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VTUBERのマーケットについてネガティブな視点で所感を書いてみます

ブログの更新も途絶えていましたが、10月前半から先週までVTUBERの配信も殆ど視聴していませんでした。仕事により多忙だったというのもありますが、1か月程離れてみてどう感じたり、VTUBER業界がどう見えてくるかというのを見てみようというのがありました。


■思ったほどVTUBER市場は世の中に浸透していない

時期的なものもありそうですがそれは後述します。
まず感じたのはどっぷりホロメンの配信を追っている時には「〇〇が盛り上がっている」「こんなコラボが始まる」「〇〇企画が開始」等々、業界自体が盛り上がっていて、社会的にもこの勢いが少しずつ一般にも浸透していっているのだろうと感じていました。
ですが配信を見ず、ホロメンをフォローしているXのアカウントをほぼ開かない環境下ではVTUBERという言葉も、ホロライブという言葉も、にじさんじという言葉も、時々インデックスで目にする程度でした。特に大手一般メディア(例えばYahooニュースとか、ライブドアニュースとか、日経などの新聞系メディア諸々とか)では記事タイトルで出てくる事も殆どなく、接する機会というものがほぼありませんでした。

「本当にVTUBER業界は僕が思っていた程に世の中に認知されていたのだろうか」
という疑問が生まれました。
これは年代によっても大きく変わる部分ではあると思います。
10代、学生などの若い世代と僕の様な40代では入って来る情報源が大きく異なるのでここは大きな差があるでしょう。
また、10月~11月というのが大きなトピックスが無かったという可能性もあるかもしれません。

ただそれらを加味しても、界隈のど真ん中に身を置いている時には無かった客観的な視点で見た場合にはどうなのかというのは感じたと思います。

これはミクロ的に見た場合と、マクロ的に見た場合に物事が大きく変わるのと似ているのでしょう。
例えばわかりやすいと思われるシンプルな例えとして
・Aという小学校のあるクラスで流行っている担任の先生のモノマネ
そのクラスではそれが正に話題の中心ですが、これを小学生全体として視点を変えると、何万人と居る小学生の中の僅か0.01%だけの盛り上がりです。

ここまで極端ではないですが、1カ月半程離れてわかったのはこれに近い錯覚をしていたという事です。


■今後どうなっていきそうか

以前にも何度か記事で書いた様に、ブームの後に文化として根付くかどうかで、その分かれ目は定期的に誰が見ても凄いとわかるわかりやすい話題が必要です。ただ、現状はそういったものはあまり出ていない様に思われます。そして今後も変わらないような印象があります。界隈の中では「これは快挙だ」というものや「盛り上がっているな」という出来事はあったりしますが界隈の外に出て話題となるものは殆ど無いように見受けられます。

VTUBERのマーケットが直近でなくなっていくかというとそれは違いますが、1年前2年前に想像していた様な大きな業界になったりという所には到達せずに、今よりも何割か縮小して続いていく、というイメージです。
これは度々例に出しているボカロ市場に近い流れを取っていく様な感じです。


■なぜそう感じるのか

話題というところもそうですが、一部では語られたりしているのは飽きられ始めているというのがあるかと思います。いわゆるユーザー離れというものですが、離れるユーザーよりも多く新規がどんどん増えていれば定着率というもので考えても拡大していきます。VTUBERの活動を追うユーザーの全体数ではこれまでよりも悪化している印象です。

これは例えば活動スタイルがどうしてもゲーム配信一辺倒になってしまう部分が大きそうです。

あくまで僕が確認しているVTUBERに関してですが

・活動はほぼゲーム配信
・ライブは年に1回か2回
・歌ってみたは年に1~3本(配信者によって異なるが)
・企画系が減り活動内容のバリエーションが鈍化
・そもそもの活動頻度が低下

という共通点がある印象です。
細かく調べて統計を取った訳ではないので体感による印象ですが。

直近ではホロライブであればHOLOXの2周年という事で連日2周年ライブがありました。この記事を書いているタイミングでは昨日風真いろはさんのライブがあり、VTUBERファンとしては素晴らしい内容で2回目を見直したいという内容でした。ただ、基本的には1年に1回という頻度なので次はまた1年後の可能性が高いです。
これが例えば1時間のライブではなく、2カ月に一度公式番組などでも歌番組的な配信が行われれば「アイドル」としての活動でファンを維持し続ける事も見込めるかもしれません。

その他の企画含めて、ただ現状はゲームの配信を追いかける事がどうしてもメインになってしまいます。

まとめサイトのリンクですが最近はこういった見出しのものを目にする機会も増えました。


また、先日これもネットであがっていたものですがにじさんじを卒業した郡道美玲さんの収入が少し話題になっていました。

基本的にはホロメンやにじさんじで登録者の多いライバー、個人でも数万人登録がある人などは我々が想定するよりも遥かに高収入だと思います。ある程度の収入ラインを超えると経営者や起業家などでなければ多くの人がその収入を減らさない様にという守りに入ります。それは変化をする事を嫌う事にも繋がるので、例えば企画で慣れない事をするよりも安定した普段のゲーム配信の方を行う方が精神的な安定感もありますし、肉体的にも負担などはないと思います。
また、メンバーシップ系収入や、広告収入は極論何もしていなくても大きな収入が入ってきます。上記の郡道さんのFANTIAも毎月400万以上の収益が入ってきます。

