描いていた私が、全ての努力値をポケモンに振り切ってしまった。

シロナさんに勝ちたくて、3値を学び厳選廃人になった。

シロナさんが観たくてアニポケを履修するようになった。

シロナさんと主人公ヒカリの話が描きたくて、親に頼み自分のパソコンをゲットし、アナログからデジタルに切り替え、ネットに二次創作を上げ、コナンのオタクからヒカシロのオタクへとジョブチェンジした。


そして、今。

推しとの出会いから15年。

まもなくポケモンは新作が発売される。

ポケモン離れしていたホウエン以外、ほぼ全ての地方を旅してきた私だが、シロナさんを超える推しとは、この先も出会うことはまずないだろう。

病める時も、健やかなる時も、推しに狂い、推しに癒され、推しのために生きてきた。

推しに魂を売ったオタク、二度と再びカタギの道に戻れない。

日々呪文のように推しを語りながら、次の野望の実現にじそうさくに向けて、今日も作戦もうそうを練っている。

1人でも多くの犠牲者を、沼に引きずり込みたいと願いながら。



To be continuedつづく

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