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YouTube運営を2年続けてわかった創作活動をできるだけ長く続けるために大切なこと

2020年からパートナーとYouTubeの運営を始め、約2年半が経ちました。
出演は妻、撮影編集などを私が担当し、企画は互いに相談しながら制作しています。
規模はまだチャンネル登録10万人に満たない程度なのですが、ありがたいことにこの2年で書籍化/メディア出演/企業案件など様々な機会をいただけ裏方として色々な経験をすることができました。
今日はそんなサポートを続ける中で見えてきた、クリエイターができるだけ長く創作活動を続けるために大切なことを自分なりの視点で6つにまとめてみたいと思います。

*手掛けているチャンネルを友人・知人以外にはオープンにしていないため、その点は伏せてまとめています。

ビジョンを掲げ、わかりやすい言葉にする

組織運営と同様に、個人にとってもビジョンを設定することはクリエイターを長く続ける上で非常に大切だと考えています。

ここでいうビジョンとは「10万人にフォローされたい」「年収1000万円になりたい」といったものではなく、その創作活動を通じてどういう風に世の中を変えたいのか・受け手に影響を与えたいのかを、パーパス視点でなるべく明確に設定することを指します。
例えば、「筋トレの動画を通じて一人でも多くの人の自己肯定感を上げたい」「時短レシピの発信を通じて時間と生活に余裕を持つ人を増やしたい」などです。

創作活動を続けていると時に何を発信したらよいか迷うこともあるかと思うのですが(私たちも実際に何度も迷いました)、最初にビジョンを設定しておくことで、迷った時でも本意じゃない企画や行動を回避できブレずに基本に立ちかえることができます。

また、それをなるべくわかりやすいキャッチーな言葉にまとめ、周囲に表明しておくこともおすすめです。
簡潔に言えるような言葉でまとめておければ、自分の中でも常に意識することができますし、周囲にそのことを表明することは、ビジョンに共感した方が熱量の高いファンになってくれる可能性も上げてくれます。
(仮にあまり面白くないコンテンツを出してしまった時でも、ビジョンを知って共感してくれていれば、すぐに離れていく事態も防げます。)

活動を続ける中でビジョンを途中で見直すことももちろんあるかと思いますし、それでも全然問題ないです。
変わる可能性があって良いので、まず初めに何らかビジョンを設定すること・それをできる限りキャッチーに言語化することを強くおすすめします。

複数のカテゴリを組み合わせる

チャンネルを立ち上げてから週1ペースくらいで動画を発信していたのですが、1種類のカテゴリだけでコンテンツを作り続けるのはなかなか難しいことに発信して割とすぐ気づかされました。

理由は、シンプルにネタが尽きてくることです。私たちが取り扱っているのが比較的マイナーカテゴリなため、競合も少なく最初の目新しさはあったのですが、マイナーなゆえに企画の幅がそこまで広くなく「次は何の企画を作ろうか…」と毎週苦戦していました。
そこで、今のカテゴリから関連する別のカテゴリを掛け合わせコンテンツの幅を広げてみたところ、この悩みがかなり解消されました。

ちょっとわかりやすいように適当な例を作ると……

もし仮に、私が20~30代の男性をターゲットに「筋トレ」の情報を発信するクリエイターだったとします。
一見、トレーニングの数だけ大量に企画が作れそうだなと思えるのですが、裾の広いカテゴリは競合が多く、既に似たようなコンテンツ・クリエイターが溢れているため、発信する人に余程の個性や魅力がなければ、発見されずに埋もれてしまいます。
これではモチベーションも上がらず続けられません。
そこで、関連する別カテゴリを掛け合わせてみるとどうでしょうか。
例えば、筋トレ以外にファッションが好きであれば「筋トレ✖️ファッション」を組み合わせることで、さまざまな企画を作ることができます。
『1000円TシャツでもハイブランドのTシャツに見せる大胸筋の鍛え方』
『上腕二頭筋が太すぎても大丈夫?オーダーでジャケット仕立ててみた』
『ジムでも普段着でも使える 5,000円以下タンクトップ5選』
といった感じです。

