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【絵本】月の紳士 :時計師のサムとアラン編 第004話

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チクタク、チクタク。

耳を当てると音がする懐中時計。マイクの紹介で「時計の修理屋さん」へ訪ねる事になったパウロ・マイク・ジョニーのお三方。

街の路地。その裏の、そのまた裏。それはもう表なんじゃないか?とパウロが思うほど細道をずっと進みます。そこには確かに小さな時計の修理屋がありました。その小さな入り口には「La Mortre」と看板に書かれています。

軽快にそして紳士的に、「コンコンッ」とステッキの持ち手部分で、入り口をノックするマイク。重厚な扉の向こうから、「入っていいよ」と聞こえたような気がしたので、さっそうと店内へ。

中にはこれまたスーツでバシッと決まった時計師、サルの「サム」とキツネの「アラン」がいました。

ちょうど休憩の時間だったようで、すぐにコーヒーを淹れてくれるサム。サムは寡黙(かもく)なのであまり喋りません。そこでアランがこう言います。

「ちょっと見せてくれないか?」

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話題は、壊れた懐中時計。アランもすぐに耳を懐中時計に当てました。「これは面白い。」小さくそう言って机の上の工具を手に滑り込ませました。

「君たちは、おまじないを信じるかい?」

アランはそれだけを言って、パカッと懐中時計を開いて見せました。電気を消すようにサムに言うと、その部屋は真っ暗になりました。と言うより、確かに真っ暗になるはずでした。懐中時計の銅板の隙間から何やら光が漏れているのです。アンビリーバボー。何ということでしょう。

「これは『幸運の結晶体』が内包されている、しろ物だよ。」

アランは興奮を抑えながら言いました。そこには「隕石」の結晶(第001話を参照)があったのです。

その場は静まりかえりました。むかし話、つまり伝説は本当だったのです。

パウロは思いました。これが本当だったのだから、きっと月の紳士は存在していたんだと。ずっと黙っていたサムがこう言いました。

「この街の ”創生と歴史” の勉強をした方がいい。」

サムの言葉に、アランが店の奥から「移動式の黒板」を引っ張り出してきました。そこからサム先生の授業がはじまります。その授業はとても興味深く、長いものになりました。なのでお店の2階にパウロは泊めてもらい、しばらくの間、サム先生の授業を受けることとなりました。

授業が終わる頃には「懐中時計」もメンテナンスが終わり、もとの形に閉じられました。どうやら直すまでには至らなかったようです。アランは言いました。

「直らなかったが、摩耗した部品は新調しておいた。あと、貴重なデータもたくさん採れたよ。」

そう言って、懐中時計を返してくれました。パウロが懐中時計を眺めていると、すぐに変化に気がつきました。懐中時計の頭についているボタンを押すと幸運の結晶の「光が漏れる」仕掛けになっていたのです。きっと何かの助けになるだろうとアランは言っていました。パウロはそのボタンをポチポチ押して遊ぶようになりました。

さて、3人の冒険は始まったばかり。どうなるのか!乞うご期待。

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