僕も世間一般で言えば比較的収入は多い方ですが、流石に月に400万~700万というような富裕層的な収入は入ってきません。もしそれくらいの収入が半不労所得の様な部分から入ってくるようになれば積極的な活動はしなくなる気がします。或いは必要最低限の活動をしていれば大丈夫かなというラインを見つけていくでしょう。

そういう意味では業界を引っ張っていく事が可能な、代表的なVTUBERであればあるほど活動量に対して報酬のコスパが良すぎるのが仇となっている可能性はあります。

別視点での話になりますが、会社社長の多くは社員の為にもっと会社を大きくして安定させたいという社会的責任が精力的な活動に繋がる面があります。対して個人事業主などはそういった部分が無い為、ある一定ラインまでいけばそれ以上の精力的な活動を自身でブレーキをかける人が多い印象です。それは守るべき社員や会社代表としての「責任」という部分がないので仕方ないですし、それを望んでいるので個人事業主を選択している訳でもあるので。例えば人気のラーメン屋が特に店舗を増やしたりせず、無理をせず現状維持で1店舗で何年も続けていたりするのは今回書いているVTUBERのケースと近いのかもしれません。
これはモチベーションの部分で、全てのVTUBERがある程度の成功と共に保守的になるという訳ではありませんが、難しい部分なのかとも感じます。
例えばホロライブで言えば新人枠に入るリグロスは目標とするラインに到達する為に精力的な活動と、その活動に比例した成果(登録者数等)が得られるのでモチベーションは高いと思われます。
対してある一定期間の活動を経てしまうと、活動量に対して得られる成果というのは大きく下がったりします。活動4年を迎えていたりすると、登録者の伸びも非常に緩やかになったり、新しい事にチャレンジしても目に見える成果もなく終わってしまう、という事は多々あるように見受けます。そうすると現在の状況がライフスタイル、収入的にも満足できるものであればモチベーションを高く維持するというのがそもそも難しいでしょう。
結果としてマンネリ化を招いて徐々にユーザーが離れていくという事になるのかもしれません。


■市場記事

ここまでは僕の主観中心に書いてきました。客観的に見た場合どうでしょうか。

これは7月に出された矢野経済研究所のVTUBER市場の調査についてです。

グラフを一見してわかる様にかなりの勢いで市場規模を拡大させてきており、2023年も800億円の市場にまで伸びるという予測になっています。また、この矢野経済研究所はつい先日12月5日にも面白い調査データを出しています。


オタク文化が存在する業界ごとのユーザー規模と消費額、可処分時間の使用量を比較したものです。実体値とどれだけ近いのかは不明ですが、対象1万名への調査なのでそこまで大きな乖離はないかもしれません。

また、ANYCOLOR、カバー株式会社ともに業績発表の内容は好調です。

また、ホロライブは決算資料を見るとホロメン一人当たりの収益が3億円の大台を超えたという事もわかります。

もちろんホロメンによって差は出ていると思うので1億円~5億円くらいのレンジで推移しているのかなと思います。

市場での反応は好印象なものが殆どですが中にはこういった見方の記事などもたまに見かけます。

概要としてはホロライブは熱量の高いファンに支えられており、逆に見ればファン一人への依存度が高いという課題にもなり、カバー株式会社自身もそれを認識している、というものです。

非常に極端にわかりやすく言えば、毎月100万のスパチャを投げてくれるファンが3人居るVTUBERみたいな感じです。毎月300万(年間3600万)入ってきますがもし2人が離れると毎月100万(年間1200万)まで激減し、最後の一人も離れると0になります。逆に年間1万円使ってくれるファンが3600人居れば5人10人のファン離れの影響は大きくありません。
経営状態の安定化という部分で見れば、顧客数の最大化は大きな課題のひとつという感じですかね。


という感じで客観的な見方で言えばVTUBER市場は伸びており、勢いもあるというのが総合的な意見という状況です。


■それらも含めて

現在の状態が続くとこういう推移をしていくのではないかという感じです。

2024年のどこかでピークを迎えて、そこから下降傾向に入って、ある一定ラインでほぼ横ばいになり落ち着く、というイメージです。

僕がよく例に出すボカロ市場ですが、2017年に100億円に入り、そこから横ばいなっているという状況が続いています。

直近の状況について語られている記事で

ボカロPは今後どうなるのかというものがあります。読んで貰うとわかりますが、VTUBER業界と同じような状況を経ている記載があります。

しかし、ボカロPの数が増えるにつれ、競争も激化しています。
ボカロPが上を目指すためには、単に作品を公開するだけではなく、自分の音楽性を磨き、ファンを獲得するための戦略を考える必要があります。

上記のボカロP部分をVTUBERに置き換えると凡そ当てはまります。

ボカロについてもそれを趣味嗜好として嗜むユーザー数がアッパーを迎えたタイミングで成長は鈍化してレッドオーシャンの様な状態に入ります。これはVTUBEでも同様かと考えます。

一言で言えばVTUBERを趣味嗜好とする人は概ね一通りもう獲得した状態が2023年、2024年という事です。
今以上の拡大をしていく場合、VTUBERに見向きしない層が熱中する様な新しい事や、何か別のアプローチ等が必須かと思います。
もうひとつ、それは恐らくですが2024年中でないと難しい様な気もします。タイミングというのは非常に重要で、「2024年にやればヒットした」ものも「2025年にやってもいまいちな結果」で終わったりします。


あくまでもこの記事は僕の主観によるネガティブに見た場合の状況についてです。ポジティブに見ればまた違った内容になります。


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