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クラフトビールフェス、イベントの意義とは

6月になりました。
3号店の屋外店舗で立飲みしてたら予想外の水難でびしゃびしゃになりました。お客様でなくてよかったw

さて、先日は大阪南港にて関西最大級のクラフトビールイベント、クラフトビアライブにて出店させてもらってきました。
コロナ前までは難波リバープレイスにて開催されていた長く続いているイベントです。関西一円のブルワリー全部に出店依頼をされるイベントで、今年はなんとブリュワリー56社が出展。難波でやってたときはしばらく20社前後だったイベントでしたが、ブームで事業者が増えたため手狭になり、より広い開催地でということで南港ATCにて去年から開催されています。

クラフトビールのフェスやイベントって何のためにやるんでしょう?
実は弊社はブリューパブとして自社の飲食店で基本的には製造量の全量を販売しているため、フェスやイベントへの出店は控えていました。控えていたというより、製造量が足らなくなるから出られなかったという方が正しい。

クラフトビアライブ=CBLは極力出店するようにしていますが、あまりイベントには出ていません。
それは弊社のビジネスモデル的に合う合わないの話なんですが、一般的なブリュワリーはイベントに出店することはメリットがあると思います。

①売り上げになる

もちろん出店する以上、売上利益を上げるために出ます。でも実際はなかなか難しいんですよね。出店すれば儲かるというほど簡単でもない。
最近はブームもあって、新規のイベントも多数あります。規模の大小もまちまちだし、過去に儲かったからといって今回も儲かるという保証はありません。だいたいは屋外イベントなので天候にも左右されます。
ブームのおかげで事業者は増えたのですが、イベントに出店する事業者も多くなったので、カニばってる部分も多分にあります。CBLは確かに来場者数も多いですが、出店者数も相対的に多いので各社の売上は確実に減っていると感じます。

②テストマーケティング

売上ももちろん大事ですが、見本市としての側面もあります。
弊社のように直売飲食店を持たないブリュワリーも多くあり、エンドユーザーから直接フィードバックを得られる機会としてのイベントは価値があります。これは個店だけの話ではなく、イベント全体でどこのブリュワリーが人気だったかとか、どんなスタイルのビールがよく売れたかという指標としてのテストマーケティングに大きな価値があると思います。
イベント出店の結果を受けて、今後どのようなビールを製造するか、マーケットに投入していくかという判断材料の一つとしてイベントは有用だと思います。

③販促、営業

これも見本市としての側面ですが、もともとはこの意味合いが大きかったと思います。我々クラフトビールメーカーは、出口戦略が弱くて大きな販売先はクラフトビール専門の飲食店だったと思います。専門店のオーナーや店員さんに飲んでもらって、今後の取引につなげていく。イベント単体では儲からないけど、後日ビアパブやビアバーで取引してもらえればイベントに出る意味もありました。
しかし、近年この意味合いがだんだん薄まってきていると感じています。CBLでもクラフトビール専門店の方々が来る割合が少なくなっている。事業者が増えすぎたことでビアパブやビアバーの方々も情報収集が追いつかなくなってきている可能性が高いです。
全部を追いかけなくとも、既存の取引先だけですでに十分な選択肢を持っており、新規ブリュワリーにとっては営業の効果は年々薄まってきています。単純に言うと出口が足りてなくて飲み手も足りていない、そういう環境だと感じました。

④同業者同士の情報交換、交流

今回のCBLについては、これが一番の理由だったのかもしれません。コロナでしばらく大規模イベントは行われておらず、大々的に同業者が集まる機会は減っていました。
コロナでイベント開催ができなかった3年間のうちに、実は事業者は倍増していて、今回初出店というブリュワリーがたくさんありました。以前はCBL初出店というだけで行列ができたものでしたが、今では初出店枠が多数あるのでそれだけではインパクト不足でした。
ただ、初出店のところがたくさんあるということは、それだけ業界にアクセスできていなかった人も多かったということだと思います。これがこの業界の面白いところで、例えば製造方法や原料について、同業間で情報共有や情報公開することをいとわない習慣があります。みんな聞いたら何でも教えてくれますし、こちらも教えます。新規事業者の人たちの底上げもそれによって促進するはずです。狭い業界なので、だいたい知り合いなんですよね。
個人的には業界にアクセスできない野良ブリュワリー、新規ブリュワリーも多くいると思っているので、業界にアクセスする手段としてイベントは有用と感じます。

⑤ファンサービス

かつてはこれが一番の目的だった気がします。今でもそうだと思っているブリュワリーも多いと思います。CBLでも往年のクラフトビールファン、地ビールファンが多く来て下さり、さながら同窓会の様相でした。今までのクラフトビールマーケットを支えてきてくれたコアファン層にとっても、イベントやフェスは外せない年間行事であり、ファン同士が顔を合わせる機会でもあります。
弊社の常連さんもたくさん来てくれて、弊社以外のビールもたくさん飲んでくれたことで業界全体を盛り上げる一つのきっかけとなることは間違いないでしょう。
まだクラフトビールを好きになって間もないビギナー層からしても、イベントやフェスに行くことで新たなクラフトビールの魅力に気付ける、そんなきっかけとなることも重要と思います。
今回CBLで感じたのは、ブリュワリー側の世代交代も進んでいるということ。以前はイベントやフェスに行くと、どこそこのブリュワリーのあのブリュワーと交流ができる、というコアファンの需要を取り込んでいましたが、最近はブリュワリー側の現場スタッフも世代交代が進んでいて、地ビール時代からのレジェンドブリュワーがいないこともあるので、ファン層も世代交代が進んでいきそうだなと。

GWで出店した京都伏見のイベントでは、銭湯とクラフトビールというコンセプトでした。イベントもクラフトビール単体のイベントというより、○○とクラフトビールというように、コンテンツの掛け合わせが今後進んでいくと思います。
クラフトビール単体のイベントが乱立していることもあり、ユーザー側がイベント疲れしてる部分も正直感じます。新たなコンセプトやコンテンツの掛け合わせで、今までとは違うユーザーをいかに呼び込めるかは重要なポイントになると思います。
この辺がジレンマで、純粋なクラフトビールイベントじゃないからこそ出店側のメリットも変わってきていて、ブリュワリーのコンセプトやヴィジョンがさらに注目されるのかもなぁと思いました。みんなあんまりそこまで考えてないかもしれませんがw

単純に屋外でみんなでビール飲むのが気持ちよくて楽しいだけどなぁ、と思いつつも、ビジネスとして考えると出店すべきイベントというのは多くないなと思います。まぁそれでも色んなパワーバランスとかしがらみもあるので出ないといけないときもあるんですが。
イベント出るたびに思うのは、うちはイベント出店ヘタやなぁとw
あんまり売る気がないのが良くないのかもしれません。CBLはライブで大盛り上がりしたの個人的には十分満足でした。ご来場くださった皆様ありがとうございました!

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