筋トレ一本で発信するより、ネタ切れを防ぐことができる気がしませんか?
更に、別カテゴリを1つ交ぜることで一気に個性も出てくるため、メジャーカテゴリであっても「この人新しくて面白いな」と思ってもらえる可能性も上がってきます。

複数カテゴリを組み合わせることは、ネタ枯渇回避+ファン拡大というメリットがありますので、長く続ける上でぜひ取り入れていただきたいポイントです。

フォーマットを作る

創作活動を長く続けていく上で、その人なりの「型」を一つ作ってしまえば継続はぐんと楽になることを学びました。

最近、車を買おうかなと考えていて色々なYouTubeを見て参考にしていまして、なかでもハンターチャンネルさんのフォーマットが完璧で、車の情報だけでなく動画制作においても非常に勉強させてもらっています。

さまざまな車種を20〜30分で紹介するクリエイターさんなのですが
【全体感⇨デザイン⇨内装と座り心地⇨試乗】
と、一連の流れが決まっていて、細かい部分を撮影するポイントも毎回統一されています。
型が決まっているので動画ごとに時間をかけて構成を考える必要がなく、「その車どう紹介するか」という本質の部分に時間が割けるため、非常に効率的でクオリティも上げられるなと感動しました。

また、ハンターチャンネルさんの動画を見ていて、フォーマット化は作り手の労力が減るというメリットだけでなく、見る側にとってもいい意味で流れが想像できて内容に集中できることにも気づかされました。

毎回先の展開がどうなるか予想のつかない手に汗握る映画のような作品も魅力ではあるのですが、「情報を得ること」や「出演者同士の話を聞くこと」が視聴者のニーズとなっているジャンルの場合は、そうした構成はかえってノイズになりかねません。
フォーマットが常に変わらずあることで、本質的に求めている情報だけを受け手も摂取できるのだと思います。

地上波で息の長い番組(徹子の部屋とか)を見ていても、ゲストやトークテーマは都度変えながらも、全体の構成自体は大きく変わることなく続いていますよね。
創作を長く続けてるためにフォーマット化は欠かせない要素の一つなんだなと、他のクリエイターさんの投稿や実際に自分で編集してみたことで学ぶことができました。

どこから声をかけられたいかを具体的に決める

書籍化やメディア出演、企業タイアップなど、誰かに発見され活躍の幅を広げることは多くのクリエイターさんが目標とすることではないでしょうか。

長く続けていく=収益を持続的に得ることと捉えた時に、第三者に自分の活動を見つけてもらうことは無視できない目標の一つです。

その際、いつか発見されることをなんとなく受け身で待つのではなく「自分達はどこから声をかけられたいのか?」を、具体的なイメージを持って活動するよう心がけていました。

例えば、雑誌に取材されるならどこが良いか(veryなのか&premiumなのかhanakoなのか)、企業案件はどこから依頼されたいか(社名あるいは業種)といったことを、なるべく具体的に設定するイメージです。
広報戦略でいう、ターゲットメディアを決めることと近いかもしれません。

ターゲットメディアとは、企業が広報活動をするうえで記事掲載(パブリシティ)を狙う媒体のこと。そのメディアにどんな読者や閲覧者、フォロワーがいるかを吟味し、露出したい商材やサービスのコミュニケーションターゲットと一致するかどうかを検討したうえで、ターゲットメディアとしてリストアップしていきます。たとえば働く女性向けの化粧品であれば、女性誌や女性向け情報サイトなどがターゲットメディアとなります。

PR TALK
https://product.talent-book.jp/pr-talk/pr-glossaries/target-media/

ターゲットが決まれば、そのメディアや企業がどういう人に声をかけているのか・その人たちはどんな発信をしているのか・世の中でどういう切り口が求められているのかを、漠然と希望するよりも解像度を上げてイメージを持つことができます。
実際に声をかけられることを想定した具体的な企画を作ってみる、といったこともやってみたりしました。

