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ホロライブに感じるリスクマネジメントへの疑問/信頼という漠然とした大切なもの

物事は見る側面によって印象がガラッと変わったりします。
これまで書いた記事はどちらかと言うと表から見た側の印象を元にした記事という感じです。今回は表ではない側面に関する記事です。

■中の人の活動
中の人や前世や魂という呼ばれ方をしていますが、当然VTUBERは生身の人間が3DCGを使って活動をしている訳です。Googleでホロメンの名前を入れればサジェストにはほぼ必ず「前世」というワードが候補が出てきます。ホロライブのメンバーになるには高い倍率の選考をクリアする形ですが、”配信”という仕事をするのであれば、”配信技術”が高い方が有利なのは明らかです。
例えば飲食店が料理人を求人で募集する際に、有利なのは現役の料理人や元料理人です。配信であれば過去に配信活動を行っていた方が適正、スキル、経験値、更にはその活動時に人気があれば「人を引き付けるものがある」というわかりやすい指標になります。
この理屈で言えばVTUBERの多くが過去に配信活動をしていた過去があるのは自然な事です。当人達から見ればバンド活動をしていた人たちが次のステージとしてメジャーデビューをするという感覚で見れば自然だと思います。

じゃあ何がリスク的な問題なの?

■中の人の活動が活発
前述した様に、基本的にホロメンの中の人は誰なのか、どういう活動を今していて、TWITTERアカウントはどれなのか、等ウェブ上で探せる情報は凡そまとめて簡単に知る事ができます。いわゆる周知の事実です。

大きく分けると中の人の状態は
1:現在は動いていない
2:SNSなどがたまに更新される
3:SNSが頻繁に更新されている
4:活発に活動していてマネタイズもしている
5:ホロライブの活動よりも活発に活動している
という感じでしょうか。

この中で3以降がリスク的な問題を孕んでいると考えます。
そしてこの記事を書こうと思ったきっかけは下記のネット記事を見てです。

ラプラスダークネスさんの記事で、内容を読んで少し検索してみると上記1〜5の中だと4に当てはまるのかなという事がわかります。

■ホロライブ側で見るかホロメン側で見るかで大きく変わる
リスク的な見方をするとこういった中の人の活動が活発な際にリスクが大きいのはホロライブ側です。契約体系の確信的な事はわかりませんが、ホロメンとカバー社の関係は少し前に話題になった吉本工業と加藤浩次の様なマネジメント契約か、もう少し縛りの強い業務委託契約の様なイメージです。そう考えるとホロメンというよりは中の人とカバー社とでの契約です。税務関係やマネジメント部分の業務をカバー社に委託して、著作権的な形で配信収益の何割かをカバー社に支払うという類でしょうか。それ故に中の人の活動を制限する様な内容ではないのかもしれません。

「ホロライブはブランドネームとして大きく認知されている」
言い換えればAKB48や乃木坂と同じような感じです。
乃木坂46 → ホロライブ
乃木坂メンバー → ホロメン
みたいな。

中の人の活動が活発というのは、今は卒業されていますが有名なので例に挙げると乃木坂の白石麻衣さんが別名義でアイドル活動を行っているような感じです。仮にその別名義の方を山田という名義でやっていたとして、山田が何か問題を起こした際に世間では「乃木坂の白石麻衣がやらかした」という風に騒がれるでしょう。
もっと極端な例えをすると、ジャニーズアイドルが、個人でホストとしても働いていました、というのも同じ括りで語れるでしょう。
契約内容がどうであれ、世間の目で評価されるという点で中の人とVTUBERそのものは最終的には同一視される可能性がとても高いです。なのでガチ本業のアイドル事務所はグループ外での活動を制限しているのだと思われます。

カバー社側ではホロライブとしての活動部分ではホロメンの管理をしていくのはそこまで難しくないと思います。が、中の人の活動を細かく管理していくのは難しいと考えます。
上記に挙げたラプラスダークネスさんが中の人名義でBoothやFANBOXでグッズなどの販売をしている事くらいは把握していると思いますが、表に見えにくい部分までを把握するのは難しいでしょう。問題が発生した時に初めて知るという流れになるのではないでしょうか。

