BUMP OF CHICKENの呪い
私にはずっと聴けない音楽がある。
聴かなくなったのではなく、
「聴けなくなった」
と言うのが正しい表現である事を伝えたい。
時は遡る事十数年前
彼らは流星の如くミュージックシーンに現れた。
当時で言うと
「アンニュイ感」たっぷりのボーカリストに、
トータル的に統一感のあるバンドヴィジュアル。
もちろんキャッチーで耳に残るサウンドで
多くの人は心を奪われていただろう。
私もその1人、だった。
と言いたいところだが、実は違う。
当時は小さなライブハウスでしかライブを行わないようなバンドを好き好んで聴いていたし、
パンク精神最高!
なんて、身の毛もよだつような嗜好で
頭の中では、
首を縦に振りながら鋲がついた革ジャンに、血は通っているのかと言うくらいぱつぱつの革のパンツ。
おいおい、就職する気はないのかい、と言うくらい全身タトゥーでギター背負ってる男性と歩いていた私が(妄想)
まさか彼らに夢中になるはずがない。
でも、彼らに黄色い声をあげてる女性は理解できたし、カラオケで見えないものを見ようとして望遠鏡を覗き込んだ事だって何度もある。
それくらい、身近にあった音楽の一つだったのに、私は彼らの音楽を聴けなくなってしまったのだ。
理由を聞けば、よくある事。
と、されるだろう。
よくある事こそ、実際身近にそんなやついない、のも事実だ。
当時、私は同じバイト先の一個下の彼とお付き合いをしていた。
生まれて初めて付き合った彼だった。
バイト先でももちろん公認のカップルで
後輩の女の子に
「〇〇さん(彼)、先輩の事ホントに大好きみたいですよ。この間喧嘩された後、泣きながら話してました。」
なんて、少女漫画びっくり、月9の中盤盛り上がり回か〜なんて思うワンシーンを作り出すカップルだったのだが。
時、間も無く、突然別れを切り出されたのだ。
理由はいくら聞いても答えてくれなかった。
今となっては、男女間で気持ちが冷めて別れる事なんて当たり前だし、それが一方的に告げられてしまう事があるなんてのも理解出来る。
でも、当時生まれて初めて付き合って
生まれて初めての色々を経験して、
私の事が大好きで泣いちゃうほどの彼が、
私の人生からいなくなる事など、想像もついていなかった。
別れた後、
同じバイト先というのは酷なものだ。
お互いフリーターだったし
辞めるわけにいかない。
いや、むしろやめてしまうと
彼との僅かな「元サヤ」への希望もなくなってしまうような気がして
今では絶対に考えられない
「友達」に戻りましょう作戦に出たのだ。
いつかきっと、思い直してくれるだろう
なんて、そんな淡い期待を持ちながら。
それなのに。
まさか知らないものを見ようとして望遠鏡を覗き込んでしまった事が
私の人生から、聴けなくなってしまう音楽を生み出してしまうとは。
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.....呪いは、続く。
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