もちろん、それでも結果的に希望していたところからは全然違うところからお呼びがかかる・もしくは全く声をかけられない確率の方が当然高いです。ですが、そうして得た情報や考えたプレセスは、必ず新しい企画を生むヒントとなってくれます。
ぜひ、自分達はどこから声をかけられたいかな?を楽しんで戦略立ててみてください。

らしくない仕事は断る

前項の話で誤解を生んでしまったら申し訳ないのですが、決して「メディアや企業の求めているものを創りましょう」ということではありません。
あくまでも、"自分達が希望する相手から"声をかけられるためにという視点で書いています。

5万フォロワーを超えたあたりから、本当に色々な所から依頼が舞い込むようになりました。商品PRの依頼から、プロジェクトのシェア依頼、書籍化、商品開発の監修など、どうやって探してくれたのかとびっくりするくらいお問合せをいただきます。
ただ、その7割くらいは、経済的な条件が良くてもお断りをしてきました。

依頼内容がフォロワー数だけを期待したものは当然お断りをするのですが、(全く関連性のないゲームを宣伝してという相談もありました笑)
例え非常に丁寧な依頼であっても、先方の期待値と自分達のやっていることがずれている=自分達らしくない、と思った場合には、顔合わせや打ち合わせをした後でも残念ながら辞退させていただくことがありました。

普段の仕事は頼まれたらなかなかNoと言えないタイプなのですが、個人クリエイターの場合、一度信用を失うとリカバリーはかなり難しいです。
らしくない仕事を無理に受けて、もしそれで転けてしまうと、依頼してくれた相手からの信用・日々発信を楽しんでくれるファンの方の信用、両方を同時に失ってしまう可能性があります。
そうなると一時的にメンタルもやられてしまい、回復にも時間を要しかねません。そうしてリタイアされていった方・長期で休暇に入ってしまったも、何度かお見かけしてきました。

一見(お金やブランドが)魅力的だな〜と思える仕事の依頼であっても、自分たちらしくないと感じた場合には、冷静に見極め勇気を出して断っていくことが長く創作活動を続ける上で大切なことだと私は思います。

ファンに頼る・応える

創作活動を長く続けるために大切なこと。
最後は「ファンに頼ること」そして「ファンに応えること」です。

とにかく続けていくために大変なことは、「複数カテゴリを組み合わせる」のパートでもお話しした通り、新しい企画をずっと考え続けないといけないことだと日々感じています。
私たちも発信を始めた最初の頃は自分達のアイデアだけで頑張っていたものの、全くもって企画の天才ではないので長くは続きませんでした。

そこでシンプルに、いつも見てくれている方・応援してくれている方が求めている企画が何なのか?ストレートにどんな動画を作ってほしいのか?
YouTubeのアンケート機能を使って直接聞いてみることにしました。すると、正直予想していた以上に、思ってもなかったアイデアをもらうことができました。

その中のいくつかは実際にリクエストに応えて動画を作ったりもしてみまして、反響の大きかったもの・あまり視聴されなかったもの、どちらのパターンもあるのですが、どちらの場合でもほとんどの場合リクエストしてくれた方からお礼のコメントが届きます。
そうして反響やコメントが返ってくると、月並みですがとても嬉しいんですよね。再生回数やCPM以上に、定性的な感想はかなりの「続ける」原動力になります。

ファンと繋がりコミュニケーションを取ることは、本気でやろうとすると結構大変ではあるのですが、こちらもぜひ実践してみてください。

終わりに

久しぶりに長文を書いてみたら、たった5,000文字を書くのに3日もかかってしまいました…

最後になりますが、ここでまとめた内容はあくまで一つの考え方です。
クリエイターのジャンルや目指す方向によって、取るべき手法は星の数ほどあると思いますが、長く創作活動を続けていきたいと考えているみなさんの少しでもお役に立てたなら幸いです。


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