もしかすると何か損失が出た際の賠償金などの部分で、契約的なペナルティ等はあるのかもしれません。

とにかくホロメンの誰か一人でも大きな問題を起こせば、ホロライブ全体へのダメージが大きい割に制限が少ない点はホロライブ側にとってリスクを常に傍に置いているような状態に見えます。


逆にホロメン側から見た時に、契約内容にはよりますが、中の人の活動がある事で万が一ホロメンとして活動できなくなった時の逃げ場や活動先としての場所を残して置けるというリスクヘッジになる可能性があります。また、今回のリスクとは別軸ですが中の人の活動ではカバー社側に取られる手数料がない分収益効率が高いという部分もあるでしょう。
わかりやすく言うとバイトのかけもちみたいなものです。

昼にスーパーのバイトをして、夜にコンビニバイトをしているみたいな。給料は二つ分入りますし、どちらかが稼げなくなってももうひとつは残っているという感じです。
とまぁこう書くと中の人にとっては良いような気もします。この辺り後ほどまた後述します。

■二足の草鞋を履く、二兎を追う者は一兎をも得ず
この二つは意味の違う諺です。
前者は両立しにくい物事を同時に行うという意味で、後者は欲張ってあれもこれも得ようとして結果何も得られなくなるという意味です。

ホロメンにとって中の人の活動というのは、二兎を追う者は一兎をも得ずに近いものだと思ったりします。この言葉の怖さがホロメンで言い表す際に一番わかりやすい例えは車の運転です。
車を運転は常に事故と隣り合わせです。ちょっとしたよそ見やスマホいじったりが命に繋がる様な事故を起こします。常に前方に集中して、サイドミラー、バックミラーに気を配り、ハンドル操作、アクセル操作、ブレーキ操作といった車の運転に集中しないと事故って命を落とす可能性が飛躍的に高まります。
高速道路の運転中にスマホの通知が来た、その時スマホを取り出して通知の内容を確認するという行為をどう捉えますでしょうか。

ネット記事で見たのですが、以前兎田ぺこらさんが中の人の配信時に「ぺこ」と言いかけてしまった(逆だったかな?)というのを読んで、まさにこの運転の例に当てはまるなと思いました。運転で言えばヒヤッとしたレベルなので大事にはならなかった感じで。

兎田ぺこらさんはVTUBER開始後に中の人の活動を止めている様です。確認したところ最後の配信は2019年の10月でした。個人的には賢明だと感じました。

話は逸れますが、こちらの動画の最初の方のコメントを聞くとVTUBERの活動が決まった後の配信だと思われます。リスナーに「VTUBERになったら私を見つけてね」という発言をしていて、この方のリスナーに対する愛着や真摯さが伝わってきてエモさを感じます。年末に炎上はありましたが、リスナーは配信者が自分達の方を見ているか、誠実かどうか、ちゃんと分かります。そして男性ファンというのは基本的に女性に対して寛容な性質を持つ人が多いです。別れた後も引きずるとかはそういう性質の一面です。

■ブランド価値の儚さ
ブランドイメージというのはとても脆いという特徴があります。知っている人も多いかなという例で、4℃というブランドの例を挙げます。

以前は人気だったブランドが一度付いた風評被害からどんどんブランドイメージが低下していき、そのままそのイメージを回復出来ずに他社が売上を伸ばす中4℃だけ5年連続低迷を続けています。
車業界に目を向けると、以前はトヨタとせめぎ合っていたNISSANはカルロス・ゴーンの不祥事を決定打にトヨタから大きく離され、業績の苦戦が続いています。ブランドイメージを棄損する事象というのは存在そのものを揺るがす一大事と言えます。
その為ブランドイメージはビジネスを継続させていく上で極めて重要なファクターです。ロレックスが、ルイヴィトンが、ユニクロが、マクドナルドが、トヨタが、現在の地位を築けているのは徹底してブランド価値を守り、高め続けてきているからです。

