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Jazz at The Massay Hall (JAZZ ESSAY 5)

僕の最も好きなジャズのレコードと言えば、いつも第一にこの、Massay Hallのコンサートのライブ録音を挙げることにしている。確かに、世の中には、沢山のライブの名演があるが、例えば,Miles Davisの最強のライブ、Four and More,や、My funny Valentine,や、John CoitraneのVillageVanguardでの、Eric Dolphyと競演もあるが、あらゆるライブ盤の中でもこの盤に惹かれるのは、やはりそのメンバー達の顔ぶれによる。真のジャズ界の巨匠達である。彼等の事をHeavy catsというらしい。重い猫ではない。しかしなんと言う、メンバーなのだろう、よくまあ、こんな方々が一緒にプレイしてくれたものですし、我々ジャズファンはチャーリー・ミンガスに感謝をしなければなりません。よくぞ、録音してくれたものです。もしこの録音が無ければ、この名演がカナダの空気に溶け込んで消えて行ってしまったのです。このメンバーによる、他の演奏は世の中に存在しないもですから、さらに貴重な録音と言えると思います。僕は、デビュウー盤のオリジナル・ジャケットのデザインもいいと思うのですが、セカンド・イッシュウーの其の時のライブの写真を使った、このジャケットの方がより、臨場感が感じられて、素晴らしいと思うのです。ほら見てください、チャーリー・パーカーが白い、プラスチックのアルトサックスを持っているでしょう?どうしてだと思います?なんと彼は自分の楽器を質屋に入れてしまったので、誰かのこの白いアルトサックスを借りて来たのだそうです。それに、この日のコンサートがあった日は、フットボールの大事な試合があったらしくて、途中で、トランペットのディジー・ガレスピーがテレビを見に行ってしまったのだそうです。そう言えば、なんだか彼の様子が落ち着かない気がしないでもありません。しかし、この写真で一番注目されるのは、バド・パウエルです。このコンサートを終えてから、その夜、彼は、なんと発狂してしまったのです。でもどうでしょう、もうこの写真の彼の目つきはちょっと、もう心既にここにあらず。と魂が何処かに行っているかの様です。すごいものを感じるのは、僕だけでしょうか?このメンバーの中でちゃんとしているのがミンガスとマックス・ローチだけです。マックスローチはあついドラムソロを聴かせますが,ミンガスはひとり、たんたんとリズムを刻んでいて,其の対比がとてもおもしろいのです。この日の演奏はというと,デジィー・ガレスピーのトランペットは恐らく彼の数多い吹き込みの中でも1,2の出来だと思うのです。彼のAll the things you areはまさに絶品ですし,Salt peanutsでの彼のソロはまた,とても素敵なのです。もちろん,パーカーもいいですし,バド・パウエルのソロはたまりません。でもこのアルバムのガレスピーは本当にいいのです。ぜひ彼のプレイを楽しんでください。

2006年 12月27 日5 時44 分 

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