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失恋、それはBUMP OF CHICKENと共に。


元彼に元サヤを求める事も
未練タラタラ追いかける事も
何もいい結果を生まない、という事を

私はこの出来事を教訓に

生きていけているだろうかー。

そうだ。
BUMP OF CHICKENの呪いの話であった。

やはり誰にも聞かれてないけど、続きを話そう。

BUMP OF CHICKENのDVDの存在なんてとっくに忘れてしまっていた。

そんな事よりどうしたら彼の心を取り戻せるのだろう、そんなことばかり考えていた。

どうしても、一緒に過ごした日々を
ゼロにする事は出来なかった。

あの時、ただ一言、
他に好きな人が出来た、と言ってくれれば
すんなり諦めがついたのだろうか。

何度口論を繰り返しても何も変わらない現実がそこにはあった。

心身共に疲れ果ててしまった私は、
絶対に開いてはいけない扉を開いてしまったのだ。

携帯だ。

ダメだ、と思いながらも彼のいない間に、バイト先の更衣室に無造作に置いてあった彼の携帯を手に取った。

今でこそセキュリティ次第では絶対に見る事が出来ないものも
当時そんな機能は備わっていたのだろうか?
そんな事すら、覚えてもいない。

携帯を恐る恐る開き、メールBOXを開いた。

内容なんて覚えていない。
衝撃だったのは、送り主に他ならなかったから。

ここ数ヶ月の出来事全部が、
走馬灯のように頭の中を流れるという事は、こうゆうことなのだ。

キュルキュルキュルキュルと音を立てて
ビデオが巻き戻る。

今時ビデオでもないし、巻き戻しにキュルキュル音がするなんて表現、理解できないかもしれないが。

果たして、私の記憶はどこまで戻るのだろうか。
どこまで戻せばこの現実を理解できるだろうか。

そして、巻き戻った場面はここだった。

「〇〇さん(彼)、先輩の事ホントに大好きみたいですよ。この間喧嘩された後、泣きながら話してました。」

後輩のあの子に言われたセリフだ。

相手は彼女だった。

全てはあの時からじわじわと始まっていたんだ。

メールの内容といえば、ただのバイト先の先輩後輩が送り合う内容ではなかった。
細かい事こそ覚えていないが、
誰がみてもそれはカップルが送り合うメールの内容だった。

なぜ、彼女が?
いいや、なぜ彼女と?

そういえば、最近全然彼女と私、
バイトで一緒にならないよね。

あぁ、シフト作ってるの彼だもんね。
そうか。私達が一緒にならないようにしてたんだね。

そういえば....
あ、DVD。

「借りた」DVDは。
あぁ...あの部屋で一緒に観たんだね。

あぁ....だから好きな人が出来たって言って別れられないんだね。
言えないよね。
同じバイト先だもんね。

私が彼女に何するか、わかったもんじゃないもんね。
修羅場になっちゃうもんね。

そっかそっか。

そういえば......そういえば......と

腑に落ちなかった出来事を思い出してみるとキリがなかった。

もしかして、この事知らないのは私だけだった?

そのあとの事など、思い出すのも恐ろしい。
口に出すのも恥ずかしい。


私はこの時を境に

BUMP OF CHICKENを聴かなくなった。
聴かなくなった、というより
「聴けなくなった」という言葉が本当に正しかった。

イントロさえ流れると
耳を塞ぎ、目を閉じた。

2人の事を思い出すのが嫌だと言うよりは、
あの時の感情を思い出すのがしんどかったから。

時が流れれば、失恋の思い出として処理されるだろうと思っていたが
なかなか乗り越えられない「壁」になった。

BUMP OF CHICKENは何も悪くない。
BUMP OF CHICKENはいいバンドだ。

そう思ってプレイボタンを押してみても
イントロドンくらいの速さで、停止ボタンを押してしまう。

こうして私の人生の中で
BUMP OF CHICKENはパンドラの箱となってしまった。


あれから十数年。

私は今だにBUMP OF CHICKENを聴いていない。



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