ネットからあらゆる情報が正誤問わず拡散され、凄まじいスピード感を持つ現在では慎重に取り扱い、最新の注意を払っていても、それでも防ぎきれないほど儚いのがブランドです。ひとつのちょっとした事が連鎖的に拡大し止まらず、失墜します。



■中の人に若い人が多い

話を戻します。
少し検索すると大空スバルさんと天音かなたさん以外は中の人の年齢までがっつりわかります。見てみると恐らく正社員的な社会人経験をしていないかもしれないという方もいるのかなと感じました(あくまで推測です)。
若い=ミスをしやすい、というのは少し乱暴すぎますが、経験値が少ない事でミスをしたり誤った判断をしたり、勢い余ってという行動が起きてしまうのはよくある事です。まぁいいかという判断も若い時の方がしやすい傾向はあります。偏った見方になるかもしれませんが。
先程車の運転を例に出しましたが、事故が多いのも実際には免許取り立ての18歳〜22歳くらいが最も多いです、

飛び抜けて高い事がデータからわかります。

若く、経験不足な面がまだ拭えないライバーの方が、ホロライブ以外の活動を個人で行っていて、そこにビジネス活動も加わっていると、集中力はどうしても分散される可能性はあると思います。
ホロライブ視点で見ればこの状況は、ちょっとした些細なことが大問題に発展する人気商売をする中で、常に爆弾を抱えているのと同じ状況とも言えます。

若い人が悪いというものではなく、若いという特性上予期しない事が起こりやすいという特徴です。もちろん年齢を重ねているからといって予期しない事が起きないという訳ではありません。


■中の人活動は本当に本人にはメリットなのか
リスク観点で言えばこんな感じで、それ以外の部分で言うと二兎を追う者は一兎をも得ずはスポーツ選手の様なケースもあります。基本的にはサッカーと野球の両方をプロとして両立させるというのは難しい事だと思います。野球なら野球、サッカーならサッカーに集中する事でより高い成果を得られる可能性が高まります。

①成果が分散する事で高い結果を得られない
②活動を分散する事で予期しないリスクに晒される可能性が高くなる
③ファンからの信頼を得にくくなる

①は上述した様に、もしチャンスの高い方に集中していれば得られたかもしれない成果を得られないという事です。
②はこれまで書いてきた様に、活動が分散する事で本来防げていたかもしれない、又は起きるはずの無かったリスクで交通事故の様に自滅してしまうというものです。
③に関してはこの記事ではここで初めて触れる部分ですが、ここが一番自身にとって実はデメリットとなっている可能性があると感じている部分です。

■信頼という漠然としたものの大切さ
ファンビジネスにとってユーザーは推そうとする対象が信頼できるのかどうかというのはとても重要な部分です。これは対人関係と一緒で、ちょっとした疑念が大切な存在であるほどストレスになる事に起因すると考えます。例えばどうでも良い異性が浮気をしているかもしれないと知ってもストレスにはなりません。けれど恋人や奥さんや旦那が浮気をしているかもしれないという疑念はとてつもないストレスとなります。
同じようにファンにとって推しの存在というのは、どうでも良い存在ではなく大切な存在となります。

「この人は浮気しそうだな」という人を恋人にしようという人は多くないです。これはファンビジネスの世界でも同じですし、あらゆる場面でこの「信頼」というのは絡んできます。飲食店でも食中毒や異物混入などあれば、信頼が揺らぎ顧客離れが一瞬で加速します。

「安心して推せる」というのはファンビジネスの重要な要素として存在すると思います。気に入ったライバーが居たとしても、中の人の活動がチラチラ見えて少しでも不安や違和感の様なものを覚えると本気で推そうという気持ちが揺らぎます。これは本来獲得できていたはずのファンを獲得できなかった機会損失となります。結果として中の人の活動が本来10得られたファンの数を7にしてしまったりしているのです。この機会損失を可視化する事はできないので自身では損失を被っている事に気づきづらい場合があります。

