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スポットクーラーとの生活

 ついにスポットクーラーが導入された。miiさんとこのアパートに住み始めた当初、夏が訪れると窓を開けていればそれなりに涼しい風が入ってきた。子供の頃からエアコンが稼働している家に住んでいた僕からするとなんだか衝撃だった。エアコンてなくても平気なんだなーと。ただ、ここ数年夏がより夏をしている、いや夏を超えて夏以上の存在になってしまった。俺たちが、子供の頃30℃超える日の方が珍しくて、30℃超えた日はおばあちゃんに家にいなさいって言われたよーと八百屋で働いていた時に教えてもらったのをなんだか思い出した。
 そんなわけなのでここ数年は夏がくるたびにエアコンを導入するかどうかの会議が家では開かれ、なんやかんやと話していると時は過ぎ秋の気配を感じる。今年もやっぱりエアコンいらないねーとなりまた季節は過ぎてゆく。ただ、来たる2023年はただならぬなにかをmiiさんから感じた。暑くて家で作業に集中できねぇ、もっとやりたいことに集中してーんだと、なみなみならぬ決意というか、やりたいことが暑さでできないフラストレーションが溜まっているみたいだった。何日かmiiさんがスマホと睨めっこしている日々が続いていたのだが、いよいよスポットクーラー注文したと告げられた。
 スポットクーラーが到着して今日で3日目。とにかく涼しい。部屋全体とまではいかないまでも6畳分くらい充分に冷やしてくれてる。それに少し涼しい風に当たれると身体が楽になる。現に今はその恩恵に預かりながらこの文章だって書いているし、意欲がある時にすぐに動き出せて、暑くてうなだれるというワンクッションがないのだから、なんだか体力温存にもなりそうである。しかし事件は朝方起きる。miiさんが仕事の準備を始めてスポットクーラーを動かし始めたのだが、なんだか涼しくならない。むしろ若干の熱が部屋に溜まっている感じもして、それでも涼しい風は出てるので、まあ、こんかもんかなぁ?と過ごしていたら、もしかして!と、miiさんが動き始める。(スポットクーラーには外に熱を排出するためのダクトがついていて、熱を排出しないとその場にこもってしまうらしいのだ。そんなわけで例にならって、窓にダクトを設置している)太陽の熱が入らないように雨戸を閉めてたら、ダクトの穴も一緒に塞いでいたらしく、熱が外に出ていかない状態になっていた。miiさんはやっちまった、やっちまった!すまねぇー!と謝罪をしながら(人間以外の機械にも。おそらくスポットクーラー、扇風機、暑くなってしまった部屋などなども含む)歩き回り、こういうのなんて言うんだ?ツウテンのミス?と惜しいミスをここでも繰り広げていた。多分、痛恨のミスじゃないかい?と言うたら、あーあ、それそれー!と嬉しそうに痛恨、痛恨と連呼していたのですが、スポットクーラーで部屋を涼しく快適にするにはダクトから熱気を出すことが重要で、穴塞ぐと部屋が暖まりながら冷やす状態になるので、いつまでも冷えないなーという状況が続くのだなぁと始めて知りました。

 ツウテン〜ツウテン〜。涼しいです。

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