職業選択の自由とアート
前よりも、音楽を聞くようになった。映画を見るようになった。本は、まだ読めない。
コロナで引き籠り中に見たこの言葉、先日の授業の時に、ふと思い出したくなって探した。
”If you think artists are useless, try to spend your quarantine without music, books, poems, movies and paintings.”
「もしお前ら、アートなんか役に立たないって思っているなら、この自粛期間を音楽、本、詩、映画や絵画を一切抜きにして過ごしてみろ!できるか!?」
みたいな意味です。私訳。仰ったのは、この方。
歌人、詩人、職人、役者、絵描き。アーティストって、なんで堂々と、名乗れなかったりすることがあるんだろう。古代ヨーロッパの詩人や、日本の歌人なんて、昔はものすごく尊敬されて、偉かったはずなのに。
他人に、「え、それって稼げんの?大丈夫?」と言われるのがこわくて、「まぁ、趣味みたいなもんだから」って言って誤魔化して、サラリーマンやったり。
日本人が自分の職業を自由に選べるようになったのは明治初期、1871年以降のこと。「職業選択の自由」は、文明開化によって持ち込まれた新しい考え方だった。
それまでの、士農工商という身分制度から解放されて、自ら “選ぶ” 権利を与えられた。とはいえ、表向きにはそうであっても、なかなか世に浸透するには時間がかかったであろうけど。
当時の日本人にとって、それまで「職業」というものは、“与えられるもの” だった。
武士の子は武士、農民の子は農民というように。どの家に生まれるかで確定してしまうような、今とはちょっと違う意味でいう、天から与えられる “天職” のようなものであった。
そう考えると、仕事を自分で選ぶことに、日本人はまだまだ慣れていない。確立された正攻法もなく、あれこれ分からないなりに転職やら副業やらを繰り返しやっているのも、考えてみれば当たり前なのかもしれない。
まだ、150年前くらいだもんな。歴史を学ぶようになってからは、あらゆることが、ごくごく最近の出来事のように感じられる。不思議。
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