本業のAという活動で100万の利益を現在得ていて、Bというもうひとつの活動で50万の利益を得ていたとします。一見すると100万に50万の上乗せ利益が出ているように見えますが実態は違う可能性があります。Bの活動をしていなかった場合にAの活動で得られる利益が200万になっていたかもしれない可能性を失っている場合があります。更にAの活動に集中していた際に、一定の人気の閾値を超えて所謂バフがかかる状態(例えばスパチャ1位や同接1位など)に突入した際に得られるフィーバー効果やトップシェアの恩恵を得られない事もあり得ます。加えてBの活動がある事によるリスクで事故的な状況に陥る可能性を傍に置くことになります。


■最後にものを言うのは
・モラル
・誠実さ

とは言え運が良ければ何も起きない事もあります。これまで書いてきた事全てを台無しにするようですが運とはそういうものです。本業一本で集中して頑張っていても突然の炎上事や事故に巻き込まれる事もあります。
そういった時に、これまで積み重ねてきたモラルや誠実さがその人を守ります。これは会社やブランドも同じで、カバー社やホロライブというブランドが積み重ねてきたモラルや誠実さによって炎上事や事故時に最終的な結果がどうなるか顧客と世論に委ねられます。
残念ながらホロライブの現在の状況ではこれは薄い様に感じます。お金に執着が過ぎる点や運営方針やこれまでの進み方や何かあった時の対応といった会社としての本質が表に出るタイミングでユーザーにどう見られてきたか、というのはファン歴のまだ浅い僕でも簡単に知る事が出来ました。

モラル、誠実さの積み重ねは味方を増やすという行為でもあります。

世の中の大企業がなぜあんなに事前事業や福祉活動や社会活動に活発なのか?善意も当然ありますが、わかりやすい形でモラルや誠実さを積み重ねて信頼のボリュームを高めています。
これは個人的な意見ですが、ホロライブはこの規模感までくればもっと積極的に福祉活動に着手するのもありなのではと思ったりします。


また別の記事でVTUBERが持つ特性と福祉活動についての記事も書こうと思っていますが、例えば児童福祉施設の子供たちにVならではの特性を活かしてイベントを実施したりなど、今後のビジネス展望にも繋がりそうで尚且つ社会的意義が強く、ブランド価値を高め、いざという時の守りを固める可能性が秘められていそうです。


僕がさくらみこさんや大空スバルさんを推すようになったのはこういった誠実さや実直さが感じられたというのもあります。

さくらみこさんの場合、この動画(1:01:50~)の後半のお話部分や

大空スバルさんの場合この動画などで

何人かのVTUBERを色々と見たりしていく中でこの二人は言葉の端々に真面目さや実直さや誠実さが垣間見えて、自分がホロライブという場に立った事で出来たファンとの繋がりを本当に大切にしているんだなというのが感じられてその素敵さが伝わってきました。この動画以外にもそういった部分を感じられるところが多くあります。


唐突ですが、にじさんじの葛葉さんです。
特に推しという訳ではないですが、男性のトップVTUBERという事でどういう人なのかなとか気になっていくつかの切り抜きを見ました。その中で一番印象に残ったのがこの動画です。彼がトップを取れた理由がここに凝縮されていますしこの記事を裏付ける様な側面が彼にあります。とても頭も良い人だと思います。考え方や発言の本質的な部分が大空スバルさんととても近いものがあります。リスナーに対して大空スバルのリスナーである事を誇れる様に頑張るという発言と全く同意の発言も見られます。
好き嫌いはルックスで大きく分かれそうですが、葛葉さんの言動の節々には人を惹きつけるものや、VTUBERとして活動する人やリスナーにとって貴重なものがたくさんあると思います。
この記事に興味を持ってくれた方には是非見てほしい動画です。
安心や信頼がいかに重要かわからせられます。


最後に
この記事は特定のVTUBERのを非難するものではなく、ホロライブというこの分野での巨大ブランドがその巨大さと比例しないリスクマネジメントの元で事業を行っているのではという事への記事になります。

追記
一部文面の修正とリンク追加

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