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Strawberry fields foreverが解らない! (BEATLES ESSAY 10)

Strawberry fields foreverとPenny Laneのシングル盤が発売された時の事は、鮮明に覚えている。そのシングルは両面、A面扱いで登場して来たと思う。僕はビートルズの新曲はすべて、聴いたとたんに大好きになっていたのだった。ところが、初めて、ストロベリー・フィールズ・フォエヴァーをラジオで聴いた時、僕は、その曲をジョンが歌っているのは解ったが、なんだかいつもと違って、ポカンとしてしまった。ペニー・レーンの方は、いつものビートルズの新曲を聴くときの様に、すぐに、気に入ってしまったし、奇麗なトランペットの響きも気に入っていた。それなのに、ストロベリー・フィールズの方は、一体どうしたのだろうと思った、きっとそれは、解らないという事だろうか、とは思ってはみたもものの、そんなはずが無いと自分のなかで、否定している自分がいたのだった。まず、イントロのあの音は何だろう?メロトロンだなんて、誰がその頃知っていただろうか、それにリンゴのドラミングなんて今でもとんでもない位にすごいものだった。僕は、みんなに、ビートルズの新曲はどう?などと尋ねられると絶対、『すごくいいよ。』といっていたと思う。嘘つきでした。恐らく、当時、ストロベリー・フィールズを大好きといっていたファンの中に、本当に、いいと思っていた人はいないと思います。僕もビートルズが好きだからストロベリー・フィールズが好きだったのです。ある時、ラジオで、(当時、新曲をいち早く聴く手段といえばラジオだったのです。)人気投票をしていました。その会場には、沢山の女の子達がいました。ビートルズの新曲ストロベリー・フィールズ対確か,その頃、一時人気のあった、バッキンガムズのカインド・オブ・ドラッグ(だったと思う)で投票が始まったのです。すると、なんと、バッキンガムズが勝利したのです。会場で泣き出す、ビートルズファンもいたのです。その頃、そんな投票をすると、ビートルズは無敵でした。僕もびっくりしましたが、やっぱり、解らなかったのだと思います。当時、本国、イギリスででも、ずうーと、エンゲルベルト・フンパーディングのリリース・ミーが1位続けていて、遂に、1位になれなかったのです。それを今では、イギリスの恥と言っているそうです。リリース・ミーではそう言われてもしょうがありません。僕もストロベリー・フィールズを聴いて、ピンとこなかったのは、人生の恥だったかも知れません。しかし、僕は何回も聴いて行くうちに、段々、好きになっていったのです。まるで、植物にあげた水が花にしみ込んで行くように僕の体にしみ込んできました。そこまでいくのに、それほど、時間はかかりませんでした。テレビのプロモーションの映像、(当時はビデオなどは無かったのです。)もとても気に入りました。なんだかとても前衛的だと思いましたが、そっちの方が最初に曲を聴いた時よりすんなりとはいってきました。
  あれから、もう40年近く!ストロベリー・フィールズの音楽史的価値はどんどん上がって行く一方でしょう。今では、押しも押されもしない、ビートルズの傑作になっています。ほんの40年でこれです。この先、100年もたてば、音楽室の20世紀の作曲家といって、写真が飾られるでしょう。そう言えば、僕の長男が幼稚園の頃、僕が、『ビートルズの曲の中で何が好き?』と尋ねると『ソベリフィールズフォレバー』といいました。もちろん、うちの子達は赤ん坊の頃からビートルズで育って来ていますが、お父さんが最初、解らなかった曲を一番最初に好きになるなんて、やっぱり、人類は進歩しているのかも知れません。

2006年12 月26 日2 時1 分 

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